北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-戦場衛生基盤限界による四肢喪失多発と両軍が戦果主張のクピャンスク・スヴァトヴェ間の激戦

2023-08-09 07:00:44 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日は長崎原爆慰霊の日ですが平和祈念とはかけ離れた状況がウクライナでは続いています。そして戦場衛生基盤については自衛隊も学ぶべき点があるのでしょうか。

 ウクライナ国内では四肢喪失事例が既に数万件に上っているとみられる、ウォ-ルストリートジャーナルが報じました。これは戦闘により生じた重傷者や応急措置の遅れによる壊疽などから四肢切断を余儀なくされる状況で、広報とされる西部のリヴィウ医療機関だけでも過去1年間に5万3000件以上もの四肢切断手術が行われているという。

 イラク戦争やアフガニスタン治安作戦において、戦闘防弾チョッキや個人用応急措置装備の普及により、過去の戦争であれば救命が叶わなかった事例でも生存救命に成功した事例とともに、しかしその代償として四肢切断を余儀なくされる事例が報告されています。そしてウクライナでの医療切迫は四肢切断が有力な外科手術手段となっている状況だ。

 ウォールストリートジャーナルによれば、第一次世界大戦の数字を引用し、ドイツでは6万7000名とイギリスでは4万1000名が四肢切断を余儀なくされた点を紹介、第一次世界大戦では戦傷者の救命率も戦死者数も根本から異なりますが、ウクライナの戦後復興を考えるうえで、少なくない規模の四肢喪失退役兵は厳しい影を落とすことでしょう。
■クピャンスク-スヴァトヴェ
 ウクライナでは大規模な地上戦闘が続いています。

 クピャンスク-スヴァトヴェ間の攻防戦が激化している、8月2日付ISWアメリカ戦争研究所戦況報告が分析結果を公表しました。ロシア側はこの地域での攻撃前進を発表し、ウクライナ軍もこの地域での反撃を発表しています、しかし双方ともに顕著な前進が確認されていません。これは双方ともに激戦により前進を果たせていない証左です。

 クピャンスク-スヴァトヴェ間が激戦となる背景には、南部でのウクライナ軍反撃に対する揺動という側面はありますが、それ以上に南部地域はクリミア半島との鉄道輸送路が断続的に橋梁破壊を受け頓挫しており兵站線が寸断されている状況にあり、ロシア本土からの補給線を維持することができる地域でのロシア軍行動が活性化しているのでしょう。

 バフムト、東部戦線のもう一つの焦点は昨年からロシア側が攻撃を継続しているバフムトでの戦闘ですが、第57自動車化狙撃旅団がバフムト地域において部分的に攻撃に成功したとロシア側一部報道が示唆しています。しかし顕著な前進は確認されず、旅団は横溢戦闘加入ではなく、分散投入若しくは逐次投入されている可能性があるようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新しい88艦隊と反撃能力整備【1】八月八日は88艦隊の日-護衛艦隊護衛隊群隷下の護衛隊編成を統一すべきだ

2023-08-08 20:08:11 | 北大路機関特別企画
■八月八日は88艦隊の日
 北大路機関毎年恒例の”88艦隊の日”ですが本年は昨年末の国家防衛戦略に"反撃能力"が明記され国民と共に国土での本土決戦主義の防衛戦略から政府が決別の覚悟を示して最初に迎える八月八日です。

 新しい88艦隊、八月八日は88艦隊の日です。毎年のように提唱していますが、現在海上自衛隊の護衛艦隊を構成する4個護衛隊群には第1護衛隊群に第1護衛隊と第5護衛隊、第2護衛隊群に第2護衛隊と第6護衛隊、第3護衛隊群に第3護衛隊と第7護衛隊、第4護衛隊群に第4護衛隊と第8護衛隊がおかれています。この編成を統一してはという案だ。

 88艦隊、これは旧海軍が最新鋭の戦艦八隻と巡洋戦艦八隻から成る決戦兵力を中心とした一大艦隊を整備しようと試みた八八艦隊、毎年長門型戦艦同等以上の巨大戦艦を2隻建造し巡洋艦や艦隊駆逐艦と航空機や潜水艦も大量建造する、8年間で第一線を退役させ最新鋭艦で置換え続けるという、夢か財政破綻かという案を海上自衛隊が細やかに継承したもの。

 八八艦隊と異なり、海上自衛隊の構想は護衛艦隊を構成する四個護衛隊群を、護衛艦8隻と哨戒ヘリコプター8機から構成させ、護衛隊群だけでの外洋での独立した作戦能力を付与させる構想で、これは、はるな型護衛艦、はつゆき型護衛艦などの建造により完成しています。しかし、今回提案するのは、護衛隊に、外洋での独立作戦能力を保持するのが狙い。

 護衛隊群の隷下護衛隊編成を統一して、具体的に言えば現在各護衛隊群に1隻のみが配備されているヘリコプター搭載護衛艦について、すべての護衛隊に配備する必要性を毎年八月八日に提唱しているものです。特に現在のヘリコプター搭載護衛艦は全通飛行甲板型護衛艦であり、種別こそDD,駆逐艦ですが多数の航空機を運用できる大きな能力があります。

 ひゅうが型護衛艦、いずも型護衛艦、海上自衛隊には現在4隻のヘリコプター搭載護衛艦があり、この4隻を、率直に言えば8隻体制としたうえで、護衛隊の編成をヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦、そしてこれを支援する汎用護衛艦2隻という4隻の編成に転換する、編成の統一とは、こうした提案です。もちろんこれは簡単なことではありません。

 ヘリコプター搭載護衛艦4隻を建造するには、汎用護衛艦枠を削る必要があり、具体的に言えばまもなく艦齢30年を迎える護衛艦むらさめ型後継艦枠を9隻から4隻間引いた5隻体制とする必要が出てきます。同時にヘリコプター搭載護衛艦と汎用護衛艦では乗員数が200名多く、4隻増強は単純計算で800名の増員が必要となるのです。単純に言えば苦しい。

