北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南西諸島防衛へ沖縄に統合任務準備部隊常駐の必要性 中国艦船航空機の行動増大へ対応提言

2016-08-09 23:00:46 | 防衛・安全保障
■沖縄と統合機動防衛力整備案
 長崎原爆慰霊の日に当たる今日、沖縄県尖閣諸島周辺での15隻もの中国公船の航行と領海侵犯など、動き活発化を受け、政府は外務省杉山事務次官による中国の程永華駐日大使を呼び出しての連日の抗議に加え、岸田外務大臣が程永華駐日大使へ直接抗議を行う対応を執りました。

 統合機動防衛力整備の具体化としての南西諸島防衛力強化、南西諸島近海での軍事演習や沖縄県鹿児島県方面への防空識別圏侵入頻度の増大等、中国軍軍事行動の顕著化と島嶼部接続水域への中国公船常駐や領海侵犯の日常化、海軍艦艇による接続水域浸透、こうした情勢変化を受け、我が国も南西諸島最大の人口密集地である那覇市と沖縄本島へ、陸海空による防衛力強化を真剣に考える時期が到来しているのかもしれません。

 北海道で冷戦時代に執った手段の再開、統合任務準備部隊という位置づけでの部隊配置を念頭とし、沖縄本島の那覇基地や那覇駐屯地に勝連基地といった自衛隊施設は勿論、アメリカ軍北部訓練場と嘉手納基地など、米軍施設への展開も含め実施し、主として演習場への展開を通じてのプレゼンス誇示、より具体的には冷戦時代の北海道においてソ連軍圧力が最盛期となっていた時代に訓練名目にて矢臼別地区や北海道大演習場等へ本土師団を展開させた方式を沖縄にて再開する。

 陸上部隊は、現在の那覇第15旅団に加え、一案として戦車部隊に余裕がある北部方面隊の師団及び旅団から複数小隊規模の、具体的には90式戦車9両前後の機甲部隊を北部訓練場へ、戦車と協同する部隊として全国の普通科部隊及び特科戦砲隊か縮小中隊規模の部隊を即応待機部隊として混成編成、また、全国の方面航空部隊より若干数の対戦車ヘリコプターと多用途ヘリコプターを派遣し混成飛行隊を、三か月単位から六か月単位でのローテーション配置を行う、というもの。

 海上部隊は、平時における警戒監視活動を強化していますが、その上で沖縄近海に遊弋する部隊とは別に、指定部隊として、沖縄近海に展開しない場合でも、陸上自衛隊多用途ヘリコプターや対戦車ヘリコプターの給油支援訓練の実施、可能な範囲内での陸上自衛隊輸送への輸送艦の待機態勢強化と共に、輸送艦には数に限りがあるので上陸用舟艇としての機能を有する交通船の勝連基地への増勢及び沿岸輸送訓練の陸海協同実施等、考えられる。

 航空部隊は、全国からの要撃飛行隊によるF-15戦闘機の対領空侵犯任務措置への増援に加え、F-2戦闘機、支援戦闘機としてASM-2空対艦ミサイルやLJDAM精密誘導爆弾の運用能力を持つF-2を飛行分遣隊として、対領空侵犯任務増強派遣とは別枠で2機でも3機でも前進配置し、那覇基地へ、那覇基地が過密状態であれば日米運用調整の上で嘉手納基地の掩体地区へ展開させ、不測の事態へ備える、という施策が考えられるでしょう。

 沖縄を守るという国家の決意を示すことがこの手段です。沖縄には現在、陸上自衛隊は一両の戦車も一門の特科火砲も駐屯させていません。戦車を沖縄本島に展開させた場合、有事の際の初動の機動手段には現時点で揚陸艇の問題がありますし、多用途ヘリコプター等の航続距離等の問題もあります。しかし、緊急時にはあらゆる手段を執りうるという姿勢とともに、今度は沖縄を絶対に見捨てない、という第二次世界大戦における反省も含めた国家の無言の決意として、示唆する意義はあると考えます。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする