■■■防衛フォーラム■■■
今回はヘリコプターや空挺部隊の話を中心に機械化部隊等の話題も含めて戦端軍事装備の話題を集めてみました。
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アメリカ陸軍は将来偵察ヘリコプターが依然として有人機である必要性を研究で理論づけました。アメリカ陸軍では現在FARA将来攻撃偵察航空機という、タンデム複座型で対戦車攻撃能力を持つ有翼型の高速ヘリコプターを開発中です。しかし、この任務を人工知能により制御される無人航空機で代替できないかは、長年の議論とされてきました。
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陸軍将来垂直離着陸多機能研究室のウォルタールーゲン少将によれば、観測ヘリコプターが有人機として運用される場合と比べ、無人航空機は2030年の段階でのAI人工知能技術では75%の任務遂行が不可能であるとし、また2040年の段階であっても高リスク課題が10と中リスク課題が18残るとしています。具体的に何が、とは発表されていない。
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FARA将来攻撃偵察航空機には、ベル360インヴィクタスなど、先進的な有人航空機が開発され、特に陸軍は広いインド太平洋地域での運用を想定しているとされます。無人機については、映像以上の情報を得る難しさと、敵対行動に対する生存性確保の課題、また熟練操縦士のような価値基準を外部数値化する難しさなどが課題として挙げられています。
■MH-125ヘリ
日本では報道ヘリなどで多用されている機種という印象ですね。
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アメリカ国内でエアバスヘリコプターズ社が軍用MH-125ヘリコプターを製造しました。H-125はユーロコプター社時代に開発されたユーロコプターフェニックで1990年に初飛行、単発型と双発型が開発されています。フランス軍はじめ30か国以上で軍用に採用されており、TOW対戦車ミサイルを搭載したAH-350など対戦車型なども稗発された。
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MH-125アレス、とされるヘリコプターはアメリカ軍では採用されていませんが、法執行機関と政府機関での運用実績のある航空機で、現在もアメリカ国内で民間用以外に100機が連邦政府や州政府と法執行機関で運用中です、今回、フランスではなくアメリカに製造基盤を構築した背景にはUH-72ヘリコプターの後継機を視野に入れているのでしょう。
■TRV-50迅速補給無人機
自衛隊も第一線補給に課題を抱えていますがアメリカ海兵隊の方式は参考となり得るのでしょうか。
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アメリカ海兵隊はTRV-50迅速補給無人航空機を1300万ドルで41機追加導入します。TRV-50迅速補給無人航空機はいわゆる運搬用クワッドドローンで、アメリカ海兵隊では広い地域での地上戦闘に無人航空機による情報収集能力構築を長年進めてきましたが、弾薬や応急医療品に糧食などの運搬に無人航空機を更なる分野へ応用しようとしている。
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TRV-50迅速補給無人航空機は、150ポンドまでの重さの物資を9マイル先へ輸送するもので、一機当たりの費用は32万ドルと市販の無人航空機と比較した場合には最も高級な機種に相当しますが、性能面では市販機を大きく凌駕しているという。なお、この150ポンドとは殿補海兵一個分隊が一日に必要とする物資の合計重量にあたるということです。
■UH-1ヘリ後継機
自衛隊の、といいますか富士重工が開発したUH-2が意外な候補に挙がる程度に地味ですが受容の在る航空機なのだと痛感するのだ。
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チリ空軍はUH-1ヘリコプター後継機選定を開始しました。チリ空軍は現在空軍戦術ヘリコプター学校などにUH-1H多用途ヘリコプターを配備していますが、この機体の老朽化を受け小型ヘリコプター14機の導入を希望しています。練習用ではありますが、連絡飛行任務や急患輸送など民生支援任務も担う為、チリ空軍は相応の性能を求めています。
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UH-1Hヘリコプター後継機選定はチリ空軍では喫緊の課題としており、その背景として稼働数が大幅に低下している現状があるという。求める性能は夜間を含む捜索救助能力と医療輸送や連絡飛行任務に対応しUH-1Hの原型機の性能を下回らないことで2023年後半にも機種選定が必要としています。スバルUH-2などが最適に思える要求仕様ですね。
