■岐阜基地航空祭07
岐阜基地航空祭2007年10月28日に行われたこの航空祭は岐阜基地開庁50周年。航空祭日和というべきか、天は10万3000名もの観客に応えるべく快晴の大空を供していた。
岐阜基地航空祭、一般開放されているエプロン地区は、多くの地上展示機や各種装備品が並べられており、コックピットの一般公開も行われ大盛況であった。しかしながら、滑走路の北側にあるエプロン地区は、残念ながら逆光になってしまうのだ、そういう理由からあえて遠い南側地区に到達した次第。
滑走路南側地区は、そこまで混雑してはいないものの、やはり最前列付近の混雑は岐阜基地航空祭の人気ぶりを示すほどの盛況だ。したがって、最前列に近寄れないため滑走路を離陸する様子はさすがに撮れないものの、それでもいい、空が青く写る順光なのだし、離陸した機体を撮ればいいのだ。
多機種大編隊に向けてC-1輸送機の離陸を筆頭に次々と飛行開発実験団の各種航空機が離陸してゆく。F-4EJ戦闘機も轟音とともに青空を背景に二機編隊で大空に向かってゆく。すでにオープニングフライトの離陸よりも多くの機体が空に舞い上がっているのだ、それだけに大編隊への期待も高まる。
F-15Jも離陸を終えてさらに基地の南側を進んでゆく。基地から一時離れて編隊を組んでゆく。こうして編隊を整え、岐阜基地上空に多機種大編隊の威容を示すのだ。こうした写真、最前列付近に進んでしまうと周囲の脚立が上空への視界を遮るので、一歩引いてみるのがポイントなのかもしれない。
F-4ファントム。航空自衛隊に採用された要撃機の中で、唯一、艦載機に起源を持つ機体ということで根強い人気がある(F-86もFJ-2フューリーや改良型のFJ-3,FJ-4等として艦載型があるが、もとは空軍用として開発された機体)。米海軍の空母航空団から最後のファントムが引退したのは1987年、もう二十年も前なのか、と思うが空自のEJ型は近代化改修で能力は第一線級だ。
C-1を先頭に編隊を組んで、岐阜基地上空に接近する多機種大編隊。これこそが岐阜基地航空祭の醍醐味である。異機種による大編隊飛行は、例えばRF-4とF-15、T-4の編隊を披露する百里基地航空祭やF-2と米空軍のF-16が編隊を組む三沢基地航空祭などなど多いものの、これほどの規模の多機種大編隊は、岐阜航空祭ならではのもの。
輸送機、練習機、要撃機、支援戦闘機。上空からは様々な機体からの多彩なエンジン音に交じり、キャノン、ニコンを始め様々なカメラから発するシャッター音が地上から応える。岐阜ならではのこの編隊が、絶好の航空祭日和の快晴に恵まれたのだ、シャッターを押すにも力が入ってしまうのは小生も同じ。
T-2練習機やその前にはT-33練習機もこの編隊に加わっていたという岐阜基地航空祭。T-2の細長い美しい機体がこの編隊から消えてしまったのは、やや寂しい気持ちにもなるが、空の勝利は技術にあり、消える機体もあれば、新しく生まれる機体もこれからあるわけで、その象徴が、多機種大編隊の顔ぶれなのかな、と考えたりもした。
編隊を次の隊形に移行するべく、各機が散開する。その際にF-15Jがアフターバーナーを焚いて機動飛行を展示する。アフターバーナーから迸る紅い光が、真昼にもかかわらずここからも確認できた。鋼鉄の猛禽は、写真では伝わらないほどの轟音を響かせ、次の編隊を組むべく、基地上空を去ってゆく。
C-1輸送機を先頭に、今度は傘型隊形で岐阜基地上空に進んでくる。この多機種大編隊による展示、C-1輸送機を二号機に見立て、サンダーバード、と表現する方もいるくらいだ。なるほど、いわれてみると、これにも納得。しかし、1号機と3号機は、どれになるのかな、と思ったりもする。
岐阜基地開庁50周年!、五機種12機の航空機が“50”の文字を模した編隊を組む。こう書くと簡単そうだが、それぞれの機体は、操縦特性も速度も異なるので、こうした編隊を組むには以外と高い技量が必要になる。この50型編隊(いま命名)を展示してのち、多機種編隊飛行は余韻を残しつつ終了した。
編隊を解くとともに機動飛行を展示するF-4ファントム。機動飛行も二機揃うと迫力は大きく増す。着陸するのだが、不通に着陸するのでは芸が無い、ということなのだろうか、着陸する機体の順番待ちをしつつ、その滑走路上空では、機体が機動飛行を繰り返し、乱舞しているのが嬉しい。
F-2が機動飛行の際に激しいヴェイパーを曳く。空気中の水蒸気が航空機の激しい運動により、瞬間的に雲となる、この情景は、航空祭でなければ見えないものだ。それにしても、順光で撮影するとF-2の海洋迷彩はよく空に溶け込み、ヴェイパーが強調される。ううむ、長いこと歩いてここまで来たのは正解だった、と個人的に満足。
C-1輸送機が機体後部のカーゴハッチを開いて展示する。C-1FTB,この機体はC-1初号機として製造された機体で、各種試験の母機に用いるために飛行開発実験団に配備されている。もともと、C-1には迷彩は施されず運用されていたが、現在は、このFTB以外、迷彩を施して運用されている。通常のC-1も岐阜には配備されているので、この一枚だけでも岐阜ならでは、といえるのかもしれない。
編隊を組んでいた機体が着陸する。ちょうど、滑走路を見渡せるところに空きがあったので、そこから撮影。望遠レンズで、隙間を縫うように撮影したので、思うようには撮れないのだけれども、それは仕方ない。滑走路の反対側から撮影する、というだけで、ここまで情景が変わってくるものなのか、と驚いた次第。
着陸する機体うぃお静かに迎えるのは、T-2練習機107号機、ラストフライトを飾った機体だ。保存展示区には展示されておらず、近くから撮影することはできなかったが、その分周りに人がいない写真を撮ることができた。T-2という多機種大編隊を構成していたOBが、地上から航空祭を見守っているわけだ。
F-15も着陸だ。滑走路南側から撮影すると、北側から撮影した時の、山に囲まれた基地、という印象は幾分和らぐ。背景にある建物は官舎ではない、基地と国道を挟んで向こうには、マンションもある。しかし、このマンション、基地を一望できる立地で、航空祭をみるには絶好の位置にあるのだなあ、とおもったりもする。
F-2も着陸、岐阜基地管制塔を背景にカラフルな試作機塗装を身に纏ったF-2Bだ。こうして管制塔や格納庫が並んでいると、基地!というイメージが強調されている一枚だ。F-2の背景には、先ほど撮影したF-15が誘導路を一般開放されているエプロン地区へ向かって行くのがよく見える。
F-2の着陸とともに、岐阜基地航空祭の真打というべき、多機種大編隊は幕を下ろし、続いて航空祭の華というべき、ブルーインパルスの飛行展示が開始される。このブルーインパルス飛行展示とともに、入場者は最盛期を迎え、模擬店区画にいる入場者の人たちも、エプロン地区へと移動する。そのブルーインパルス飛行展示については、次回掲載予定。
HARUNA
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