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岐阜基地航空祭2007(岐阜基地開庁50周年記念航空祭) (1)

2008-11-19 22:43:23 | 航空自衛隊 装備名鑑

■岐阜基地航空祭07

 2007年10月28日に開催された岐阜基地航空祭、絶好の快晴を舞台に進められた航空祭の模様、今回から数回に分けてその詳報を掲載したい。

Img_6871_1  航空自衛隊岐阜基地には、飛行開発実験団が展開している。この飛行開発実験団が展開することから航空自衛隊が運用を行う航空機に関する評価試験を実施する日本のエドワーズ基地として知られ、また、航空機を開発生産する川崎重工岐阜工場が隣接していることから、定期整備や新造機なども、ここ岐阜を起点として大空に舞い上がっている。

Img_6813  岐阜基地航空祭2007は、この岐阜基地開庁50周年を祝う特別な航空祭でもあった、基地の滑走路に並行する形で名鉄各務原線とJR高山線が走っており基地ゲートに近い名鉄三柿野駅から基地に向かう。メインゲートなど入り口は幾つかあり、交通の利便性が高いのが嬉しい岐阜基地航空祭。

Img_6834  基地にはいり、模擬店のグッズに目を取られながらも、混雑前のエプロン地区に足を運ぶ。時計は0830時をやや過ぎた頃。オープニングフライトが開始される前の時間。しかし、コックピットが一般公開されているT-4練習機などのまえには、さっそく行列が出来上がっている。入間基地航空祭と並ぶ人気の航空祭がいよいよはじまる。

Img_6837  とりあえず、混雑する前に、地上展示を一通り撮ってしまうと考えた。これから混むのだ。格納庫には飛行開発実験団のF-4ファントムと各種装備が並べられていた。20ミリ機関砲。M-61機関砲は機首に搭載され、毎秒100発という高い連射速度で標的に襲い掛かる。ミサイルのように最低射程距離が無い、近接用の装備だ。

Img_6848  AIM-9空対空ミサイル。127ミリロケット弾に誘導装置を取り付けたミサイルとして米軍で運用が始まり、進化を続けているミサイル。航空自衛隊が運用しているのは比較的新型のAIM-9Lで、目標から発せられる熱(赤外線)を追尾し目標に命中する。射程は15km程度。短射程ミサイルで、中射程のレーダー誘導ミサイルと組み合わせて運用される。

Img_6858_1  JDAM,これはGPSを用いて誘導する期待の新型装備。展示されていることに少々驚いたのは、まだ試験中の装備であったからだ。JDAMとはJoint Direct Attack Munition,入力されたGPS座標に向かって安定翼を作動させ落下、命中する精密誘導爆弾で、Mk82/500ポンド爆弾にセンサーと安定翼モータ、GPSアンテナを取り付けるだけという手軽な装備だ。

Img_6879  このJDAMは、より詳しくはGBU-38Bという。この爆弾を装備することで、高高度から投下しても高い命中精度を維持できるため、支援戦闘機は機関砲や携帯対空ミサイルが待ち構える危険な低空に降りる必要がなくなる。落下時に滑空させ、長距離地対空ミサイルの射程外から任務を遂行する新型のJDAMも開発されている。

Img_6872  格納庫無いではエンジンも展示されていた。F-4EJに搭載されるJ79-IHI-17エンジンでターボジェットう方式を採用、重量は1700kg、出力は通常時に5350kg、最大出力で8120kgのルイ力を発揮する。エンジンや各種装備については、整備員の方から懇切丁寧な解説を受けることができる。

Img_6890  赤外線誘導装置GSS-1を装着した500ポンド爆弾。海上目標に対して運用するもので、対艦ミサイルASM-1などにより上部構造物を大破した目標にとどめをさす用途で用いられる。四方を海に囲まれた日本列島を守るべく、対艦用の装備は充実している。GSS-1は、より大型の爆弾にも搭載可能だ。