 ヘリコプター搭載護衛艦の増強にはもう一つ、海上自衛隊で近年問題となっている岸壁や桟橋の接岸能力という問題もあり、特に浮き桟橋の場合は大きなヘリコプター搭載護衛艦の接岸には限界があり、呉基地などでは不便な沖留めを強いられる状況も散見されます。つまり、これは既存の防衛力延長線上では簡単には実現できない。政治決断が無ければ。

 政治的に海上自衛隊には新しい88艦隊が必要だ、という認識がなければ実現は、特に人員面で難しいのですが、台湾海峡の緊張とロシアウクライナ戦争、この緊張が過去一年間と比較してもその増大が顕著であり、防衛に関する、防衛費が増額されるとはいえ無駄遣いの許されないリソースを88艦隊に集約させる正当性とはならないか、無理してでも、と。

 台湾海峡について。中国は台湾海峡有事を決断する場合に、どの程度アメリカや日本、そして世界の関心を想定しているのか中国指導部の意志は未知数です。しかし、ロシアウクライナ戦争について、アメリカのバイデン大統領が、米軍をウクライナへ展開させることはないと明言し関心が薄いとプーチン大統領に誤解させた可能性から始まったのでは、と。

 中国指導部がアメリカの本気度を見誤り、つまり、限定戦争であり核兵器を使わなければ黙認されるのではないか、という誤解を与えてしまえば、その瞬間に台湾海峡有事から台湾有事へ問題が大きく拡大し、手に負えない、第二次世界大戦以来の規模での空母同士の海上戦闘や潜水艦戦、人類が経験したことのない規模のミサイル戦闘に繋がる懸念がある。

 新しい88艦隊は、こうした状況において、一つは単純にF-35Bの母艦能力を有する艦艇が増える、としたF-35B代替滑走路的な運用という利点があるのですが、実のところそれ以上に、戦争というものを意識させ抑止力を行使するという用途に用いられる数少ない装備です。たとえば、これはマハン的な視点、そう海洋権力行使論的な視点で考える必要が。

 シーレーンをどこで遮断されると厳しいのか。日本は太平洋戦争において、戦争遂行能力ではなく国土保全を第一に軍事戦略を立て敗北しました。マリアナ以遠でくい止める絶対国防圏の発想がまさに当てはまり、南方資源地帯と本土を結ぶシーレーンの維持こそが戦争遂行能力、艦艇や航空機を増産する生命線という視点が抜け落ちていたように思えます。

 台湾海峡有事を画策する側において、その生命線はどこなのか。中東からの石油シーレーンか、東南アジアとの多国間国際分業のネットワークを司るシーレーンか、もちろん穀物輸送路の場合は鉄道というシーレーンに依存しない選択肢もあるにはあるのですが、どこを遮断されると厳しいのか、という視点を、憲法の神学論争を越え海軍戦略から考えたい。

 インド洋やアラビア海、いや大西洋地域までのパワープロジェクションを考える場合、無論同盟国の航空基地を用いて作戦部隊を展開させる手法が無いわけではないのですが、相手が遮断されたらば痛い、もしくは対策を考えなければならない地域へ作戦部隊を長期間展開させる手段は艦隊、そして航空機を兼ね持つ部隊でなければ任務には対応できません。新しい88艦隊が必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-イラン最高指導部が無人機ロシア供与の結果巡り二分,シャヘド136と日本の防衛

2023-08-08 07:00:48 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ロシアがどのようにイランを説得し無人機供与を引き出したかは未知数ですが、イラン製無人機がキエフなど大都市や港湾都市での無差別攻撃の象徴となった事だけは事実です。

 イラン最高指導部内での内紛が発生している、イギリスの対外情報部MI6のムーア長官がチェコでの会合にあわせ7月27日に発表しました。これは日本時間27日付CNN報道に記されていたものですが、イランがロシアへ供与した多数の自爆用無人機がキエフへの無差別爆撃に用いられていることで、イラン最高指導部が動揺しているとのこと。

 自爆用無人機のロシア供与をイラン政府は繰り返し否定していますが、シャヘド136の実物が多数ウクライナで残骸が回収されており、またイラン最高指導部はロシアへイランが無人機供与を行ったことを部分的に認めています。しかし、都市部無差別攻撃に使われる可能性をどの程度当局と最高指導部が調整していたのかがカギとなるのでしょう。

 ロシアへの自爆用無人機供与は、イランがロシア国内へ自爆用無人機工場建設を支援しており、これが2024年にも稼働状態になることで、年間でもかなり多数の、ウクライナ戦争での消費量を考えれば数千機単位、自爆用無人機をロシアが量産する事となり得るため、人道に外れた行為か、現金と技術供与か、を選んだ結果で内紛が生じたようです。
■シャヘド136と日本
 ロシアで生産が始まる大量のシャヘド無人機が東京や大阪を無差別攻撃する可能性はあるのです。

 イラン技術支援によるロシア製自爆無人機量産は、日本国内にも重大な影響を及ぼすこととなります、それはシャヘド136無人機の飛行距離は1800㎞から2500㎞であり、ロシア沿海州から東京や京都、福岡などを十分射程に収めているためです。その迎撃はNEWS電子戦システムや移動型電子戦システム2型、VADS高射機関砲や87式自走高射機関砲ならば非常に簡単ですが。

 VADS高射機関砲は150門を2022年に全廃したばかりであり、L-90高射機関砲もかつては110セットが装備されていましたが2010年までに全廃、87式自走高射機関砲は教育部隊所要を含めても48両しかなく、野戦防空用であるため、都市防空に回すには東京で一個中隊、札幌で一個中隊、大阪については検討、というくらいしか数がありません。

 MQ-9のような滞空時間の長い無人機を導入しAPKWS精密誘導兵器で迎撃するか、一時間当たり運用に200万円ほど要するF-15戦闘機を戦闘空中哨戒させるなどの対策はありますが、決め手ではありません。場合によっては戦闘ヘリコプターを再導入するか、COIN機を導入し早期警戒機をデータリンクさせ迎撃するなど検討が必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【防衛情報】FARA将来攻撃偵察航空機とTRV-50迅速補給無人機,地上発射型トマホークとNSM-CDS海軍攻撃ミサイル

2023-08-07 20:00:12 | インポート
■■■防衛フォーラム■■■
 今回はヘリコプターや空挺部隊の話を中心に機械化部隊等の話題も含めて戦端軍事装備の話題を集めてみました。

 アメリカ陸軍は将来偵察ヘリコプターが依然として有人機である必要性を研究で理論づけました。アメリカ陸軍では現在FARA将来攻撃偵察航空機という、タンデム複座型で対戦車攻撃能力を持つ有翼型の高速ヘリコプターを開発中です。しかし、この任務を人工知能により制御される無人航空機で代替できないかは、長年の議論とされてきました。

 陸軍将来垂直離着陸多機能研究室のウォルタールーゲン少将によれば、観測ヘリコプターが有人機として運用される場合と比べ、無人航空機は2030年の段階でのAI人工知能技術では75%の任務遂行が不可能であるとし、また2040年の段階であっても高リスク課題が10と中リスク課題が18残るとしています。具体的に何が、とは発表されていない。

 FARA将来攻撃偵察航空機には、ベル360インヴィクタスなど、先進的な有人航空機が開発され、特に陸軍は広いインド太平洋地域での運用を想定しているとされます。無人機については、映像以上の情報を得る難しさと、敵対行動に対する生存性確保の課題、また熟練操縦士のような価値基準を外部数値化する難しさなどが課題として挙げられています。
■MH-125ヘリ
 日本では報道ヘリなどで多用されている機種という印象ですね。

 アメリカ国内でエアバスヘリコプターズ社が軍用MH-125ヘリコプターを製造しました。H-125はユーロコプター社時代に開発されたユーロコプターフェニックで1990年に初飛行、単発型と双発型が開発されています。フランス軍はじめ30か国以上で軍用に採用されており、TOW対戦車ミサイルを搭載したAH-350など対戦車型なども稗発された。

 MH-125アレス、とされるヘリコプターはアメリカ軍では採用されていませんが、法執行機関と政府機関での運用実績のある航空機で、現在もアメリカ国内で民間用以外に100機が連邦政府や州政府と法執行機関で運用中です、今回、フランスではなくアメリカに製造基盤を構築した背景にはUH-72ヘリコプターの後継機を視野に入れているのでしょう。
■TRV-50迅速補給無人機
 自衛隊も第一線補給に課題を抱えていますがアメリカ海兵隊の方式は参考となり得るのでしょうか。

 アメリカ海兵隊はTRV-50迅速補給無人航空機を1300万ドルで41機追加導入します。TRV-50迅速補給無人航空機はいわゆる運搬用クワッドドローンで、アメリカ海兵隊では広い地域での地上戦闘に無人航空機による情報収集能力構築を長年進めてきましたが、弾薬や応急医療品に糧食などの運搬に無人航空機を更なる分野へ応用しようとしている。

 TRV-50迅速補給無人航空機は、150ポンドまでの重さの物資を9マイル先へ輸送するもので、一機当たりの費用は32万ドルと市販の無人航空機と比較した場合には最も高級な機種に相当しますが、性能面では市販機を大きく凌駕しているという。なお、この150ポンドとは殿補海兵一個分隊が一日に必要とする物資の合計重量にあたるということです。
■UH-1ヘリ後継機
 自衛隊の、といいますか富士重工が開発したUH-2が意外な候補に挙がる程度に地味ですが受容の在る航空機なのだと痛感するのだ。

 チリ空軍はUH-1ヘリコプター後継機選定を開始しました。チリ空軍は現在空軍戦術ヘリコプター学校などにUH-1H多用途ヘリコプターを配備していますが、この機体の老朽化を受け小型ヘリコプター14機の導入を希望しています。練習用ではありますが、連絡飛行任務や急患輸送など民生支援任務も担う為、チリ空軍は相応の性能を求めています。

 UH-1Hヘリコプター後継機選定はチリ空軍では喫緊の課題としており、その背景として稼働数が大幅に低下している現状があるという。求める性能は夜間を含む捜索救助能力と医療輸送や連絡飛行任務に対応しUH-1Hの原型機の性能を下回らないことで2023年後半にも機種選定が必要としています。スバルUH-2などが最適に思える要求仕様ですね。
■ウィーゼル空挺戦闘車後継
 ヘリコプターへの搭載をあきらめるというのは自衛隊の軽装甲機動車後継車両選定にも重なるところ。

 ドイツ連邦軍は老朽化したウィーゼル空挺戦闘車の後継としてオーストラリア製戦闘車両100両以上を取得する計画とのこと。これは3月23日にAP通信が報じたもので、オーストラリアにおいて製造するボクサー装輪装甲車を基本とした30mm機関砲搭載の装甲偵察車をドイツ軍が実質的に逆輸入するといい、早ければ2025年にも納入開始という。

 ウィーゼル空挺戦闘車は1989年より量産開始され、全長3.45mで全幅1.82m、戦闘重量は2.8tしかありませんが傾斜装甲の採用により正面装甲は12.7mm重機関銃や近距離からの7.62mmAP弾に耐えるもので、20mm機関砲かTOW対戦車ミサイルを搭載、最大の特色は空挺部隊とともにCH-53銃輸送ヘリコプターにより空輸可能というものでした。

