■潜水艦の除籍前有効活用
海上自衛隊にも巡航ミサイル潜水艦、という区分を構築し得るのではないか、将来艦隊戦闘を考える際にこうしたもう一つの視点を提示してみましょう。
魚雷を全部降ろしてミサイルを搭載したらば本来の潜水艦任務を果たせません。海上自衛隊の潜水艦への魚雷及び対艦ミサイル搭載能力は20発とされていますが、ここに巡航ミサイルを大量に搭載した場合、肝心となる艦対艦ミサイルや魚雷を搭載する余地が小さくなってしまいます、潜水艦の任務には対水上戦闘及び対潜戦闘という重要な任務がある訳ですから、巡航ミサイルを大量に搭載した場合でも、その主任務は不変であり、即座に必要では無い装備品の搭載に必要なミサイル及び魚雷搭載能力が制約される事は避けなければなりません。
潜水艦の総数に余裕がない故にできない、と。他方、対水上戦闘や対潜水艦戦闘を想定しない潜水艦を確保する事が出来たならば、即ち最小限の自衛戦闘に充てる対潜魚雷のみを若干数搭載し、それ以外の修養容積を全て巡航ミサイルの搭載に充て、日本近海を遊弋させることでUGM-109E,UGM-109Hの非常に長い射程を活かし、日本本土の着上陸に際しての着上陸点に対する打撃手段、また日本本土が大規模な攻撃、核攻撃を含めた攻撃に曝された場合には我が国は核兵器の報復手段を持ちませんし持つべきでもありませんが、日本国家が必要な措置としてその決意を示す事だけは可能となるでしょう。
巡航ミサイル潜水艦があればその分、我が国本土への攻撃を抑止できる幅が広くなるという視点を挙げました。さて、巡航ミサイル潜水艦という視点についてですが、これは上記の対水上戦闘及び対潜水艦戦闘にも通る潜水艦の任務を終えた潜水案で、老朽化により所要の潜行能力や航行能力を喪失した旧式潜水艦を原型として、魚雷搭載能力を大きく縮小し、その装備搭載能力を巡航ミサイルに特化する、という方式が考えられます。対潜戦闘用の自衛用魚雷としては4発程度とし、16発をUGM-109E,UGM-109Hの搭載にあてる。
トマホークキャリヤーとしての除籍前のもう一仕事を潜水艦に、という。日本の潜水艦は比較的早い時期で除籍されていますが、性能上潜水艦のポテンシャルはそれほど低下しているものではないため。そして対潜バリアーにより防護された海域を潜行し遊弋する、日本版ミサイルパトロールというべき運用です。日本周辺海域には、小笠原諸島と本州島により三角海域を構成する相模湾や遠州灘、九州島と四国島に防護された周防灘と日向灘、能登半島と丹後半島に囲まれ舞鶴基地と舞鶴航空基地により防護されている若狭湾、九州島と天草諸島に囲まれ佐世保基地及び大村航空基地からの防衛を受ける事が可能な天草灘、巡航ミサイル潜水艦を遊弋させることが可能な海域がいくつも存在します。
潜行できるというだけで潜水艦は巨大なポテンシャルを維持します。勿論、こうした海域は良好な漁場でもありますから、潜水艦が漁船の底引き網や延縄に巻き込まれないよう、潜行しつつ注意しなければなりませんが、哨戒機のレーダーや水上戦闘艦のソナーから回避する第一線の新鋭潜水艦ほどにはその負担は大きくないでしょう、もちろん、通常動力潜水艦ですので、原子力潜水艦の様に先行したまま充電する事は出来ませんし、また、巡航ミサイル、それも通常弾頭を搭載した巡航ミサイルの能力には限度がありますが、現時点で戦略爆撃機から1500発もの長剣10巡航ミサイルを突き付けられているという状況に対して、打つ手として考えられるでしょう。
数の余裕は実のところ、早めの除籍という贅沢を改めれば生まれる。海上自衛隊は毎年一隻の潜水艦を建造し、潜水艦定数が16隻の時代には毎年1隻を除籍させていました、潜水艦は概ね30年程度現役に留まる能力がありますので、勿論老朽化とともに潜行能力や船体への歪みによる水中騒音の増大といった不具合は生じますが、諸外国では16年間という短期間で潜水艦を除籍させるようなぜいたくな運用は行っていません、このため、延命改修を含め潜水艦運用年数を32年程度とし、勿論運用基盤構築に時間を要しますが、応用する施策は考えられるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
