北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-Ka-52アリゲーター戦闘ヘリコプターとLMURインテグレート対戦車ミサイルの威力

2023-08-05 07:01:06 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 自衛隊の戦闘ヘリコプター廃止論ももう少し現在の無人航空機の能力限界を見極めてからにしてはどうか。

 ロシア軍のKa-52アリゲーター戦闘ヘリコプターの能力について、イギリス国防省27日付ウクライナ戦況報告は興味深い報告を公表しました。単座戦闘ヘリコプターであるKa-50ホーカムの複座型であるKa-52アリゲーター戦闘ヘリコプターは2022年2月の開戦以降、既に40機が戦闘により撃墜され全損となっている模様です。しかし。

 Ka-52アリゲーター戦闘ヘリコプターはウクライナ軍にも多大な損亡を強いており、特に新しく装備されているLMURインテグレート対戦車ミサイルがウクライナ軍野戦防空システムに猛威を振るっているもよう。具体的にはこのLMURインテグレートは射程は15㎞あり、野戦防空システムのかなりの数をアウトレンジすることが可能です。

 LMURインテグレート対戦車ミサイルは、ウクライナ軍の防空砲兵部隊前線付近の展開を確認し次第即座に防空制圧任務へ派遣されており、特に有力な空軍戦力を持たないウクライナ軍には戦闘ヘリコプターによる防空制圧作戦に有効な対抗手段を確保できずにいて、ロシア軍は損耗以上の戦域による郵政を確保している可能性があると分析している。
■スヴァトヴェでの戦闘
 ロシア軍は補給が容易な東部戦線での攻撃を強化している。

 ロシア軍はスヴァトヴェ近郊での再攻勢を主張し、その実際の攻撃が確認できない事から幾つかの憶測を生んでいます。スヴァトヴェはルガンスク州の都市で2022年10月3日からロシア軍が大規模な攻撃を加えています、もともと親ロシア派軍事組織が2022年3月に中心部を抑えていましたが、10月2日にウクライナ軍が奪還作戦を開始する。

 スヴァトヴェでの戦闘はウクライナ軍第25独立空挺旅団のリマン奪還作戦と並行して開始され、双方が防衛線でにらみ合う状況となっています。この地域においてロシア軍は7月26日に再攻撃作戦の成功を主張しました。しかし、衛星画像や赤外線放出画像などから、そもそもこの地域において戦闘がおこわれた痕跡さえ確認されていません。

 再攻勢、一つの可能性はロシア軍がウクライナ軍南部戦線のドニエプル川渡河作戦などの成功を前に、ウクライナ軍へ兵力分散を強いるための欺瞞工作である可能性がひとつ。そしてもう一つは、ロシア国防省が顕著な戦果を獲得することができないための士気鼓舞のための偽装発表の可能性、そしてもう一つは戦果確認ができていない可能性です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和五年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.08.05-2023.08.11)

2023-08-04 20:15:38 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 台風が接近している中ですが皆様いかがお過ごしでしょうか毎週末恒例の行事紹介、今週末の自衛隊関連行事は盆踊りが多めです。

 霞目駐屯地創設66周年記念行事、宮城県仙台市若林区の陸上自衛隊飛行場で東北方面航空隊などが駐屯している駐屯地で、東日本大震災の2011年までは東北方面隊記念行事が執り行われていました。そして東日本大震災では辛うじて津波災害を免れ、飛行場施設はそのまま津波災害被災地域救出の一大航空拠点となったのは有名という駐屯地です。

 霞目駐屯地祭では、式典と飛行展示や祝賀飛行が行われるという、つまり普通の駐屯地祭となっていまして、考えてみるとこの真夏の熱い季節に、東北地方とはいえ堂々と駐屯地祭を挙行するのはある意味凄いもので、消防車放水展示や大型車両試乗も行われるとの事、大型車両というのは装輪装甲車なのか水際地雷敷設車が来るのか、このあたりはお楽しみ。

 清水マリンフェスタ2023、久々に一般公開です。ただ、ご注意事項を、艦艇一般公開として補給艦ときわ一般公開が行われるのですが、土曜日と日曜日の一般公開予定であったところが、補給艦台風の関係上日曜日0900時に出航するため、一般公開は土曜日だけとなりました。ただ、日曜の0730時頃に行けば出航作業の様子を岸壁から見る事が可能という。

 ときわ一般公開は4000枚の整理券制となっていますので、見学を希望される方は早めに行く必要があります。このほか、6日日曜日には航空自衛隊飛行展示が予定、1300時から1330時まで、静浜基地のT-7練習機が展示飛行を行う。しかし、考えてみれば自衛隊迷物、台風避泊の出航の様子を見られるのですから、ある意味貴重な機会、といえるのでしょうか。

 海上自衛隊艦艇広報について。護衛艦もがみ一般公開in酒田北港が5日土曜日と6日日曜日に行われます、山形県の酒田港は護衛艦もがみ艦名となりました最上川にもほど近く、最新鋭のステルス設計と戦闘から掃海までを一手に担う護衛艦もがみ型一番艦の一般公開、詳細な日程と交通や駐車場情報などは山形地本HPなどで最新の情報をご確認ください。

 5日土曜日の盆踊りは、霞目駐屯地納涼盆踊り大会と八戸駐屯地駐屯地納涼盆踊り大会、習志野駐屯地夏祭り、姫路駐屯地納涼行事、久居駐屯地花火大会、別府駐屯地納涼温度大海、航空自衛隊知念分屯基地納涼祭、さらに在日米軍もキャンプ座間日米親善盆踊りフェスティバルとして盆踊り行事を行います。戦車等は出てきませんのでこの点ご注意をください。

 7日月曜日の駐屯地納涼盆踊り大会、海田市駐屯地夏祭りと健軍駐屯地駐屯地納涼盆踊り大会が予定されている。9日にはありませんは10日の駐屯地納涼盆踊り大会は、下志津駐屯地サマーフェスティバル、八尾駐屯地納涼盆踊り花火大会、信太山駐屯地納涼大会、明野駐屯地納涼祭、大久保駐屯地夏祭り、青野原駐屯地盆踊り、千僧駐屯地盆踊り大会、ほか。

 金沢駐屯地納涼盆踊り大会、豊川駐屯地納涼夏祭り、ここまでが8日の予定です。9日の駐屯地納涼盆踊り大会は、春日井駐屯地納涼祭、三軒屋駐屯地納涼祭、となっています。なお、来週の予定である為、留意事項は台風6号の進路です。雷数半ばには九州や本州四国に接近する予報があり、兎に角予報は進路円が大きくどこにすすむのかがわかりません。

 台風6号と云えば小松基地へ日伊共同訓練て本来ならばCAEW早期警戒機やF-35A戦闘機が展開する予定でしたが、8月2日の到着予定が延々延期されています。明日予定の知念分屯基地納涼行事なども実施予定については最新の情報をご確認ください。また、駐屯地祭と納涼祭は別物ですので、素直に盆踊りを楽しみ、カメラ類などは慎重にご検討下さい。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・8月5日:霞目駐屯地創設66周年記念行事
・8月5日:霞目駐屯地納涼盆踊り大会
・8月5日・6日:護衛艦もがみ一般公開in酒田北港
・8月5日:八戸駐屯地駐屯地納涼盆踊り大会
・8月5日:習志野駐屯地夏祭り
・8月8日:下志津駐屯地サマーフェスティバル
・8月5日:キャンプ座間日米親善盆踊りフェスティバル
・8月5日・6日:清水マリンフェスタ2023
・8月8日:金沢駐屯地納涼盆踊り大会
・8月8日:豊川駐屯地納涼夏祭り
・8月9日:春日井駐屯地納涼祭
・8月5日:久居駐屯地花火大会
・8月8日:明野駐屯地納涼祭
・8月8日:大久保駐屯地夏祭り
・8月8日:信太山駐屯地納涼大会
・8月8日:八尾駐屯地納涼盆踊り花火大会
・8月8日:千僧駐屯地盆踊り大会
・8月5日:姫路駐屯地納涼行事
・8月8日:青野原駐屯地盆踊り
・8月9日:三軒屋駐屯地納涼祭
・8月7日:海田市駐屯地夏祭り
・8月7日:健軍駐屯地駐屯地納涼盆踊り大会
・8月5日:別府駐屯地納涼大会
・8月5日:航空自衛隊知念分屯基地納涼祭

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ウクライナ情勢-ロシア黒海艦隊コルベットセルゲイコトフとウクライナUSV無人水上艇マグラV5

2023-08-04 07:00:42 | 防衛・安全保障
■ウクライナ情勢
 ウクライナ情勢というカテゴリにて掲載していましたがタグに新しくウクライナ戦争を追加しました。

 ロシア黒海艦隊は新しく就役したコルベットセルゲイコトフをウクライナ海上封鎖へ投入しているとの事。これはワシリ―ブイコフ級コルベットの4番艦で2022年7月30日にクリミア半島のロシア占領地域において建造された最新鋭艦です。しかし同時にロシア国防省は、このセルゲイコトフがウクライナ海軍の攻撃を受けたことを発表しました。

