■検証-中国空母福建
自衛隊は護衛艦ひゅうが型はじめ全通飛行甲板型護衛艦を揃えてきましたが昨日中国が進水式を挙行した大型艦は紛れもない航空母艦でした。
日本が空母信濃を建造してから77年、昨日6月17日、中国が003型航空母艦一番艦の進水式を挙行、艦名を空母福建と命名しました。この003型航空母艦、今後は福建級航空母艦と称するものですが、満載排水量は80000tあり、これは日本海軍が第二次世界大戦中に建造した信濃の満載排水量718900tを凌駕し、アジア最大の空母となった事を示します。
空母福建は江南造船において2020年ごろから衛星写真にてその存在が確認され、周辺対象物と比較しても全長は300mを優に超え、これまで中国が取得した遼寧と大連という2隻の航空母艦よりも大型化していると認識、ただ2022年3月頃と考えられた進水式は、中国の厳格なCOVID-19コロナ対策により遅れているとされていましたが、遂に実現しました。
全長は320mで全幅78m、注目すべき点はカタパルトとして電磁式カタパルトを搭載、これは大型の艦載機を発信させる為にアメリカやフランスは蒸気カタパルトを用いますが、高圧蒸気は腐食の要因となり整備間隔が短く、アメリカも最新のジェラルドフォード級から電磁カタパルトへ転換しており、中国もアメリカのすぐ後ろまで技術で猛追しています。
写真は自衛隊のF-35ですが、中国が福建級航空母艦を建造した背景、恐らく第五世代戦闘機を搭載する為のものです。中国海軍は瀋陽航空機製造公社のステルス戦闘機J-31に早くから注目していました、このJ-31戦闘機というのは中国初のステルス機開発に際しJ-20戦闘機に敗れ制式化の機会を逸した為、瀋陽航空機製造が独自に輸出用として2012年ごろから航空展に出展していました。
J-31,しかし特色としてJ-20よりも小型であり、海軍は空母艦載機型の開発を決定、2021年10月29日に空母艦載機型を初飛行させています。J-31戦闘機は全長17.3mと全幅11.5mで最大離陸重量28tとなっている。J-20が全長21.2mに全幅13.1mと最大離陸重量37tですので、J-31は小型化に成功しており、空母艦載機として搭載に目処がついたといえる。
第五世代機で空母艦載機であるJ-31,外見がF-35に類似していることから、不正アクセスにより技術情報を得たとの推測もあるようですが、エンジンについては中国は猛烈な予算投入により戦闘機用エンジンの技術開発を進めているものの流石にまだ米英には及ばず、出力に限界があり、充分な装備を搭載するには、空母大型化が必須だったと考えられます。
日本にとっての脅威度は。対した事は無いと断言するには聊か無責任であるように思います、こう言いますのも中国海軍はこの003型航空母艦を計画し、建造開始から進水式までを5年間、日本で云うところの中期防衛力整備計画一期分の期間で実現しており、これは言い換えれば今後十年間で更に増強される事を示しています、何隻建造されるか不明だ。
脅威度という視点から考えますと、最初の空母遼寧が再就役した頃とは根本的に事情が違います、遼寧をウクライナから受領し修理し再就役させた時代とは異なり、055型防空駆逐艦という満載排水量1万tクラスの艦隊防空艦が建造されていますし、商級攻撃型原潜の数が揃い、特に商級原潜は巡航ミサイル運用能力を強化した改良型建造が進められています。
空母部隊として考えた場合には、艦隊防空艦の数も質もかなり強化されており、またアメリカ海軍の空母打撃群を参考としたような、支援に充てる攻撃型原潜の強化も進んでいます。福建は三隻目の空母、先行する二隻の空母と共に作戦稼働と作戦待機と定期整備というローテーションも組めるようなりました、これまでとは脅威度ははるかに違うのです。
中国の空母部隊増強、日本の防衛から考えた倍ですが、実任務を実施した場合の脅威度と共に平時のプレゼンスオペレーションを実施された場合のポテンシャルという部分で大きく違います、実任務といえば、例えば日本の南西諸島への侵攻という危惧ですが、中国本土からのミサイル爆撃機や戦闘機と弾道ミサイルに加えてさらに一つ空母がくわわった。
プレゼンスオペレーション、しかし前述の実任務という脅威よりも平時に空母複数を展開させる運用の方が、国民世論に対する圧力は大きくなります、例えば防衛空白地帯付近を空母が遊弋した場合は。小笠原諸島などは日本の防衛空白地帯で、小笠原諸島は東京都であり練馬の第1師団管区となっていますが、最寄の部隊は御殿場板妻の第34普通科連隊だ。
小笠原諸島近海に、ヴェトナム戦争時代のヤンキーステーションのような空母数隻が張り付く状況を再現されますと、日本は広さにして本州と同じ地域の防衛という負担に迫られる事となります。福建を中心に編成される機動部隊の能力を考えれば無視するわけにもいかず、我が国では冷戦後の1996年防衛大綱改定以来の、防衛政策変更が迫られるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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自衛隊は護衛艦ひゅうが型はじめ全通飛行甲板型護衛艦を揃えてきましたが昨日中国が進水式を挙行した大型艦は紛れもない航空母艦でした。