■ウィーゼル空挺戦闘車後継
ヘリコプターへの搭載をあきらめるというのは自衛隊の軽装甲機動車後継車両選定にも重なるところ。
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ドイツ連邦軍は老朽化したウィーゼル空挺戦闘車の後継としてオーストラリア製戦闘車両100両以上を取得する計画とのこと。これは3月23日にAP通信が報じたもので、オーストラリアにおいて製造するボクサー装輪装甲車を基本とした30mm機関砲搭載の装甲偵察車をドイツ軍が実質的に逆輸入するといい、早ければ2025年にも納入開始という。
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ウィーゼル空挺戦闘車は1989年より量産開始され、全長3.45mで全幅1.82m、戦闘重量は2.8tしかありませんが傾斜装甲の採用により正面装甲は12.7mm重機関銃や近距離からの7.62mmAP弾に耐えるもので、20mm機関砲かTOW対戦車ミサイルを搭載、最大の特色は空挺部隊とともにCH-53銃輸送ヘリコプターにより空輸可能というものでした。
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ボクサー装輪装甲車はドイツ軍の主力装輪装甲車ですが、主に兵員輸送車として運用され、オーストラリア軍仕様では打撃力とともに長距離偵察能力を強化しています、しかしウィーゼルよりもはるかに重量がある。この決定の背景にはドイツ陸軍がCH-53を空軍に移管したため、NH-90ヘリコプターしか無く装甲車空輸の必要性が解消したためでしょう。
■KTSSM戦術地対地誘導弾
GMLRSの射程と重なりそうですが一発当たりの威力はこちらの方が有力ということになるのかもしれません。
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韓国国防省はKTSSM韓国型戦術地対地誘導弾の量産開始を発表しました。発表は5月11日、ADD国防開発庁が発射実験に成功したことを受けてのもので、施策された装備品の清野を先行量産品により発揮できることが確認され、大量生産開始を発表しました。この装備は北朝鮮核兵器に対抗する通常兵器キルチェーンシステムを構成する装備の一つ。
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KTSSM韓国型戦術地対地誘導弾はハンファディフェンス社が開発と製造を担当、四連装発射装置に内蔵され射程は120㎞、四連装発射装置とミサイル四発の取得費用は190万ドルと同種の精密誘導兵器と比較し非常にコスト管理に成功している装備といえるもの。GPS誘導でCEP半数命中界は2mでバンカーバスター弾頭により地下目標も破壊します。
■NSM-CDS海軍攻撃ミサイル
地対艦ミサイルは自衛隊が導入開始した当時には西側のキワモノ扱いという印象でしたがアメリカ軍の海兵隊採用を始め一気に普及した印象だ。
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ラトビア政府が導入を進めるNSM-CDS海軍攻撃ミサイル沿岸防備システムについてアメリカ国務省は有償軍事供与を許可しました。バルト海に面するラトビアはロシアの飛び地カリーニングラードとバルト海沿岸のロシア本土サンクトペテルブルクを往来するロシアバルチック艦隊の脅威を受けており、地対艦ミサイル導入計画を進めてきました。
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NSM-CDS海軍攻撃ミサイル沿岸防備システムはノルウェーのコングスベルク社が開発したNSMミサイルの地対艦型で、今回ラトビアが導入するのは1億1000万ドル相当、システムはMLVミサイル発射装置3両とBCV戦闘指揮車1両及びCCV射撃指揮車3両、TRS-15Cレーダー標定車1両などから構成、最大10㎞離隔を執り展開可能です。
■地上発射型トマホーク
陸軍の中距離ミサイルは日本へ配備される計画が撤回され中国にとり日本の地上から来るミサイルは全て自衛隊のものと教える結果になっていましたが、海兵隊はやってくれる。
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アメリカ海兵隊は2030年までに日本へ地上発射型トマホークミサイル大隊を新編するとしています。トマホーク地上発射型については共同通信が報じていますが、この部隊はカリフォルニア州に駐屯する第11海兵連隊を改編するもので、LBASM陸上機動型対艦ミサイルとしてトマホーク4連装発射装置4両で一つの射撃単位を構成するとのこと。
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地上発射型トマホークミサイル大隊、当初アメリカは日本本土へ陸軍のミサイル部隊を配置し、自衛隊が整備する反撃能力と協同する計画でしたが、日本独自のミサイル計画を受け十分だとして配備を見合わせました。しかし、日米がともに行動することにより、相手にどちらの発射装置化を秘匿させることが抑止力を構成するため、この決定は朗報です。