 ボクサー装輪装甲車はドイツ軍の主力装輪装甲車ですが、主に兵員輸送車として運用され、オーストラリア軍仕様では打撃力とともに長距離偵察能力を強化しています、しかしウィーゼルよりもはるかに重量がある。この決定の背景にはドイツ陸軍がCH-53を空軍に移管したため、NH-90ヘリコプターしか無く装甲車空輸の必要性が解消したためでしょう。
■KTSSM戦術地対地誘導弾
 GMLRSの射程と重なりそうですが一発当たりの威力はこちらの方が有力ということになるのかもしれません。

 韓国国防省はKTSSM韓国型戦術地対地誘導弾の量産開始を発表しました。発表は5月11日、ADD国防開発庁が発射実験に成功したことを受けてのもので、施策された装備品の清野を先行量産品により発揮できることが確認され、大量生産開始を発表しました。この装備は北朝鮮核兵器に対抗する通常兵器キルチェーンシステムを構成する装備の一つ。

 KTSSM韓国型戦術地対地誘導弾はハンファディフェンス社が開発と製造を担当、四連装発射装置に内蔵され射程は120㎞、四連装発射装置とミサイル四発の取得費用は190万ドルと同種の精密誘導兵器と比較し非常にコスト管理に成功している装備といえるもの。GPS誘導でCEP半数命中界は2mでバンカーバスター弾頭により地下目標も破壊します。
■NSM-CDS海軍攻撃ミサイル
 地対艦ミサイルは自衛隊が導入開始した当時には西側のキワモノ扱いという印象でしたがアメリカ軍の海兵隊採用を始め一気に普及した印象だ。

 ラトビア政府が導入を進めるNSM-CDS海軍攻撃ミサイル沿岸防備システムについてアメリカ国務省は有償軍事供与を許可しました。バルト海に面するラトビアはロシアの飛び地カリーニングラードとバルト海沿岸のロシア本土サンクトペテルブルクを往来するロシアバルチック艦隊の脅威を受けており、地対艦ミサイル導入計画を進めてきました。

 NSM-CDS海軍攻撃ミサイル沿岸防備システムはノルウェーのコングスベルク社が開発したNSMミサイルの地対艦型で、今回ラトビアが導入するのは1億1000万ドル相当、システムはMLVミサイル発射装置3両とBCV戦闘指揮車1両及びCCV射撃指揮車3両、TRS-15Cレーダー標定車1両などから構成、最大10㎞離隔を執り展開可能です。
■地上発射型トマホーク
 陸軍の中距離ミサイルは日本へ配備される計画が撤回され中国にとり日本の地上から来るミサイルは全て自衛隊のものと教える結果になっていましたが、海兵隊はやってくれる。

 アメリカ海兵隊は2030年までに日本へ地上発射型トマホークミサイル大隊を新編するとしています。トマホーク地上発射型については共同通信が報じていますが、この部隊はカリフォルニア州に駐屯する第11海兵連隊を改編するもので、LBASM陸上機動型対艦ミサイルとしてトマホーク4連装発射装置4両で一つの射撃単位を構成するとのこと。

 地上発射型トマホークミサイル大隊、当初アメリカは日本本土へ陸軍のミサイル部隊を配置し、自衛隊が整備する反撃能力と協同する計画でしたが、日本独自のミサイル計画を受け十分だとして配備を見合わせました。しかし、日米がともに行動することにより、相手にどちらの発射装置化を秘匿させることが抑止力を構成するため、この決定は朗報です。
■H-145M対戦車ヘリ
 OH-6のようなものに頼るのか。

 ドイツ連邦軍はH-145M対戦車ヘリコプターを稼働率の低下しているPAH-2戦闘ヘリコプターの後継に充てる構想です。このH-145M対戦車ヘリコプターは連邦軍が軽多用途ヘリコプターとして導入を開始している一見ドクターヘリのようで頼りないものですが、戦闘用のものは民間機と区別され、エアバス社ではEC-645-T2とも呼ばれています。

 Hフォース武器システム、EC-645-T2の武装システムは体系化され、機内にはFN-MAG軽機関銃かM-134ミニガン多銃身機銃を搭載可能、また機体のスタブウイングには12.7mm乃至20mmガンポッドと70mmロケット弾発射器を搭載可能、また必要に応じスパイクER2対戦車ミサイルを搭載可能、更に機体には防弾装甲や複合光学センサーを積む。

 PAH-2戦闘ヘリコプターの後継に充てるに十分な性能を有しているかですが、上記のHフォース武器システムに加え、機体には自動防漏タンクなど初期の武装ヘリコプターよりも高い生存性が盛り込まれており、PAH-2には及ばずともそれまでに運用していたPAH-1というBO-105観測ヘリコプター対戦車型よりは進んだ機体といえるかもしれません。
■AW-149多用途ヘリ
 こちらも多用途ヘリコプターへのミサイル搭載ですがアパッチの配備と並行して一機でも空中打撃力を強化したいというドイツとは真逆の決定です。

 ポーランド陸軍はAW-149多用途ヘリコプターへヘルファイアミサイルを搭載し対戦車ヘリコプター運用を行う方針です。これは6月に発表されたロッキードマーティン社との契約に基づくもので、AGM-114R2ヘルファイアミサイルについて関連機材を含め1億5000万ドルの取得に関する政府間契約をポーランドとアメリカ政府が成約させています。

 AW-149多用途ヘリコプター、ポーランド軍は32機を導入、機外武器システムにより4連装発射器を機体左右に搭載し武装ヘリコプターとして運用する計画です。また同時に専用の戦闘ヘリコプターとしてAH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプターの導入も決定しており、AGM-114R2ヘルファイアミサイルはAH-64EとAW-149に搭載される。

 AGM-114R2ヘルファイアミサイルは今回の契約でミサイル本体800発、そしてM-36-CATM訓練装置4セットを導入するとのこと。AW-149多用途ヘリコプターの32機導入計画は17億6000万ユーロの調達計画で、レオナルド社がポーランドのPZL社傘下でライセンス生産を行う方針ですが、対戦車能力はその多用途性を更に広める事となります。
■レグランRC遠隔操作架橋装置
 自衛隊の91式戦車橋よりも進んでいる。

 ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はレグランRC遠隔操作架橋装置を発表しました。RCとはリモートコントロールの略称です。システムそのものはレオパルド2主力戦車の車体に架橋装置を装備した基本的な戦車橋構造を採用し、特筆すべきはすべて遠隔操作により架橋作業を行う点で、遠隔操作にはOCMコントロールモジュールを用いる。

 レグランRC遠隔操作架橋装置の開発にはエストニアの無人車両企業であるミレニアムロボティクス社が参加しており、これにより敵前の危険な地皺や地形障害踏破という戦闘工兵作業を無人により行うことが可能となります。クラウスマッファイヴェクマン社によれば、この遠隔操作技術は戦車回収作業や機雷掃海作業などに応用できるとしています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【M-5速報】小松基地日伊合同演習イタリア空軍展開,F-35AやCAEWとKC-767など(2023-08-06)

2023-08-07 07:00:43 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■小松基地のイタリア軍
 達磨寺のドイツ人、ではなく小松基地のイタリア軍。通常訓練が行われず戦闘機が格納されている日曜日の小松基地を見てみましたらイタリア空軍一色でした。

 8月6日、つまり昨日の日曜日なのですが小松基地に隣接する小松空港へ行って参りました。日伊合同演習のイタリア空軍参加部隊が並ぶ様子を撮影すると共に、北陸新幹線の来春開業を前にサンダーバード、しらさぎ、といった特急のいまを撮影するという二方面作戦だ。

 イタリア空軍の日本展開は実に百年ぶりということで、前回のイタリア空軍訪日飛行はイタリアで絵葉書もつくられ、なぜか髷をゆった日本人が描かれていたという。驚くなかれ三国同盟の時代にはイタリア海軍の潜水艦は来ても戦闘機までは日本に来ていなかった。

 小松空港での撮影は2日以来、という。その2日に到着予定であったイタリア空軍はシンガポールまで展開していたものの、台風六号に進路を阻まれた構図で3日も台風が動かなかった事でイタリア空軍も動けず、漸く4日に長躯日本へと空中給油を受け展開します。

 台風6号は沖縄県に滞留したままの状況で、4日の日本到着も結局は2100時過ぎの到着となりまして、夜の中を着陸に向かう機体の様子、北陸本線はそろそろ大阪へ終電が出てしまっている時間帯、ここまで粘って撮影していた方々というのは本当にすごいなあ、と。

 本日7日より訓練が本格開始されます。実はこの月曜日になんとか行ければ、と思ってはいたのですが仕事の関係とともに、天候も若干微妙な雲行きとなっていまして、それならば飛ばないけれども確実に撮影できる日曜日に小松へ行ってみよう、と決断したしだい。

 F-35A戦闘機にKC-767空中給油輸送機、CAEW早期警戒機、C-130輸送機、今回の展開は日本と世界にイタリア軍の展開能力を誇示する目的も在ったのでしょう、しっかり見える位置に駐機していてくれたのが印象的でした。撮影者も多くはなく、牧歌的でした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【15】むらさめ型護衛艦に続く第三世代汎用護衛艦(2012-10-08)

2023-08-06 20:02:46 | 海上自衛隊 催事
■次の護衛艦を考える
 観艦式の写真と共にいろいろ海上自衛隊関連の話題を掲載する特集となっている日曜特集です。

 むらさめ型護衛艦後継艦がどのようになるのか、一番艦むらさめ竣工が1996年ですので既に一番艦艦齢は27年、イージス艦こんごう艦齢に至っては30年でもありますから、真剣にその後継艦を計画しなければなりませんが、特にその運用環境が変化した。

 汎用護衛艦は、求められる運用性能に1990年代の設計当時は、アフリカ方面での長期作戦運用などは考えられなかったでしょう、しかしソマリア沖海賊対処任務によりその任務は恒常化しており、また護衛艦を取り巻く国際情勢も大きく変化しています。

 反撃能力という新しい防衛力整備を考えるならば、例えばアメリカのスプルーアンス級駆逐艦のようにMk41VLSを61セル搭載し、汎用護衛艦を水上からの打撃力に用いるという選択肢は当然考えられます、しかし同時に脅威の変化も留意する必要がある。

 対艦ミサイルの射程延伸が続いていますし、何より無人水上艇による攻撃という新しい脅威が顕在化しており、これは従来の対水上戦闘の概念をおおきく変えうるものとなるのかもしれません。無人艇は行動圏内が限られる一方、運用に柔軟性があります。

 搭載センサーをどのように考えるか、無人艇の脅威を直視すればマストに設置する対水上レーダーでは無人艇による飽和攻撃を直前まで把握できない可能性がありますので、無人ヘリコプターや小型無人機を上空に待機、対水上警戒を行う必要が出てきます。

 はるな型ヘリコプター搭載護衛艦のような航空機格納庫容積に余裕を持たせることで無人ヘリコプターや無人航空機を十分に搭載させるという選択肢はでてくるでしょう。船体設計では、はるな型の基本設計の延長線上に、むらさめ型護衛艦が位置するのですし。

 哨戒艦、汎用護衛艦の将来における不確定要素に12隻という纏まった数を量産する海上自衛隊哨戒艦というものがあります。これは基準排水量1920tで速力は20ノット、乗員30名で派手な武装は無く30mm機関砲と飛行甲板や多目的格納庫を有するという。

 観艦式に参加するならば一隻当たり300名は乗れそうだ、乗員が少ないので地本要員やほかの地方隊と陸上自衛隊などからも安全員として支援要員が必要になるか、という視点はさておき、この哨戒艦が護衛艦を平時の警戒監視任務から解放する可能性がある。

 平時における警戒監視任務は護衛艦でなくとも可能であり、実際近年は護衛艦の訓練時間を圧迫することから警戒監視任務に掃海艇や多用途支援艦まで動員、補給艦が当たったという事例も散見されます。しかしこれらの艦艇にも任務があることは変わりない。

