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自衛隊ミサイル射程900kmの意味:中国海軍航空母艦の太平洋進出と12式地対艦誘導弾能力向上型量産開始

2023-04-27 07:01:01 | 先端軍事テクノロジー
■太平洋からの脅威へ
 12式地対艦誘導弾能力向上型というのは防衛上重要な間に合った装備にカテゴライズされるのかもしれない。

 中国海軍航空母艦の太平洋進出、現在保有している航空母艦は遼寧と山東の2隻体制ですが、2024年には空母福建が竣工する見通しであることから、3隻によるローテーション体制、重整備と補給整備と稼働空母という、1隻の空母を常時遊弋させる体制が完成すると考えられます。まさに日本は小笠原諸島などの防衛を再検討する時期が迫っている。

 12式地対艦誘導弾能力向上型、僥倖というべきかもしれませんが今年から射程900kmという12式地対艦誘導弾能力向上型の量産が開始されます。この900kmという射程は重要で射程500㎞を超えるミサイルは、大量破壊兵器運搬技術拡散防止レジームに抵触する関係上、第三国への供与に制限があり、これらの装備の国産技術は非常に重要なのです。

 900㎞の射程のミサイルであれば、長大な小笠原諸島であっても二か所に配備することでほぼ全域をカバーすることが可能です。そして小笠原諸島には戦闘部隊は展開していませんが、海上自衛隊の硫黄島航空基地、海上自衛隊父島基地、分遣隊が置かれるのみですが南鳥島航空基地など、自衛隊が用地として使用できる拠点は一応整備されています。

 第73航空隊の硫黄島航空分遣隊としてUH-60J救難ヘリコプターも常駐しています、そして小笠原諸島は日本本土から離れている分、無人航空機試験や電子妨害装置試験など、本州で行えば航空法の問題や携帯電話を含む通信ネットワークを麻痺させかねない実験も可能であるとして、一応戦闘機部隊や評価試験、実験部隊の往来は頻繁に行われています。

 宇都宮の第6地対艦ミサイル連隊廃止は、先走りすぎた決定でした、2001年に新編され2011年に僅か10年間で廃止された東部方面隊直轄部隊です。例えば硫黄島か父島、南鳥島、この二か所に地対艦ミサイル中隊を派遣するだけで射程900㎞のミサイルは、少なくともここは日本領土であると強烈なプレゼンスを航空母艦へ行使することが可能です。

 南鳥島は東京から1860㎞の距離にあり、南鳥島と千葉県あたりに12式地対艦誘導弾能力向上型を配備しますと、中央部分に若干空白地帯は残りますがほぼ全域を射程内とできます、そして父島から東京までは980㎞、他方父島から沖ノ鳥島までは967㎞で若干届きません。一方硫黄島から沖ノ鳥島は723㎞、射程900㎞であれば充分届くのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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