■H-145M対戦車ヘリ
OH-6のようなものに頼るのか。
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ドイツ連邦軍はH-145M対戦車ヘリコプターを稼働率の低下しているPAH-2戦闘ヘリコプターの後継に充てる構想です。このH-145M対戦車ヘリコプターは連邦軍が軽多用途ヘリコプターとして導入を開始している一見ドクターヘリのようで頼りないものですが、戦闘用のものは民間機と区別され、エアバス社ではEC-645-T2とも呼ばれています。
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Hフォース武器システム、EC-645-T2の武装システムは体系化され、機内にはFN-MAG軽機関銃かM-134ミニガン多銃身機銃を搭載可能、また機体のスタブウイングには12.7mm乃至20mmガンポッドと70mmロケット弾発射器を搭載可能、また必要に応じスパイクER2対戦車ミサイルを搭載可能、更に機体には防弾装甲や複合光学センサーを積む。
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PAH-2戦闘ヘリコプターの後継に充てるに十分な性能を有しているかですが、上記のHフォース武器システムに加え、機体には自動防漏タンクなど初期の武装ヘリコプターよりも高い生存性が盛り込まれており、PAH-2には及ばずともそれまでに運用していたPAH-1というBO-105観測ヘリコプター対戦車型よりは進んだ機体といえるかもしれません。
■AW-149多用途ヘリ
こちらも多用途ヘリコプターへのミサイル搭載ですがアパッチの配備と並行して一機でも空中打撃力を強化したいというドイツとは真逆の決定です。
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ポーランド陸軍はAW-149多用途ヘリコプターへヘルファイアミサイルを搭載し対戦車ヘリコプター運用を行う方針です。これは6月に発表されたロッキードマーティン社との契約に基づくもので、AGM-114R2ヘルファイアミサイルについて関連機材を含め1億5000万ドルの取得に関する政府間契約をポーランドとアメリカ政府が成約させています。
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AW-149多用途ヘリコプター、ポーランド軍は32機を導入、機外武器システムにより4連装発射器を機体左右に搭載し武装ヘリコプターとして運用する計画です。また同時に専用の戦闘ヘリコプターとしてAH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプターの導入も決定しており、AGM-114R2ヘルファイアミサイルはAH-64EとAW-149に搭載される。
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AGM-114R2ヘルファイアミサイルは今回の契約でミサイル本体800発、そしてM-36-CATM訓練装置4セットを導入するとのこと。AW-149多用途ヘリコプターの32機導入計画は17億6000万ユーロの調達計画で、レオナルド社がポーランドのPZL社傘下でライセンス生産を行う方針ですが、対戦車能力はその多用途性を更に広める事となります。
■レグランRC遠隔操作架橋装置
自衛隊の91式戦車橋よりも進んでいる。
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ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はレグランRC遠隔操作架橋装置を発表しました。RCとはリモートコントロールの略称です。システムそのものはレオパルド2主力戦車の車体に架橋装置を装備した基本的な戦車橋構造を採用し、特筆すべきはすべて遠隔操作により架橋作業を行う点で、遠隔操作にはOCMコントロールモジュールを用いる。
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レグランRC遠隔操作架橋装置の開発にはエストニアの無人車両企業であるミレニアムロボティクス社が参加しており、これにより敵前の危険な地皺や地形障害踏破という戦闘工兵作業を無人により行うことが可能となります。クラウスマッファイヴェクマン社によれば、この遠隔操作技術は戦車回収作業や機雷掃海作業などに応用できるとしています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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