北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】FLRAA将来型長距離強襲機とJAGMミサイル,アケロン搭載ティーガー戦闘ヘリコプター

2023-06-13 20:22:08 | 先端軍事テクノロジー
■■■防衛フォーラム■■■
 今回は各国の戦闘ヘリコプターに関する最新情勢を。戦闘ヘリコプターは改良を重ねる事でその任務遂行能力などを大きく高めているのびしろの在る装備体系です。

 アメリカインド太平洋軍はFARA陸軍将来攻撃偵察機の優先基準を更に高めるとのこと。これはアメリカ軍隷下の統合軍にあって最も広大な地域を担当するインド太平洋軍にとり、速度と行動半径の大きさから従来の観測ヘリコプターでの任務対応はもちろん、AH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプターの行動半径でも不十分であることを示している。

 FLRAA将来型長距離強襲機として、現在のUH-60ブラックホーク多用途ヘリコプターの後継期にはベル社が開発した可動翼機方式であるV-280ヴェローが採用されています。他方でFARA将来攻撃偵察機は、ベル社がベル360インヴィクタス複合ヘリコプターを、ボーイングがアパッチに推進プロペラを追加したコンパウンドアパッチなどを開発した。

 FARA将来攻撃偵察機の有力候補には複合ヘリコプターとしてシコルスキーS-97レイダーなどが開発されていますが、攻撃ヘリコプターとして匍匐飛行など戦場生存性を考慮するならば複合ヘリコプター方式が理想であり、偵察ヘリコプターとして広範な戦闘行動半径を念頭とするならばV-22オスプレイのような可動翼方式が適しており、一長一短です。
■ティーガーへアケロン■
 トリガットの後継という位置づけになるのでしょうけれど軽量である事で搭載能力に上限の厳しいティーガーには新しい選択肢が生まれたもよう。

 フランス国防省はユーロコプターティーガー戦闘ヘリコプターへアケロンLP対戦車ミサイル搭載試験の完了を発表しました。このミサイルはMMP対戦車ミサイルとして気合発が進められていたフランスの第五世代対戦車ミサイルであり、歩兵や航空機搭載用と装甲車両搭載用などを様々な派生型として開発する基本型のミサイルとなっています。

 ユーロコプターティーガー戦闘ヘリコプターは、対戦車型と戦闘型を分けており、対戦車ミサイルを搭載した際に近接航空支援へ必要な空対地ロケット弾を搭載することができませんでしたが、へアケロンLP対戦車ミサイルは22連装ロケット発射器用兵装架へ四連装型を搭載出来、ロケット弾は翼端の空対空ミサイル用兵装架に10連装型が搭載可能だ。

 アケロンLP対戦車ミサイルの運用能力をティーガー攻撃ヘリコプタへ付与する一連の計画はMAST-Fプログラムといい、現在この種の対戦車ミサイルとしてヘリコプターに広く採用されているヘルファイア対戦車ミサイルの後継装備を目指しているもの、ヘリコプター搭載時には射程は8㎞、高高度を飛行する航空機からは射程が20㎞に達します。
■■JAGMミサイル■■
 日本では陳腐化と呼ばれるアパッチですがなにかいい大学に入ってサボった学生の末路を見るようで世界では頑張る事で進化を続けている。

 アメリカ陸軍はロッキードマーティン社との間でJAGM統合空対地ミサイル及びヘルファイアミサイルの長期生産契約を結びました。この契約は4億3900万ドル規模の契約になるとのことです。意外である点はAGM-179統合空対地ミサイルとヘルファイアミサイルは共通点が多いミサイルであり、これらを統合せず別々のミサイルを生産している点だ。

 AGM-179統合空対地ミサイルは射程16㎞で従来アメリカが永らく運用してきましたAGM-65マーベリック空対地ミサイルの後継に当たる装備で2022年に射程16㎞のJAGM-ERが移動目標へ発射実験に成功しています。ヘルファイアミサイルは2010年代の改良型、射程は9㎞、半指令誘導方式とレーザー誘導方式を併用して採用しています。

 ヘルファイアミサイルは、アメリカ陸軍では戦闘ヘリコプター用にスパイクNOLSという射程の大きなものを導入する計画ですが、このミサイルは射程が長い分、TV誘導方式であり同時多数を誘導する事はできません、この為に10km以下の中距離目標へ対応するミサイルも並行して装備されます、今回の契約は最大45億ドルのオプションを含むとのこと。
■■チェコのAH-1Z■■
 アパッチに押されていたヴァイパーですが最近急に採用国が増えてきたという印象です。

 チェコ陸軍が進めるAH-1Z戦闘ヘリコプターとUH-1Z多用途ヘリコプター導入計画はその有償軍事供与がアメリカ国務省により認可されました。この計画ではベルヘリコプターテキストロン社とゼネラルエレクトリック社などが製造するAH-1Z戦闘ヘリコプター6機とUH-1Z多用途ヘリコプター2機及び関連機材が6億5000万ドルにて調達される。

 AH-1Z戦闘ヘリコプター6機とUH-1Z多用途ヘリコプター2機はチェコ陸軍が長年必要としていた空中機動能力の強化で、最初の機体は2023年内にナメシュテ基地へ納入予定、すべての機体が2024年内に納入完了する。AH-1Zには最新世代のAIM-9サイドワインダー空対空ミサイル運用能力があり、限定的ながら空対空戦闘能力も期待されています。

 チェコ陸軍がAH-1Z戦闘ヘリコプターとUH-1Z多用途ヘリコプターを導入決定した背景には、この二機種のヘリコプターは部品の85%に互換性があり、整備基盤や予備部品および教育訓練の面で有利です。ただ、この二機種を正式採用した国はアメリカ海兵隊のみ、アメリカ海兵隊はフォースデザイン2030によりヘリコプター部隊を縮小する計画です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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