■政治家としての覚悟
日本維新の会馬場代表ロイターインタビュー発言は単なる放言として無視されているのかもしれませんが、とんでもない。
ニュークリアシェアリングについて、現在アメリカがニュークリアシェアリングとしてNATOに供与しているのはB-61核爆弾で、これはオランダとイタリア及びトルコのNATO施設に備蓄されている事が公表されています。ニュークリアシェアリングの理念そのものが、使用国の領域内で投下する、というものですから、この場合日米同盟では難しさが。
日米安保条約では指揮系統の統合までは踏み込んでいません、するとニュークリアシェアリングを行った場合でもどういった状況で核兵器を日本に供与し使用するのかという枠組みを、指揮系統を統一化しておく必要があるのですが、現在の法制度をどれだけ拡大解釈したとしても、抜本的な新法を制定し日米の指揮系統を統一化しなければ不可能だと判る。
B-61核爆弾の場合は、ある意味明白な点はありまして、B-61核爆弾は無誘導である為に戦闘機か攻撃機に搭載する他ない、という事です。ドイツ軍はトーネード攻撃機を長らくこの任務に充てていますし、オランダやベルギーなどではF-16戦闘機をこの用途に充ててきました。フランスは独自の核を持ち、長らくミラージュ2000Nを核攻撃専用機としていた。
ドイツ空軍が次期戦闘機にフランス製戦闘機やユーロファイター戦闘機への統一を断念してF/A-18Eスーパーホーネットを選定した背景には、ドイツ空軍に残るトーネード攻撃機が最後の核兵器搭載能力を持つ航空機であり、この後継機にユーロファイターを採用すると、ユーロファイターにはB-61核爆弾運用能力が無い点が問題視された、ということが。
ニュークリアシェアリングをドイツ空軍は今も重視しているのか、とある種感慨深い印象を受けましたが、現在、日本維新の会が想定する核兵器のシェアリングは、恐らくこうした自国内で、旭川付近や沖縄本島での自衛隊による核攻撃を想定したものではないという事が分ります。そしてニュークリアシェアリングは相手国首都への攻撃は想定しません。
ドイツとしてはニュークリアシェアリングにはある程度の意味が在った、それはB-61核爆弾が可変出力核兵器であり、出力を5ktから50ktまで調整できるという点があります、それはニュークリアシェアリングには自国での核兵器使用をその当事国に教養するという半面、その前に相手が自国に侵攻した際に核兵器を用いる懸念がある点が忘れるべきでない。
B-61核爆弾が可変出力を採用している背景には、相手が15ktの戦術核で攻撃を加えてきたのに50ktの核兵器で報復した場合には相手に過剰な被害をもたらし、更なる報復合戦の懸念が生じます、これが相手に通じるかについては議論の余地はあるのでしょうけれども、可変出力のB-61核爆弾は10ktの核攻撃に10ktでお釣りの無いよう反撃する意図がある。
ドイツ国内での核攻撃を最小限度とした上で、相手に自国の装甲師団を攻撃する際に核兵器を使わせないように、相手が我が装甲師団に使うのであれば同等の威力で、と備えるものがニュークリアシェアリングにはあり、だからこそ、核兵器の使えないユーロファイターでは意味が無い、とF/A-18を選んだのですね。結局F-35に修正されているのだが。
さて日本の場合、結局のところ、ドイツのような想定はしていないはずです、しているならば陸上自衛隊はもっと耐核防護装備を重視して装甲化を進めているはずです、核汚染地域に現在の普通科部隊は対応出来ません、ヘリボーンならば汚染地域を越えられるのですが、自衛隊のヘリコプター予算を見ればこれも完全に逆行しています、たりません。
日本はニュークリアシェアリングを想定しようにも、本来のニュークリアシェアリングが想定する様な国土戦での核兵器の使用は難しく、特に使用した場合は国土が核汚染されると共に、自衛隊にはその核汚染地域を踏破する装備が限られる為、自身の方が被害が甚大と成り得る。ここまで考えずに発言しているとは、政治家として資質を疑わざるを得ない。
北朝鮮が日本に核攻撃を加える懸念がある状況で、核抑止力が欲しいとするならば、アメリカの核抑止力、日本が核攻撃を受ければアメリカが対応するという日米同盟を仮に信じられないならば、ニュークリアシェアリングは役に立ちません、相手国の核攻撃を想定したものではない、そんなものが成立てば世界の核抑止秩序が核攻撃の代行により破綻する。
政治家として、核抑止力を欲するならば正面から馬場代表は日本の核武装を主張するべきでした、国内で核実験を行い世界に正当性を主張し想定される経済制裁の影響を国民に納得させ共に耐える為のリーダシップを執るべきだった。しかし、その覚悟が無いからこそ、こういう変な理論を自分に有利に解釈している、そうした政治家は、信用すべきではない。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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日本維新の会馬場代表ロイターインタビュー発言は単なる放言として無視されているのかもしれませんが、とんでもない。
ニュークリアシェアリングについて、現在アメリカがニュークリアシェアリングとしてNATOに供与しているのはB-61核爆弾で、これはオランダとイタリア及びトルコのNATO施設に備蓄されている事が公表されています。ニュークリアシェアリングの理念そのものが、使用国の領域内で投下する、というものですから、この場合日米同盟では難しさが。
日米安保条約では指揮系統の統合までは踏み込んでいません、するとニュークリアシェアリングを行った場合でもどういった状況で核兵器を日本に供与し使用するのかという枠組みを、指揮系統を統一化しておく必要があるのですが、現在の法制度をどれだけ拡大解釈したとしても、抜本的な新法を制定し日米の指揮系統を統一化しなければ不可能だと判る。
B-61核爆弾の場合は、ある意味明白な点はありまして、B-61核爆弾は無誘導である為に戦闘機か攻撃機に搭載する他ない、という事です。ドイツ軍はトーネード攻撃機を長らくこの任務に充てていますし、オランダやベルギーなどではF-16戦闘機をこの用途に充ててきました。フランスは独自の核を持ち、長らくミラージュ2000Nを核攻撃専用機としていた。
ドイツ空軍が次期戦闘機にフランス製戦闘機やユーロファイター戦闘機への統一を断念してF/A-18Eスーパーホーネットを選定した背景には、ドイツ空軍に残るトーネード攻撃機が最後の核兵器搭載能力を持つ航空機であり、この後継機にユーロファイターを採用すると、ユーロファイターにはB-61核爆弾運用能力が無い点が問題視された、ということが。
ニュークリアシェアリングをドイツ空軍は今も重視しているのか、とある種感慨深い印象を受けましたが、現在、日本維新の会が想定する核兵器のシェアリングは、恐らくこうした自国内で、旭川付近や沖縄本島での自衛隊による核攻撃を想定したものではないという事が分ります。そしてニュークリアシェアリングは相手国首都への攻撃は想定しません。
ドイツとしてはニュークリアシェアリングにはある程度の意味が在った、それはB-61核爆弾が可変出力核兵器であり、出力を5ktから50ktまで調整できるという点があります、それはニュークリアシェアリングには自国での核兵器使用をその当事国に教養するという半面、その前に相手が自国に侵攻した際に核兵器を用いる懸念がある点が忘れるべきでない。
B-61核爆弾が可変出力を採用している背景には、相手が15ktの戦術核で攻撃を加えてきたのに50ktの核兵器で報復した場合には相手に過剰な被害をもたらし、更なる報復合戦の懸念が生じます、これが相手に通じるかについては議論の余地はあるのでしょうけれども、可変出力のB-61核爆弾は10ktの核攻撃に10ktでお釣りの無いよう反撃する意図がある。
ドイツ国内での核攻撃を最小限度とした上で、相手に自国の装甲師団を攻撃する際に核兵器を使わせないように、相手が我が装甲師団に使うのであれば同等の威力で、と備えるものがニュークリアシェアリングにはあり、だからこそ、核兵器の使えないユーロファイターでは意味が無い、とF/A-18を選んだのですね。結局F-35に修正されているのだが。
さて日本の場合、結局のところ、ドイツのような想定はしていないはずです、しているならば陸上自衛隊はもっと耐核防護装備を重視して装甲化を進めているはずです、核汚染地域に現在の普通科部隊は対応出来ません、ヘリボーンならば汚染地域を越えられるのですが、自衛隊のヘリコプター予算を見ればこれも完全に逆行しています、たりません。
日本はニュークリアシェアリングを想定しようにも、本来のニュークリアシェアリングが想定する様な国土戦での核兵器の使用は難しく、特に使用した場合は国土が核汚染されると共に、自衛隊にはその核汚染地域を踏破する装備が限られる為、自身の方が被害が甚大と成り得る。ここまで考えずに発言しているとは、政治家として資質を疑わざるを得ない。
北朝鮮が日本に核攻撃を加える懸念がある状況で、核抑止力が欲しいとするならば、アメリカの核抑止力、日本が核攻撃を受ければアメリカが対応するという日米同盟を仮に信じられないならば、ニュークリアシェアリングは役に立ちません、相手国の核攻撃を想定したものではない、そんなものが成立てば世界の核抑止秩序が核攻撃の代行により破綻する。
政治家として、核抑止力を欲するならば正面から馬場代表は日本の核武装を主張するべきでした、国内で核実験を行い世界に正当性を主張し想定される経済制裁の影響を国民に納得させ共に耐える為のリーダシップを執るべきだった。しかし、その覚悟が無いからこそ、こういう変な理論を自分に有利に解釈している、そうした政治家は、信用すべきではない。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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