 セルゲイコトフは7月26日に、セヴァストポリ南西沖海域においてウクライナ軍のUSV無人水上艇複数の攻撃を受け、800mと1000mの距離で2隻のUSVを撃破したとのこと。ロシア国防省によればこの攻撃によるセルゲイコトフへの被害はなかったとしています。ウクライナ海軍はUSVを活用し、黒海での反撃を強化していることがわかります。
■マグラV5
 無人水上艇は無人航空機以上にロシアウクライナ戦争において存在感を増しており、まったく制海権を喪失した状況においても相手に自由な航行を赦さない新しい選択肢です。

 ウクライナ政府はトルコのトゥルキエで開かれた兵器見本市にUSVを出展しました。IDEF2023兵器見本市にウクライナが出展したUSV無人水上艇はマグラV5、全長5.5mと搭載艇定地の大きさながら巡航速度は22ノット、最高速力は42ノットと高速であり、航続距離は833㎞、自爆専用であり320㎏の高性能火薬を搭載しているとのこと。

 情報収集と哨戒任務に加え、目標と会敵した場合には自爆攻撃を加えるというもので、この種の装備は警戒態勢をとる水上戦闘艦の場合は哨戒ヘリコプターと対水上射撃能力を持つCIWS近接防空なきや艦砲などにより制圧は容易です。しかし、警戒監視を怠れば被害を受ける可能性は高く、攻撃リソースを制限させる無視できない効果があります。
■徴兵年齢の30歳へ
 自衛隊は応募年齢を募集難に併せてどんどん引き上げているのですが技能陸曹候補生など新しい制度を構築して年齢制限をなくした方が、と思うことも。

 ロシア国防省は兵役強化の様々な施策を続けています。その一つが徴兵年齢の30歳への引き上げで、徴兵適齢者を増やすことでウクライナでの大規模な損耗を補填する試みです。そしてもう一つは性別変更規制、ロシアでは徴兵対象者である男性が女性へ性別を変更することで徴兵逃れを行う事例があり、逃げ道をふさぐ目的とされています。

 ロシア国防省はウクライナ戦域での戦死者に関する情報を公開していません、そしてロシアでは比較的裕福とされるモスクワ市民やサンクトペテルブルク市民の徴兵逃れが、徴兵出頭率の高い地域では不満となっており、先ず人員の補填に直面している国防省は、その徴兵強化により生じる国内での不満までは気が回らない状況といえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【M5撮影特報】小牧基地夏空のC-130H輸送機を新しく配備開始のミラーレス一眼で撮影(2023_07_20)

2023-08-03 20:01:35 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■青空にC-130H輸送機
 イギリス空軍空中給油機が前日までいたという小牧基地の情景をミラーレス一眼で撮影しました。

 EOS-M5,この2023年に新しく導入したミラーレス一眼カメラです。ミラーレス機種としてはEOS-R7が一眼レフであるEOS-7Dシリーズの後継に位置付けられていて、サブ機種としてEOS-R10とした上で、メイン機種にEOS-R7を揃える選択肢が出てきました。

 ミラーレス機種で動きの激しい被写体を撮影できるのか、その素朴な疑問が、今度こそ大丈夫、という太鼓判を案内されてEOS-M3を購入したのが2017年ですが、いいかげんにしてくれ、という程の性能しかありませんでしたので、なかなかミラーレスを信用できません。

 C-130H輸送機をミラーレス一眼カメラで撮影する、新しく導入したのはM-5、これは街歩き用に購入した軽量なミラーレス機種という位置づけなのですが、これにM-3用のEFレンズアダプターを揃えていましたので、これに70-300mmDOレンズを装着しました。

 DOレンズは、これも2022年に導入した非常にコンパクトな望遠ズームレンズで、一眼レフに装着した場合の性能は素晴らしい。かつては便利ズームとよばれる18-200mISレンズ一本で勝負していましたが、いまでは15-85mmISとDOレンズで対応しています。

 小牧基地で、しかしM-5カメラを輸送機に対して使った感想ですが、正直に言うと、50点というところでしょうか。60点で最低合格ラインですので、ほぼ、これで航空機を撮影するのはストレスをためる様なもの、という印象で、なによりかによりAFがおそすぎる。

 オートフォーカスがしっかり見えている航空機に対しても致命的に遅い、相当近くなるころにはかなりシャッターチャンスを逸していて、全く使えないM-3ほどではないが、それでもこれだけで航空機を撮影するのはほぼ、時間を無駄にしてストレスで健康を害する。

 KissX7,オートフォーカス速度は世界最軽量といわれた一眼レフであるKissX7よりも遅い。一眼レフはAF点が視覚的に分り易く見えまして、点でしかない遠方の航空機もその点を併せれば、ダットサイトのエイムポイントの様にAFをぴったり合致させられるのですから。

 MFの冗長性をもう少ししっかりしてくれれば、と思うのですが、おそらくCANONはM-5を航空機撮影用には考えていないか、地上展示の航空機以外撮影しない開発者が中心に設計したのではないでしょうか、もしくは航空機撮影と云えば航空機内の撮影を、とかね。

 マニュアルフォーカスで被写体が200m以遠、500m以遠、と大まかに設定できるならば良いのですが、航空機が遠方に見えるか見えないかという状況でAFを作動させますと、数百m先ではなく数m先ばかりをAFが被写体を探すために全く使えず、置きピンばかりに。

 置きピンというのは、航空機と同程度の距離にある別の被写体にピントを合わせるのですが、何しろCANONの考える航空機はハリアーのように空中に静止するのかもしれませんが、基本的に航空機は動いているのだから置きピンで航空機を撮影するのは邪道でしょう。

 EOS-R7はもう少しまともなのだといわれるのでしょうが、なにしろRFレンズを超望遠に望遠と標準に広角のズームレンズを揃えれば百数十万円を予算化しなければなりません、せめて、EFレンズのミラーレス機種が出れば、と思うのですが、ちょっと現在の費用対効果ではRFは揃えられません。

 一眼レフに比べてミラーレス機種は第一にバッテリーの持ちが悪いですし、本体は小型で軽量と云われてもレンズが重ければ全体の荷物は重くなることに変わりありません。ちょっとミラーレスへの置き換えはもう五年程度様子見した方がいいのかな、とかんじました。

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ウクライナ情勢-指向性散弾地雷積み迫るUGV無人戦闘車両と第三世代戦車に対する無人機攻撃

2023-08-03 07:00:17 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ情勢
 地雷の使い方についてウクライナ軍は新しい方法を提示していまして自衛隊の運用としても参考とすべきかもしれません。

 ウクライナ軍は無人戦闘車両の第一線投入を本格化させています。七月に実戦投入が発表されたものは大型の六輪式ラジコンというべき車両にMON-200対人地雷を搭載したもので、MON-200対人地雷はいわゆる指向性散弾地雷、目標に接近したところで作動させ敵歩兵などを殺傷させるもの、同国が非加入の対人地雷全廃条約にも抵触しません。

 MON-200対人地雷など指向性散弾地雷の運搬手段としての無人車両は、場合によっては新しい対人地雷の運用技術を開拓する可能性があります。対人地雷全廃条約は無差別殺傷に用いる対人地雷を規制しており、例えばスプリング式地雷を複数搭載し、かつての擲弾兵のように敵弾を投射する無人戦闘車両は対人地雷を搭載しても条約に抵触しません。
■レオパルド2A6戦車
 やはり第三世代戦車は頑丈なのだと痛感させられる話題です。

 ロシア軍は自爆型無人機によるレオパルド2A6戦車への攻撃動画を公開しました。ただ、攻撃を受けた車両と同一車両と思われる戦車をウクライナ軍が被害写真として公開しており、これによれば車体は小破み、トップアタック兵器対策を施したレオパルド2A6戦車以降の車両は自爆型無人機に対する脆弱性を克服していることが確認されました。

 自爆型無人機は多種多様であり、イスラエル製HERO120など、第三世代戦車改良型の上部強化装甲を破壊するものは確かに存在します。しかし現在のロシアウクライナ戦争では数が必要なことから塑像乱造の無人機も投入されており、自爆型無人機であれば戦車を破壊できるとは一概に理解せず機種選定が重要となることを改めて示した構図です。
■占領地オレシュキ市
 反撃に関する最新情報です。

 ウクライナ軍はヘルソン市対岸のロシア軍占領地オレシュキ市への反転攻勢を強めています、これは当初難しいと思われたウクライナ軍のドニエプル川渡河作戦がある程度成果を結んでいることの証左であり、ドニエプル川に対してヘルソン市へ突き出したオレシュキ市は突出部の左右からウクライナ軍砲兵攻撃を受けやすい地形となっています。

 オレシュキ市はまだロシア軍が占領を維持しているようですが、砲兵攻撃による損害が著しく、ウクライナ東部などでロシア軍が喧伝している再攻勢は、クリミア半島の付け根へ接近しうるオレシュキ市へのウクライナ軍反撃を意識したものといえるでしょう。ドニエプル川渡河作戦は当初、カホフカダム破壊により困難だと考えられていました。

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【京都幕間旅情】八坂神社,山城国の神社は延暦寺の末社から足利義満と織田信長の影響経て今に至る町衆の神社

2023-08-02 20:23:08 | 写真
■国宝本殿とながい歴史
 祇園祭が終わりましたがこの八月二日は青森では祭事ねぶた祭が始まったといいますので夏を感じる今日この頃です。

