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平成20年度海上自衛隊演習(実動演習・共同演習) 13~19日に九州・南西諸島で実施

2008-11-10 22:42:07 | 防衛・安全保障

◆海演2008

 海上自衛隊演習は、海上自衛隊が創設された1954年以来毎年行われている、最大規模の演習である。今年度は、燃料費高騰の煽りを受け、中止の可能性も囁かれていたが、11月に実施されることとなった。

Img_1604  海上自衛隊演習は、2008年11月13日から19日までの期間、我が国及び九州周辺、南西諸島周辺に至る海域で実施され、統裁官は自衛艦隊司令官である泉徹海将。参加部隊は、自衛艦隊及び各地方隊より艦艇約25隻、航空機約50機が参加して行われ、各級指揮官の情勢判断及び部隊運用などを主要演練項目として挙げている。実動訓練・共同訓練ということで、米海軍との共同で、対潜戦、対空戦及び対水上戦の訓練を九州周辺及び南西諸島に至る海域で実施する。米海軍の参加規模は艦艇約20隻。

Img_1185  海上自衛隊演習は、図上演習として9月8日から12日までの間、海上自衛隊幹部学校が置かれている目黒、そして参加部隊司令部にて、参加人員550名の規模で行われており、この実施を報道する際に燃料費高騰の関係からあ、今年の実動演習の実施を危ぶむ私的が為されていた。ちなみに、2007年は、11月5日から16日の期間、日米共同統合演習として自衛艦隊、各地方隊、教育航空集団が海上自衛隊より参加、航空自衛隊より航空総隊、陸上自衛隊より各方面隊と中央即応集団が参加、米軍からも第七艦隊、第五空軍、在日米陸軍、第三海兵機動展開部隊が参加の上実施されている。

Img_9951  基地警備特別訓練が海上自衛隊演習とは別に、11月17日から19日までの期間、実施される。訓練は、米海軍横須賀基地及び横須賀港内において実施され、訓練統裁官は、横須賀地方総監・米海軍横須賀基地司令。参加部隊は、横須賀地方隊などから170名、米海軍横須賀基地憲兵隊から40名が参加し、平時において海上自衛隊が共同使用している区域内において生起した不法な行為に対する対処要領及び米海軍との間の情報交換などの連携要領を演練する。基地警備特別訓練は2002年より実施されており、今回で七回目となる。

Img_8438  さらにひとつ、冒頭に記すべきだったかもしれないが、嬉しいニュース。護衛艦しらね、が修理を終えて横須賀基地に帰港したとのこと。昨年十二月の事故後、今年三月から横浜において修理中であったヘリコプター護衛艦しらね、であるが、航行が可能な程度に修理が完了したようだ。横浜航空宇宙展の際に帰路横浜に立ち寄り撮影した際に、以前撮影したものと比べて、しらね上部構造物周辺の足場が取り外され始めていたことから、そろそろ修理が完了するのでは、と考えていたが実現した次第。

Img_0490  国際社会の変容とともに海上自衛隊の任務範囲が世界中に広がる今日、ヘリコプター搭載護衛艦の航空機整備能力は、よりそのポテンシャルを増しており、新ヘリコプター護衛艦ひゅうが就役とともに退役する、初代ヘリコプター護衛艦はるな、の代替として、これからも海上自衛隊の重要な戦力投射手段として任務が続く見込みである。他方で、乗員に過度な負担を強いるような勤務体制に対しては、事故再発防止の観点から見直しが必要では、と思ったりする。締めるだけでは根本的な解決にならず、逆に破れてしまうこともある。

Img_5668  内規の遵守はもちろんではあるが、これまで黙示的に認められてきた内規の柔軟な運用について、いわゆる不祥事の表面化とともに条文に沿った遵守が求められ、結果、教条主義化し、機構が破綻を来す、という現状が事故の背景にあるのでは、と。もちろん、それがすべて、というつもりはないが、実任務の増加に、人員と艦船、予算の面で不十分な面があるのではないか、と感じることもある。

HARUNA

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