海上自衛隊にも巡航ミサイル潜水艦、という区分を構築し得るのではないか、将来艦隊戦闘を考える際にこうしたもう一つの視点を提示してみましょう。
魚雷を全部降ろしてミサイルを搭載したらば本来の潜水艦任務を果たせません。海上自衛隊の潜水艦への魚雷及び対艦ミサイル搭載能力は20発とされていますが、ここに巡航ミサイルを大量に搭載した場合、肝心となる艦対艦ミサイルや魚雷を搭載する余地が小さくなってしまいます、潜水艦の任務には対水上戦闘及び対潜戦闘という重要な任務がある訳ですから、巡航ミサイルを大量に搭載した場合でも、その主任務は不変であり、即座に必要では無い装備品の搭載に必要なミサイル及び魚雷搭載能力が制約される事は避けなければなりません。
潜水艦の総数に余裕がない故にできない、と。他方、対水上戦闘や対潜水艦戦闘を想定しない潜水艦を確保する事が出来たならば、即ち最小限の自衛戦闘に充てる対潜魚雷のみを若干数搭載し、それ以外の修養容積を全て巡航ミサイルの搭載に充て、日本近海を遊弋させることでUGM-109E,UGM-109Hの非常に長い射程を活かし、日本本土の着上陸に際しての着上陸点に対する打撃手段、また日本本土が大規模な攻撃、核攻撃を含めた攻撃に曝された場合には我が国は核兵器の報復手段を持ちませんし持つべきでもありませんが、日本国家が必要な措置としてその決意を示す事だけは可能となるでしょう。
巡航ミサイル潜水艦があればその分、我が国本土への攻撃を抑止できる幅が広くなるという視点を挙げました。さて、巡航ミサイル潜水艦という視点についてですが、これは上記の対水上戦闘及び対潜水艦戦闘にも通る潜水艦の任務を終えた潜水案で、老朽化により所要の潜行能力や航行能力を喪失した旧式潜水艦を原型として、魚雷搭載能力を大きく縮小し、その装備搭載能力を巡航ミサイルに特化する、という方式が考えられます。対潜戦闘用の自衛用魚雷としては4発程度とし、16発をUGM-109E,UGM-109Hの搭載にあてる。
トマホークキャリヤーとしての除籍前のもう一仕事を潜水艦に、という。日本の潜水艦は比較的早い時期で除籍されていますが、性能上潜水艦のポテンシャルはそれほど低下しているものではないため。そして対潜バリアーにより防護された海域を潜行し遊弋する、日本版ミサイルパトロールというべき運用です。日本周辺海域には、小笠原諸島と本州島により三角海域を構成する相模湾や遠州灘、九州島と四国島に防護された周防灘と日向灘、能登半島と丹後半島に囲まれ舞鶴基地と舞鶴航空基地により防護されている若狭湾、九州島と天草諸島に囲まれ佐世保基地及び大村航空基地からの防衛を受ける事が可能な天草灘、巡航ミサイル潜水艦を遊弋させることが可能な海域がいくつも存在します。
潜行できるというだけで潜水艦は巨大なポテンシャルを維持します。勿論、こうした海域は良好な漁場でもありますから、潜水艦が漁船の底引き網や延縄に巻き込まれないよう、潜行しつつ注意しなければなりませんが、哨戒機のレーダーや水上戦闘艦のソナーから回避する第一線の新鋭潜水艦ほどにはその負担は大きくないでしょう、もちろん、通常動力潜水艦ですので、原子力潜水艦の様に先行したまま充電する事は出来ませんし、また、巡航ミサイル、それも通常弾頭を搭載した巡航ミサイルの能力には限度がありますが、現時点で戦略爆撃機から1500発もの長剣10巡航ミサイルを突き付けられているという状況に対して、打つ手として考えられるでしょう。
数の余裕は実のところ、早めの除籍という贅沢を改めれば生まれる。海上自衛隊は毎年一隻の潜水艦を建造し、潜水艦定数が16隻の時代には毎年1隻を除籍させていました、潜水艦は概ね30年程度現役に留まる能力がありますので、勿論老朽化とともに潜行能力や船体への歪みによる水中騒音の増大といった不具合は生じますが、諸外国では16年間という短期間で潜水艦を除籍させるようなぜいたくな運用は行っていません、このため、延命改修を含め潜水艦運用年数を32年程度とし、勿論運用基盤構築に時間を要しますが、応用する施策は考えられるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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