 祇園祭の季節、一か月間にわたる祭事とともに一度は詣でて、これも祇園祭が無病息災を祈る神事なのですから、やはり健康長寿を祈りつつ、まだそれほど混雑していない神域を一つ巡ってみる。それほど広大な社殿ではないが、それでも広々としている。

 重要文化財として2020年に西楼門と蛭子社社殿と石鳥居に加えて26の建物などが加わりまして、29もの重文が並ぶ社殿なのですが、充分といわれても、昔から大切にされていることは変わりなく、いつものように柏手を叩き本殿に頭を垂れ無心に拝みます。

 素戔嗚尊と櫛稲田姫命と八柱御子神が祀られる社殿、考えてみれば祇園祭の最中、参拝したのは神幸祭と還幸祭の中間という季節でしたので、祭神の面々は巡幸の最中というところではあるのですが、まあ、祇園祭の以外にも参拝する社殿にもう一度額づく。

 八坂神社は、その名前が明治時代に祇園社から政治的に八坂神社へと改められた、という歴史を持つのですが、京都有数の歴史を有する神社故にその始まりは様々な説があるという。少なくとも牛頭天王が当地に祀られる前に社はあったという記録が多い。

 山城国愛宕郡八坂郷。八坂神社の名は明治時代に改まったという事ですが、その名の由来は元々当地が山城国愛宕郡八坂郷という、名前に戦艦と重巡の名を含んでいるものの八坂郷にある神社なので八坂神社となった、という明治時代のある種単純なながれ。

 円如という僧侶が、貞観18年こと西暦876年に観慶寺という寺院を造営しまして、そこに祇園神、お釈迦様生誕の地を守護する神様ということですけれども、降臨したことを受けまして祇園社と改まり、今日に至るという。当時は祇園天神ともよばれた。

 延喜式神名帳によれば、しかし意外にも祇園社の名は見当たらず、神社ではなく興福寺の、のちには延暦寺の神社という、寺院の一部と朝廷には理解されていたようで、だけれども二十二社の一つと記されるなど神仏習合の大らかな神社であったことがわかる。

 本殿は国宝に指定されています。承応3年こと西暦1654年に徳川家綱により再建されたということでして、そして歴史をたどりますと平安朝末期の頃には、鴨川の西岸は全部祇園社の所領とされており、今では考えられぬほどの広大な神域となっています。

 延暦寺の末社という位置づけではあったのですが、1384年に足利義満は鴨川西岸への影響力を考え、延暦寺と祇園社を分離している。しかし幕府は禅宗寺院には格付けを行うなど保護を加えていましたが神社はそこに及ばず、結果、町衆の社殿へと移ろう。

 祇園祭は八坂神社の祭事ですが、よくぞまあ一か月間京都市中心部を祭事で埋められるものだ、という背景にはこの町衆に育てられた祭事という意味合いがありまして、元亀2年こと1571年の織田信長による延暦寺焼き討ちが祇園社独立の決定打となる。

 豊臣秀吉が母の大政所の病気平癒を当社に祈願した際に壮大な多宝塔、寛政年間の火災により焼失してしまい現存しないのが残念なのですが、神社は比叡山延暦寺からの影響を離れるとともに町衆の寺院、しかし権力者から崇敬を集める寺院として広がる。

 変わらないようで、細部は変わっている、これは長い目で見れば着実な変化を意味するもの、変わるからこそ成長する視線からは逆に伝統墨守のように見えるのだろうなあ、そんなことを思いつつ、厳しい日差しが戻ってくる前に一礼し、帰路へと就きました。

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【京都幕間旅情】八坂神社,社殿の名とは-祇園祭執り行う京都の社殿はかつての祇園社その名を明治に改めた

2023-08-02 20:00:07 | 写真
■叢雲の一瞬に参拝
 灼熱の太陽というその名の通りなのだけれども地面の陽炎を見るだけで溜息が出る中の散策だ。

 八坂神社の西楼門、ここから四条通が延々伸びている。一瞬の叢雲が太陽の厳しい日差しを覆い隠し、涼しそうに見えるかもしれないが京都では真逆、直射日光があった方が上昇気流が起きて風が生まれる、一瞬の曇天は逆に蒸し暑くなるだけ、もう息苦しい。

 西楼門の背景には青空が見える通り、太陽を隠しているのは一瞬だけ、四条通を少し歩いただけでぱあっと汗が噴き出てしかも乾かない、湿気さえなければ乾くのだがなあ。しかし息苦しいといえば昨今、慣れ親しんだSNSの名称変更が心に刺さるような痛み。

 Twitter騒動、どうなるのか、Xsという社名になるのでTwitterに書き込むという単語はXsに書き込むという変名が新しい方針になる、けれどもX社ではまだTweetするという、呟くという単語なのだけれども、これを置き換える新しい言葉が未だないとされる。

 エックセズ、かあ。馴染むか、というと先ず、X自体に意味がない以上、Tweetほど定着するのかなあ、という。日本人は5・7・5で短い文章に意味を込める文化に親しんできましたが、Xという一文字に意味を含めるのは、清水寺の“今年の一字”くらいか。

 八坂神社においてもこうしたことを思い浮かべてしまったのは、実はこの八坂神社もかつて慣れ親しんだ名前を切り替えたという歴史があるためです。今でこそ定着した八坂神社、するとTwitterの問題も時間が解決するのかもしれない、ここで収まれば、ですが。

 Tweetするという単語は呟くという言葉なのだからある意味考えられたものだが、Xする、というような単語には意味がない、せめてXXすると社名をXxとしてくれれば、日本では山城新伍御大がチョメチョメする、という名言を残されており使いやすいとさえ。

 トヨタ自動車はアリストを高級車ブランドレクサスに切り替えた際は別会社化してトヨタというブランドを残した、Twitterは一種のブランド名であり、これを安易に変えるというものはちょっと難しい、なにしろユーザー数が多く政治家も愛用しているほど。

 スバルはよく頑張ったと思う、日本防衛装備品で最も世界で販路を伸ばしているのはランドクルーザーのような汎用品を除けばUH-2だろう、UH-2はベル社もUH-2として生産しているために採用国が伸びている、スバルUH-2,確かに富士重工より世界に通る。

 新日本重工、ブランドの継承に失敗したのはここかもしれない、財閥解体により戦時中の軍需産業であった三菱重工は社名変更を余儀なくされ新日本重工を名乗ったけれども定着せず三菱重工に戻した、これを考えれば中島飛行機は巧く富士重工を定着させた。

 祇園社。さてさて、考えれば定着した名前を乗り換えるのは簡単ではないのだけれども、祇園社という神社をご存じでしょうか、祇園祭というくらいだから知っているようで知らない方も多いでしょう、そう、八坂神社はかつて祇園社という名であったのですね。

 神仏分離、歴史ある祇園社の名が廃止されたのは明治元年の神仏混交禁止によるもので、仏教寺院としての性格を有する祇園感神院と神社である祇園社とが一体化していたものが問題視され、八坂神社となったもの。なおこの際に祇園感神院は廃寺となります。

 八坂神社の名は明治時代からの、京都の長い歴史から考えますと新しい名前ではあるのですが、令和時代、いや昭和や平成時代にあっても定着していました。Xxも時間を掛ければ定着するのかもしれませんが、朝令暮改があっては消えてしまうかもしれませんね。

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ウクライナ情勢-ドナウ川港湾都市レニ市への自爆無人機攻撃と保管チーフテン戦車供与の可能性

2023-08-02 07:00:08 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ情勢
 NATOの目の前でロシア軍が発射した自爆無人機の攻撃が展開された。

 ウクライナのドナウ川港湾都市レニ市がイラン製シャヘド136無人機による攻撃を受けました。ロシア軍はウクライナの黒海物流への攻撃を強化していますが、重ねて河川交通に対しても攻撃を強化しています。しかし問題はこのレニ市の位置であり、レニ市からみてドナウ川の対岸はルーマニア、つまりNATO加盟国だ、ということです。

 シャヘド136無人機による攻撃は複数機が飛来、たいしてウクライナ軍防空砲兵部隊はこの地域には限られた数が展開しているのみであり、キエフ防空戦のような顕著な無人機への対応能力を果たせず、ウクライナ軍防空砲兵部隊の限界とともに攻撃はロシア軍が第一線からの防空砲兵部隊引きはがしを探っている証左ともいえるかもしれません。

 ドナウ川港湾都市レニ市への攻撃は、もう一つ、ロシア軍の黒海海上封鎖への代替経路としてのドナウ川河川物流を攻撃対象に加えようとしているところですが、同時にこれはトルコのボスポラス海峡を攻撃するに等しい、NATO加盟国であるルーマニアへ被害が及ぶ可能性を示しているもので、NATOとの新しい火種というべき緊張です。
■チーフテン戦車
 一部報道という事で参考程度に見ておくべきなのでしょうが74式戦車と同世代の第二世代戦車の話題という。

 ウクライナへヨルダン軍が保有するイギリス製チーフテン戦車が引き渡される可能性があるとのこと。ヨルダン軍は274両を保有し90両の旧イラン軍チーフテン戦車を鹵獲しています。第二世代戦車の中でも重装甲を誇る戦車ですが、引き渡される可能性は一部報道に留まり、現在のところ正式なヨルダン政府発表はまだ確認されていません。

 チーフテン戦車はイギリスが開発した第二世代主力戦車で、センチュリオン戦車の設計思想を受け継ぎ第二世代戦車としては重装甲を採用していることで知られます。その正面装甲は砲塔正面で145㎜であり傾斜装甲の採用により実質390㎜もの厚みを誇りますが、APFSDS弾の時代に入りその重装甲は十分ではないともされています。

 チーフテン戦車のもう一つの利点は120mm戦車砲を第二世代戦車の段階で採用した点で、ただ搭載するのはライフル砲であるため分離弾薬という弾薬と装薬が分離した煩雑な方式となっているのが難点です。重装甲であり重量は55t、しかしエンジン出力は750hpであり不整地などでは機動力不足が悩みの種となっていますが足回りは頑丈です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】Hero-400徘徊式弾薬空中発射と海兵隊偵察改革,トルコFNSS-MAV開発,ギリシャAAV-7調達

2023-08-01 20:00:59 | 先端軍事テクノロジー
■■■防衛フォーラム■■■
 今回はアメリカ海兵隊を中心に水陸両用部隊の改編と新型装備についてを見てゆきましょう。

 アメリカ海兵隊は戦闘ヘリコプターなどから投射するヘルファイアミサイルの後継として対象の徘徊式弾薬を多用途ヘリコプターより投射する検討を進めています。これはインド太平洋地域島嶼部というアメリカ海兵隊が想定する将来戦場において現在運用されているヘルファイアミサイルの射程8㎞が全く不十分であるとの認識に基づくもの。

 海兵隊ではイスラエルのUビジョンエアー社が開発したHero-400徘徊式弾薬を試験中です、これは重量40kgの長距離徘徊式弾薬で発射後は40㎞から150㎞圏内を滞空、目標を発見するまで120分間徘徊し、電子光学及び熱線暗視装置により目標情報を探索、また目標を発見できなかった場合には落下傘により海上へ着水し回収することも可能です。

 Hero-400徘徊式弾薬は電動駆動方式を採用しており静粛性とともに整備がかなり自動化されており、飛行中は管制官1名が遠隔操作に当たります。実用上昇限度は6000mと比較的高く、センサーはこの高度から地上の戦車などを識別可能、弾頭重量は10㎏あり、トップアタック方式により主力戦車は勿論上陸用舟艇に対しても十分な威力を持ちます。
■海兵隊偵察改革
 水陸両用作戦を単一の離島に対して行うのではなく離島守備隊の周辺地域への偵察という新しい課題にアメリカは挑んでいます。

 アメリカ海兵隊はインド太平洋地域における偵察部隊改革を進める最中にありますが、その方式について大きな課題に直面しています、それは装甲車両による偵察が可能であるのかという根本的な問題にほかなりません。現在海兵隊はLAV-25軽装甲車の後継としてテキストロン社製コットンマウスとジェネラルダイナミクス社製ARVを試験中だ。

 ARVは八輪式の水陸両用装輪装甲車で30mm機関砲塔には徘徊式弾薬発射能力を有し無人機の完成という新しい装甲偵察能力を有しています。コットンマウスは六輪式の装輪装甲車で武装はジャベリンミサイル搭載の機銃RWS遠隔操作式銃塔に留め隠密性を確保、どちらも現用、LAV-25軽装甲車主体の海兵軽装甲偵察大隊用として十分な性能を持つ。

 しかし、インド太平洋地域という海兵隊が今後最も重要視する戦場では、そもそも車両による偵察が洋上ではほぼ不可能であり負債化する懸念がある、一方でアフリカ地域や欧州と中央軍地域では依然として装甲車は必要となります。すると島嶼部でも分散運用でき大陸では地上偵察が可能な、小型の車両の必要性が評価試験の最中に指摘される状況です。
■トルコFNSS-MAV
 新しい水陸両用装甲車の登場です。

 トルコ軍はFNSS-MAV両用装甲車の受領を開始しました。3月24日、トルコのFNSS社が独自開発したMAV装甲車は海軍司令部水陸両用海兵旅団へ最初の2両の配備が開始、トルコ軍は全部で27両のFNSS-MAVを導入する計画です。この27両の内訳は23両が基本型の兵員輸送車、そして2両が指揮通信車で2両が装甲回収車となっています。

 FNSS-MAVの特色はトルコ海軍に配備される強襲揚陸艦アナドルでの運用であり、トルコが独自開発した初の水陸両用車両であるとともに、仮に洋上において波浪で横転転覆した場合でも自力での復元が可能という高い安全性を有しています。また、FNSS-MAVはNATO加盟国において唯一現在生産されている装軌式水陸両用装甲車でもある。

 FNSS-MAVの洋上での速度はウォータージェット推進により7ノット、自足に換算すると12km/hでアメリカのAAV-7両用強襲車とほぼ同程度の速力を有し、また500hpのエンジンは陸上では70km/hの速度を発揮、重機関銃などを備えたCAKA遠隔操作砲塔を搭載し歩兵戦闘の支援能力も有しています。FNSSはMAVの輸出にも注力するようです。
■ギリシャAAV-7調達
 AAV-7の新規調達を行う国の話題を。

 ギリシャ国防省はAAV-7両用強襲車輸出に関するアメリカ国務省の承認を受けました。ギリシャ海兵隊が運用するもので、その調達規模は中古車両を中心に2億6800万ドル、調達数は基本型のAAVP-7A1両用強襲車63両、AAVC-7A1指揮通信車9両、AAVR-7A1装甲回収車4両で、これによりギリシャ軍は世界有数の両用強襲車運用国となります。

 AAV-7両用強襲車各種76両に加えて、EAAK増加装甲キットと63基の12.7mm重機関銃及びMk19自動擲弾銃、M-36E-T1-TSS熱画像照準システム、整備支援および技術協力などが含まれています。この調達は2022年にギリシャ議会において承認され、導入計画が進展、アメリカ国務省との間で対外有償供与に関する承認待ち段階となっていました。

 ギリシャ軍の水陸両用部隊は陸軍第32海兵旅団でテッサリアに駐屯しています。ギリシャではエーゲ海の多島海域防衛という任務があり、対岸のトルコとは共にNATO加盟国という関係にありますが、長らくエーゲ海の島嶼部領有権での係争があり、また近年はエーゲ海海底に天然ガス田の発見という展開があり両国とも両用戦力を強化している段階です。

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ウクライナ情勢-オデッサなどウクライナ南部港湾都市へのミサイル攻撃,Kh-22/AS-4キッチンミサイル大量使用

2023-08-01 07:00:06 | 防衛・安全保障
■ウクライナ情勢
 世界の食糧安全保障へも影響を及ぼしかねない状況となっています。

 ロシア軍はオデッサなどウクライナ南部港湾都市へのミサイル攻撃を強化している、7月25日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告において分析されていました。オデッサへのミサイル攻撃は開戦以来散発的に行われていますが、イギリス国防省が注目しているのはその攻撃手段にKh-22/AS-4キッチンミサイルが大量に使用された点です。

 Kh-22/AS-4キッチンミサイルは冷戦時代にソ連軍がアメリカの航空母艦を攻撃するべく開発した大型のミサイルで重量は5.5t且つ超音速飛行能力があり、ミグ戦闘機が体当たりを加えたような破壊力を発揮します。オデッサへの攻撃は7月18日以降強化され、穀物貯蔵庫や歴史地区への攻撃も行われています。特に穀物貯蔵庫への被害は大きい。

 オデーサ南部チョルノモルスク港の穀物サイロへの攻撃はBBC報道によれば小麦など6万トンが焼失したとされ、世界の食糧安全保障へも影響を及ぼしかねない状況となっています。Kh-22/AS-4キッチンミサイル投入は、ほかのミサイルが枯渇している為か、発射手段がほかになくなったための使用なのかについては今のところ断定できません。
■ウクライナ情勢
 飢餓作戦を戦争当事国以外に行う無差別飢餓作戦のような様相を呈していますが場所が場所だけに有志連合による船団護衛も不可能です。しかしなぜこんなことを。

 イギリス国防省ウクライナ戦況報告では、ロシア軍のオデッサ攻撃について二つの理由を想定しています、一つは、黒海穀物合意の解消により穀物貯蔵庫を攻撃しないロシア側の理由がなくなり民間インフラを破壊することがウクライナの戦争継続能力に影響を及ぼすと考えている点、そしてもう一つはオデッサ港の戦略的補給線の分析です。

 ロシア軍の分析、可能性としてロシア軍はウクライナ軍がオデッサ港をNATOからの武器援助拠点、若しくは兵器集積所として使用している可能性をイギリス国防省は指摘しています。もちろん、ミサイル攻撃は広範囲に行われた場合でも被害を及ぼすことができる地域が実のところ限定的です。その為には情報収集と情報分析が必要となる。

 情報分析、特に脅威目標の把握と目標位置情報について、ロシア軍は2022年2月の開戦以降完全に失敗しており、目標決定プロセスの稚拙さが指摘されています。今回、実際に穀物貯蔵庫に武器が備蓄されていたならば成果があったこととなりますが、現在そのような情報は衛星画像などからも確認されておらず、穀物だけが灰になりました。

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