 1920tの船体に乗員30名であれば、これは全員が個室を与えられ、つまり一か月二ヶ月の長期航海に対応する可能性があります、3交代制をとるならば1直あたり艦長や船務長を除けば9名で運用する必要がありますが、警戒監視と記録だけならば可能でしょう。

 油槽船1号型、4900t型油槽船として2022年に2隻が揃って竣工した海上自衛隊期待の大型支援船ですが、全員が個室という自衛隊の艦船として油槽船1号型は初の実績を積みました。油槽船1号型で全員個室が実現したのだから哨戒艦でも十分あり得ます。

 ひびき型音響測定艦、情報収集艦であり艦内が全く公開されないために詳細は不明なのですが、こちらについても長期間の航海を行うとともに運用を自動化しているため、ほぼ全員が個室という話がありまして、しかも運用上その連続航行日数も数か月に及ぶ。

 SURTASS船という、長大なAN/UQQ-2監視用曳航アレイソナーを運用する音響測定艦は基準排水量2850tに対し乗員40名、この為トレーニングルームや自習室と艦内での野菜栽培装置などを搭載しているといい、1991年竣工ながら居住性の理解があった。

 警戒監視任務、12隻の哨戒艦といいますと護衛艦の48隻と比較し四分の一ではないか、という反論が来るかもしれませんが、一人当たりの居住区画容積を護衛艦よりも余裕を持ち、一回当たりの航海日数が多ければ護衛艦30隻分の警戒監視任務も可能となる。

 むらさめ型護衛艦後継艦は、こうした観点から任務を第一とできる余地が生まれます。ただ、護衛艦は30年間にわたり運用し、特に次の汎用護衛艦は20隻に上る第三世代型汎用護衛艦の鏑矢となるため、毎年一隻を建造した場合でも20年間の整備期間へ。

 第三世代汎用護衛艦は、いや、第一世代汎用護衛艦の20隻は、はつゆき、うみぎり、に至るまで一定の同等性能を基に整備されていますが、第二世代汎用護衛艦は最初の一隻、むらさめ、最後の第二世代汎用護衛艦しらぬい、比べますとかなり変容がある。

 ロシアウクライナ戦争の戦訓を反映するならば、極論として政治が北大西洋方面へ護衛艦隊を展開させ睨みを利かせる運用を要求する可能性も皆無ではありません、実際、1990年代と2020年代の日本安全保障政策は周辺情勢に併せてものすごく大きく変化した。

 自爆型無人機、2024年にもシャヘド136ロシア仕様無人機工場がロシア国内に完成しますと安価な無人機が毎年数千機製造される事となる、シャヘド136の射程いや航続距離は1800㎞から2500㎞ですので沿海州から東京は勿論、福岡にさえ届くのです。

 反撃能力で反撃すれば抑止力になる、こう思われるかもしれませんが、策源地攻撃を行うとして大袈裟な発射装置が不要でピックアップトラック荷台からさえも発射しうる自爆型無人機を完全制圧するには、現実的にはすべての車両を叩くなど現実的に不可能だ。

 ウクライナ軍は無人航空機による反撃をモスクワに重点的に展開していますが、これは民主主義国家ではなく明確に格差を容認している権威主義国家に対しては策源地攻撃は、ウクライナの視点でモスクワやサンクトペテルブルクに行う必要があるという認識で。

 反撃能力、直接侵攻は無くともイエメン内戦におけるサウジアラビアやアラブ首長国連邦へのシャヘド136攻撃に見られるような、例えば日本の原発や石油貯蔵施設と空港や人口密集地に対して、日本人そのものが大量破壊兵器だとして攻撃する可能性はある。

 極論だといわれるかもしれませんが、ブチャの虐殺やオデッサの穀物倉庫への攻撃は、こうした意識がある故と考えなければならない、ロシアから見て同胞であるウクライナへこの仕打ちと考えるならば、ロシアから見て日本は同胞以上の存在なのか、と。

 汎用護衛艦に反撃能力を搭載し北大西洋に展開し、各国領空を経由せずバルト海側から反撃を行うという選択肢は、岸田政権のドクトリンにおいて考えなければなりませんし、すると汎用護衛艦の行動半径についても、こうした見直しを含める必要が出てくる。

 逆に食料自給率と再生可能エネルギーや水素動力と原子力に重点化、鎖国で専守防衛を貫ける国家へ転換する可能性も皆無ではない。護衛艦はこうした国家の施策を先読みし設計する必要があるため、第三世代汎用護衛艦は今から一つの関心事ともなるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:岐阜-大垣,雨宿りのトラットリアは青パパイヤと冷製パスタで涼む

2023-08-06 18:15:33 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 はるなさん今回は大垣を歩いてみた。岐阜県では岐阜市に次いで大きな街で水のきれいな街だと小説の青春ブタ野郎シリーズでは説明された街です。

 大垣、思い起こせばこの夏は青春18きっぷの季節、実は今年は2019年以来久々に購入しましたので、自由気ままな鉄道旅行というものを満喫できるようになった、思えば2020年と2021年に2022年はコロナの影響が大きかった、今でも危険なのだが。

 ムーンライトながら。いやこれは313だが、ひと昔では毎日運航されていました大垣夜行の、東京と大垣を結ぶ夜行快速、その始発駅が大垣でした。その大垣は大垣城があり、また幾つかのアニメの聖地でもあり、実際散策してみますと、大垣空襲はありましたが、街並みは美しい。

 大垣散策の最中、ちょうど雨雲が近づいてきましたので雨宿りのように駆け込んだお店で、ランチとしましたが、先ず出てきましたのは青汁のような、ほうれん草と小松菜のグリーンスムージーというものでした、これが、甘酸っぱくて爽やか、いいお店見つけた。