Img_6863_1  格納庫内部をみてまわっていると、かなり距離があるにもかかわらず、エンジンの鼓動がこちらに届く、F-15Jが二つのF-100-PWエンジンが咆哮をあげ、全備重量では25トンに達する鋼鉄の猛禽を大空に羽ばたかせてゆく、いよいよオープニングフライトが開始される旨、アナウンスされる。

Img_6868_1  F-15戦闘機は、強力なエンジンにより19.4㍍の巨体を無理やり機動させる戦闘機、巨体には各種レーダーや長大な後続距離を担保させる燃料を充分積み込むことができる。多数のミサイルを積み、広い空域の制空権を維持、この機体は、少ない機体で長大な日本列島の防空を維持し、奪われた大空から敵対勢力を駆逐する日本向きの制空戦闘機である。

Img_6875_1  続いて、オープニングフライトを実施するべく、F-2支援戦闘機が離陸してゆく。岐阜基地では、初めて飛行したFSX初号機時代のまま、初号機が維持されている。三菱重工とロッキードマーティンが共同開発した支援戦闘機で、対艦ミサイル四発を搭載し、日本に接近する洋上からの脅威を取り除くのが任務だ。

Img_6930  機体は離陸しても、すぐに飛行展示をおこなうわけではない、落ち着いて、地上展示機を撮影しつつ、次の撮影ポイントに向かう。この日は快晴、岐阜基地開庁50周年を祝うような快晴、快晴というのは航空祭では本当に感謝しなくてはならない。しかし、岐阜での快晴、これは、ここエプロン地区からは逆光になってしまうことを意味する。

Img_6904  岐阜基地は、入間基地航空祭に準じて10万人以上が集まる航空祭なのだが、撮影するべく立ち入ることができる場所が比較的広い、のだが、2007年はエプロン地区の改修工事が行われており、やや、地上展示区を行うことが可能な地域が狭くなっており、米軍機の参加などにも影響したもよう。

Img_6910  三沢基地から展開したE-2C早期警戒機。三沢基地では航空掩体に収容されて運用されており、有事の際には第一線航空基地に展開し運用される航空機、当初は防空管制のデータリンクへの対応などに機体が小型で苦労したが、現在では小回りの利く装備として重宝されている。より航続距離が大きく、滞空時間の長いE-767早期警戒管制機を補完する形でE-2Cは運用されている。

Img_6902  航空祭ということで航空自衛隊が運用する航空機以外の装備も展示される。写真は、災害派遣に活躍する人命救助システム。阪神大震災を契機として陸海空自衛隊に装備されている装備で、人命救助や救急など、震災後24時間で必要とされる各種装備が収められている装備品である。

Img_6920  第4高射群のペトリオットミサイル部隊が装備する車両。第4高射群は、ここ岐阜基地を司令部とし、要撃機がうち漏らした目標に対して中京京阪地区の防空を担う実戦部隊。高射隊はミサイルのほか、野外において展開し自活するための所定の装備を有しており、陸上自衛隊の装備よりも充実した面があり、興味深い。

Img_6935  T-3初等練習機。この時点で最後の一機まで練習機としては除籍された期待ではあるが、飛行しないまでも、地上展示には出されていた。まだまだ飛べそうな良好な状態。後方に見える巨大な格納庫は、次期輸送機C-Xを収容するための格納庫である。残念ながらC-Xは初飛行に至っていない。

Img_6939  航空祭では、地上展示機が並ぶエプロン地区の、そして離着陸を少しでも間近にみれる最前列が混雑する。しかし、端のほうに行ってみると案外最前列まであいていたり、また一歩さがっても、飛行展示は大空を背景におこなわれるので、十分見ることができるのだが、一風変わったアングルを求め足を進める。

Img_6933  さてさて、始まったばかりの航空祭、飛行展示を観覧するべく、エプロン地区の最前列に向けて人々が歩んでゆく。岐阜基地開庁50周年記念航空祭、来場者は基地広報の発表では10万3000名に達する規模となるのだが、オープニングフライトに続き実施される飛行展示については、次回以降に詳報として掲載したい次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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