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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

AH-2/UH-2新対戦車ヘリの可能性を考える【3】ガンシップへの対戦車ミサイル搭載という課題

2024-02-15 20:00:50 | 先端軍事テクノロジー
■ガンシップの難しさ
 多用途ヘリコプターに機銃を積んだだけで用を済ませるならばなぜ世界中が乏しい国防予算から専用機を買うのかを考えねばなりません。

 AH-2をUH-2から開発すべきだ、こう提示したのはUH-2の完成度が比較的高いとともにリスクがそれほど大きくなく、リスクが大きくないということは開発費用などもある程度管理できる可能性があるためであり、また、ガンシップのような武装ヘリには難しい任務にも対応できるという利点があります、実際ガンシップは難しい点を忘れるべきでない。

 ブラックホーク、UH-60などはヘルファイアミサイル運用能力があると開発当時の1980年代には盛んに喧伝されましたけれども、部隊配備を行ったのはコロンビア軍くらい、麻薬組織対策のアメリカ援助により装備しました。配備しなかったのは射程8kmのミサイルを搭載するには8km先の目標を識別し照準する能力が必要、これが高価だったのですね。

 ガンシップへの対戦車ミサイル搭載、射程がロケット弾の延長戦程度のTOWミサイルやHOTミサイルであれば、ドイツのPAH-1ことBo-105や韓国のMD-500など例が多いのですがヘルファイアのようなミサイルとなりますと途端に事例が少なくなる背景には、費用面があり、高い費用をかけるならば専用機、生存性の高い機体収斂したため。

 ハヤブサ2、こんな名前にしますと宇宙に行ってしまいそうですが、AH-2,コブラ2にしますとベルヘリコプターテキストロン社から怒られそうですし、コブラとハヤブサでスペースコブラにしますと寺沢先生に怒られそうです、ハヤブサから二文字とってハブとでもするか、まあ名前のことはさておき、武装次第で需要は考えられる。長い射程が必要と思う。

 TOW対戦車ミサイル、少なくともこの射程3750mのミサイルでは残念ながら活躍できるのは演習場くらいしか考えられません、特殊部隊相手であっても難しい。なにしろジャベリン対戦車ミサイルが射程1600mから2500mを経て改良型は射程4000mに達していますから、なにか別のミサイルを搭載する必要が挙げられます、しかし候補となる装備は多い。

 ARKPAS精密誘導弾薬、これは70mmロケット弾の精密誘導型ですが射程は8kmあり非常に計量、あとはグリフィンミサイル空対地型、ジャベリンミサイル派生の低威力射程延伸型ですが射程が16km、もっともヘルファイアミサイルやスパイクミサイル、国産装備でも、射程の長い川崎重工の中距離多目的誘導弾の空対地型を開発してもよいでしょう。

 AH-2を開発すべきという視点をもう一つ挙げますと、AH-1Zは高価であるという問題があります。それは自衛隊にとって高価であるという点はもちろんなのですが、AH-1Sがアメリカと日本はもちろん、イスラエル、スペインとトルコ、バーレーンやヨルダンとパキスタン、タイに台湾と最近ではフィリピンに採用されてはいましたが。しかし後継機は。

 AH-1Zについては費用が高いため、それほど採用国が伸びていませんし生産数も、運用環境が変わったという背景は差し引くべきですが、伸び悩んでいます。いやリンク16に連接できますしヘルメットマウントディスプレイ対応でTSSホークアイ照準システムなど相応に高性能ではあるのですが、輸出費用はアフリカ輸出仕様の場合で9000万ドルと若干高い。

 射程の長い対戦車ミサイルを発射でき、ある程度のデータリンク能力を持つとともに生存性が高い航空機、要するに高望みしない航空機、AH-2を開発すべきと考えるのは自衛隊がUH-2に高望みし過ぎなかった、もちろん南西諸島を防衛できる航続距離は視点によっては高望みでしょうが、次世代機に固執しない妥協はしていました。革新的な案は蹴っている。

 AH-1Sにデータリンク能力と射程の長いミサイル運用能力を付与した上で洋上飛行に安定した双発と航続距離を有するUH-2発展型の安価な姉妹機、これけっこう高望みでは、という反論はさておき、性能を最小限として同じくコストを抑えたコブラのライバル、イタリアA-129マングスタのような航空機、AH-1Zを買えない国向けの機体、というところか。

 MD-500のTOW搭載型のような機体は一応需要があります、実際MD-530はケニアなどアフリカ諸国やイラクとアフガニスタンに、アフガニスタンは共和国時代の供与でしたが、販路がありましたし、つい先日ラトビアが極秘裏に調達計画を立てていまして、こちらはTOW搭載型ではなくガンシップ型でしたが、手軽な航空打撃力の需要をつかんでいます。

 輸出といきなりいわれても、防衛と商売は分けなければ、と反論されるかもしれません。しかし日本の経済成長が停滞する現状、自己満足のように武器を輸出しない平和主義だ、と納税者が高い装備品の更なる高騰を歓迎するのかは、考える必要がある。輸出は関連部品の量産効果を高め、需要と合致するならば輸出による量産促進は選択肢に含むべきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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