 青春ブタ野郎シリーズ、青汁繋がりではないのだけれど、先日までBS-211にて再放送していまして、新しい劇場版が公開される、基本的に鎌倉が舞台の作品なのですが作中重要なシーンで大垣が出てきます、その関係もあり、ちょっと歩みを伸ばしてみたが。

 白ワイン、ここまで色とりどりの前菜が出てきますと、ランチタイムなのですがもう午後なのですし、ワインとともに過ごさなければもったいないように思えてしまうのですね。奄美よりも酸味と香りを愉しむ、口に含んで転がしてみますとこれそんな感じ。

 青パパイヤのサラダと洋風おから、エビ春巻きにエスカベッシュ、前菜がひとさらに並びます、青パパイヤといいますと、タイ料理では御馴染みの食材で食感が楽しいのですが、イタリアンでも使うのか、歯ごたえと主張しすぎない味覚が、もうこれは発見だ。

 おから、これは代用食のように考えていたものなのですが薄く味付けして香りもよく、そしてサラダともよくなじむ。しかしなにより繰り返すけれども青パパイヤのサラダ、一見キンピラゴボウにもみえるのだけれども、この食感がもう実に楽しい美味しい。

 シーフードの冷製パスタ、ランチはパスタランチとしましたので、冷え冷えとした冷涼感が伝わるような、薄く出汁のきいた塩味というスープに、ムール貝やホタテにイカとエビにもう一つはアサリか、シーフードがパスタと、そしてちょっとの野菜とともに。

 冷製パスタ、夏の風物詩ですよね。パスタが細身で、これはもしかしてお素麵かな、なんておもってみますとしっかりとした噛み応えとともに間違いなくパスタだとわかる、パスタは冷やすとコシが出ますので、噛み応えがある、けれど決して固くはない味に。

 パスタ、いいじゃないですか。そう思っていると、ごとんごとんと東海道本線の新快速、かと思えば白いので特急しらさぎ号か、店の奥の窓からちょっとだけ列車が見えた、なるほど、ここはトレインビュー、というほどではないが、電車もみえるのかあ。

 充実したランチには紅茶か珈琲がつくのですが、アイスコーヒーをお願いする。そのころにはがたんがたんと、今度は気動車の、樽見鉄道の青っぽい車両が見えた。青パパイヤに青汁っぽいのに青春ブタ野郎の聖地と、なるほど今日は青づくし、というわけ。

 パンナコッタとミルクジェラートとフルーツの盛り合わせのデザートがやってきました、しゃりりとしたジェラートとマンゴーソースの載ったパンナコッタ、食べる順番と配分を考えつつ、なるほど、雨には降られてみるものだ、それでいいお店見つけた、と。

 ジラソーレ。会計済ませ店を出るとむっとした湿気がカメラを曇らせ看板を撮影しようとするレンズに響いた。ここは大垣市林町一丁目、東海道本線沿線の、岐阜よりに線路を超える最初の陸橋の袂でトラットリア、つまり食堂です。面白い雨宿りでしたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ベラルーシ軍ヘリコプター編隊ポーランド領空侵犯とロシア軍第25諸兵科連合軍新編

2023-08-06 07:00:29 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日は広島原爆慰霊の日なのですがウクライナ情勢はポーランドベラルーシ国境の緊張増大など、戦術核兵器を並べた上での火種が燻る。同様の挑発を日本が仕掛けられた場合はどう対応すべきか。

 ベラルーシ軍ヘリコプターがポーランドを領空侵犯しました。8月1日、Mi-24ハインド攻撃ヘリコプターに護衛されたMi-17ヒップ中型輸送ヘリコプターが低空でポーランドのベラルーシ国境にほど近いビャウォヴィエジャ国立公園上空を領空侵犯、レーダーを避けるためにか低空を飛行しており、地上から領空侵犯の様子が撮影されています。

 飛行経路は国境付近において意図的にポーランド側に旋回し領空侵犯した事がレーダー飛行経路により判明しており、事故による偶発的な国境線越えではなく意図的な領空侵犯という挑発行為であることが見て取れます。ベラルーシにはロシア軍戦術核兵器が搬入されており、ポーランドによる攻撃が行われれば核兵器使用を示唆し緊張が高まっている。

 領空侵犯が行われた経緯は不明ですが、ウクライナへのNATO軍事援助の多くは隣国ポーランドから陸路により搬入、ロシアは黒海を行き交う穀物輸送船に兵器が隠されていると主張しますが、ポーランドとベラルーシの緊張関係を高める事でNATOのウクライナ援助を妨害する意思が考えられ、NATOは国境での偽旗作戦を警戒しています。
■第25諸兵科連合軍
 こうした部隊の立て直しの早さは自衛隊も参考とすべきなのでしょうか。

 ロシア軍は新たに第25諸兵科連合軍を新編した、イギリス国防省8月2日付ウクライナ戦況報告は発表しました。ロシア軍はウクライナでの大規模な損耗により地上戦力の枯渇に悩まされており、予備役兵の動員を行うとともに既存部隊の損耗補填や国境警備部隊の強化に充ててきたとされています、その結果、新しい部隊は新編出来ません。

 第25諸兵科連合軍は2023年6月ごろから新編計画に着手し、実現されたもので2022年8月に新編された第3軍団以来の大規模な部隊新編となります。常に多くの損耗が突き付けられる中で、ロシア軍はウクライナ前線において自由に投入できる予備部隊の払底に悩まされ、複雑な装備体系を包括装備する諸兵科連合軍新編は高い障壁でした。

 第3軍団は、しかし過去一年間の戦闘において大きな戦果を示せていないとされ、基幹要員さえ動員した予備役に頼り装備体系の枯渇も深刻となっていることを示しますが、同時にロシアはNATOとの対立激化に備え、新しい重戦力部隊のNATOとの境界線に配備する模索を続けており、この為には総動員大統領令が必要となる為、実現しません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【G3X速報】小松基地F-15日常風景,日伊合同訓練イタリア空軍待ちと台風六号南西方面滞留(2023-08-02)