日本が空母信濃を建造してから77年、昨日6月17日、中国が003型航空母艦一番艦の進水式を挙行、艦名を空母福建と命名しました。この003型航空母艦、今後は福建級航空母艦と称するものですが、満載排水量は80000tあり、これは日本海軍が第二次世界大戦中に建造した信濃の満載排水量718900tを凌駕し、アジア最大の空母となった事を示します。
空母福建は江南造船において2020年ごろから衛星写真にてその存在が確認され、周辺対象物と比較しても全長は300mを優に超え、これまで中国が取得した遼寧と大連という2隻の航空母艦よりも大型化していると認識、ただ2022年3月頃と考えられた進水式は、中国の厳格なCOVID-19コロナ対策により遅れているとされていましたが、遂に実現しました。
全長は320mで全幅78m、注目すべき点はカタパルトとして電磁式カタパルトを搭載、これは大型の艦載機を発信させる為にアメリカやフランスは蒸気カタパルトを用いますが、高圧蒸気は腐食の要因となり整備間隔が短く、アメリカも最新のジェラルドフォード級から電磁カタパルトへ転換しており、中国もアメリカのすぐ後ろまで技術で猛追しています。
写真は自衛隊のF-35ですが、中国が福建級航空母艦を建造した背景、恐らく第五世代戦闘機を搭載する為のものです。中国海軍は瀋陽航空機製造公社のステルス戦闘機J-31に早くから注目していました、このJ-31戦闘機というのは中国初のステルス機開発に際しJ-20戦闘機に敗れ制式化の機会を逸した為、瀋陽航空機製造が独自に輸出用として2012年ごろから航空展に出展していました。
J-31,しかし特色としてJ-20よりも小型であり、海軍は空母艦載機型の開発を決定、2021年10月29日に空母艦載機型を初飛行させています。J-31戦闘機は全長17.3mと全幅11.5mで最大離陸重量28tとなっている。J-20が全長21.2mに全幅13.1mと最大離陸重量37tですので、J-31は小型化に成功しており、空母艦載機として搭載に目処がついたといえる。
第五世代機で空母艦載機であるJ-31,外見がF-35に類似していることから、不正アクセスにより技術情報を得たとの推測もあるようですが、エンジンについては中国は猛烈な予算投入により戦闘機用エンジンの技術開発を進めているものの流石にまだ米英には及ばず、出力に限界があり、充分な装備を搭載するには、空母大型化が必須だったと考えられます。
日本にとっての脅威度は。対した事は無いと断言するには聊か無責任であるように思います、こう言いますのも中国海軍はこの003型航空母艦を計画し、建造開始から進水式までを5年間、日本で云うところの中期防衛力整備計画一期分の期間で実現しており、これは言い換えれば今後十年間で更に増強される事を示しています、何隻建造されるか不明だ。
脅威度という視点から考えますと、最初の空母遼寧が再就役した頃とは根本的に事情が違います、遼寧をウクライナから受領し修理し再就役させた時代とは異なり、055型防空駆逐艦という満載排水量1万tクラスの艦隊防空艦が建造されていますし、商級攻撃型原潜の数が揃い、特に商級原潜は巡航ミサイル運用能力を強化した改良型建造が進められています。
空母部隊として考えた場合には、艦隊防空艦の数も質もかなり強化されており、またアメリカ海軍の空母打撃群を参考としたような、支援に充てる攻撃型原潜の強化も進んでいます。福建は三隻目の空母、先行する二隻の空母と共に作戦稼働と作戦待機と定期整備というローテーションも組めるようなりました、これまでとは脅威度ははるかに違うのです。
中国の空母部隊増強、日本の防衛から考えた倍ですが、実任務を実施した場合の脅威度と共に平時のプレゼンスオペレーションを実施された場合のポテンシャルという部分で大きく違います、実任務といえば、例えば日本の南西諸島への侵攻という危惧ですが、中国本土からのミサイル爆撃機や戦闘機と弾道ミサイルに加えてさらに一つ空母がくわわった。
プレゼンスオペレーション、しかし前述の実任務という脅威よりも平時に空母複数を展開させる運用の方が、国民世論に対する圧力は大きくなります、例えば防衛空白地帯付近を空母が遊弋した場合は。小笠原諸島などは日本の防衛空白地帯で、小笠原諸島は東京都であり練馬の第1師団管区となっていますが、最寄の部隊は御殿場板妻の第34普通科連隊だ。
小笠原諸島近海に、ヴェトナム戦争時代のヤンキーステーションのような空母数隻が張り付く状況を再現されますと、日本は広さにして本州と同じ地域の防衛という負担に迫られる事となります。福建を中心に編成される機動部隊の能力を考えれば無視するわけにもいかず、我が国では冷戦後の1996年防衛大綱改定以来の、防衛政策変更が迫られるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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