2023-08-05 20:21:18 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■イーグル咆哮轟く小松
 イタリア空軍は昨日金曜日2145時頃に到着しました。現地で三日間待機されたみなさま本当にお疲れ様でその粘り強さは正直すごいです。

 台風6号、沖縄県に滞留していまして今後は本土に向かう。その影響という訳ではないのかもしれませんが、水曜日、予定されていたイタリア空軍の日伊合同訓練参加部隊が予定していた小松基地展開を延期しました。CAEW早期警戒機やF-35戦闘機など。

 シンガポールから小松基地まで、飛行時間は五時間半から七時間を要しますが、途中空中給油を挟んで経由地に着陸せず飛行するという。沖縄県に滞留する台風6号はまさにその進路上に立ちふさがっている構図ですから、仕方ないといえば仕方ないのでしょう。

 タイフーンでも来てくれれば、という願いは台風が来て肝心のイタリア空軍が来れない、という状況になりました。ドイツ空軍のユーロファイターはコロナの最中の百里基地へ、その前のイギリス空軍機体は、かなり前の話でしたが三沢基地でしたから、ねえ。

 小松基地は、歓迎行事の日程を延期していましたが、なにしろ特急に乗る時点でイタリア空軍の到着予定がどうなるかなんてことは、先ず来るだろうという予定で準備していますので、撮影しました当方としましては、気を切り替えて小松基地を撮影するしか。

 F-15戦闘機、考えてみますと航空祭以外では小牧基地と岐阜基地ばかり撮影していますので、戦闘機の基地というのはなかなか新鮮な機会、着陸を真下から撮影するか、離陸直後の旋回のいわゆるヒネリを撮影するか、王道で基地の日常風景を撮影するか、と。

 イーグル、小松空港展望デッキから撮影する事としました。王道といえば王道ですが、もともと、小松基地に到着するイタリア軍機を撮影するのが目的ですので、離陸後のヒネリはそれほど考えませんでしたし、なによりここは自販機と売店にクーラーがある。

 サンダーバード、しらさぎ、北陸本線は来年の北陸新幹線敦賀延伸により大きく縮小され、馴染んだ特急もすべて新幹線に切り替わります、このことを考えれば夏空の北陸とサンダーバード、という写真も今年限りという事になりますので、貴重な機会なのですね。

 CAEW早期警戒機、撮影したかったものです。近年NATOとアメリカは早期警戒管制機の小型化に取り組んでおり、長距離空対空ミサイル飛び交う近未来の第一線では大型の早期警戒機には限界がある、日本の場合は後方のランセット無人機対策も必要だが。

 早期警戒機はどうなるのか、CAEWの写真撮影を考えた背景には、まあ浜松にオーストラリアのE-7A早期警戒機が来た時に撮影しておけば、という話にもなるのですが、アメリカがE-3早期警戒管制機の運用完了を視野に入れているための日本の去就のため。

 AEW機とAWACS機、大型の早期警戒管制機は空対空ミサイルの射程が500㎞に達しようという時代に、狙われやすい高付加価値目標となるため、中型小型の機体を多数運用する時代に転換しようとしている、E-7Aについてもその表れといえるでしょう。

 ただ、2000㎞近い長距離を飛行可能である自爆型無人機の増大は、空対空ミサイルは飛んでこないが自爆型無人機を常時持続的に警戒する航空機が必要であり、それには小型であるよりも交代要員と休息区画を十分確保できる大型機と給油機が必要ではないか。

 台風6号、大変だなあ、とは思うのはイタリア空軍を迎える側の航空自衛隊も8月2日と3日が飛行中止となり、小松空港で待つ航空愛好家の方々も待ちぼうけです。そんな中で、改めて今後の早期警戒機の自衛隊におけるE-767去就を考えてしまったのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】JR西日本,この夏一番暑そうな写真-225系新快速とカラスvsサンダーバード

2023-08-05 14:11:06 | コラム
■陽炎と鉄路と新快速
 沖縄付近の台風六号、台風がこちらに来たならば涼しくなるのか暴風被害が大きい為に熱さを我慢した方がいいのか。

 この夏一番暑そうな写真、ということで線路の向こうから陽炎とともにこちらに向かってくる225系新快速の写真を選んでみました。山科駅という、大津まで出れば多少は空気が乾燥して涼しく感じるが、むっとする京都の暑さを車内で運んでいる新快速だ。

 225系新快速は冷房性能が高いのでしょうか、確かに223系よりも車体が新しい分だけ涼しいと感じたものですが、なによりアーバンネットワークの新快速、冷房性能云々は除いて車内は満員ですので、人いきれで蒸気圧が車体を動かせそうなほど車内は蒸す。

 サンダーバートの通過は涼しいというよりもひやっとした風景、よく見たらカラスさんが白線の外側にいる、サンダーバードの山科駅通過速度はかなり高いものですから、おおいカラスさん逃げないとサンダーバードにやられてしまうよお、っとひやひやもの。

 カラスvsサンダーバードのほうは、カラスさん賢いので列車の接近を見ると慌ててホーム側に逃げていました、221系と似ているといえば似ている白い色です、もしかしてすいている普通列車だったら乗って冷房でひと涼みするつもりだったのかもしれない。

 223系新快速と225系新快速を比べますと、前照灯部分がLEDかハロゲン球かという一番の違いがあるのですが、ハロゲン球の色合いからか、若しくはこれは熱を持つので証明に触ると熱いという経験則からのものか、223系の方がなにか熱く見えるのです。

 夏はこれから、昨年は八月下旬には涼しくなっていましたので、今年も残暑がそれほど大きく長引かねばと期待するのですが、台風が接近できないほどの太平洋高気圧が熱を閉じ込めてしまいますので、熱い夏をせめて暑い夏程度にしてくれれば、と思うのだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする