以下はamzon.comに出ているtonkouさんの私の本に対する書評である。好意的な書評を有難いと思っている。
(引用はじめ)
こんなに分かり易く,丁寧に書かれた四元数の本は初めてだ
投稿者 tonkou 投稿日 2014/10/7
形式: 単行本
この本のタイトル「四元数の発見」は,Hamilton の四元数発見(1843)についての解説を本書の中心テーマの1つに据えているからだと思うが,中心テーマは大きく分けて3つあるように思われる.第1章で,読者は,まず,著者が四元数に関心を持つに至った動機を知ることになる.そこで,四元数の定義と性質を述べた後,四元数発見の物語に次の2章が費やされ,四元数による空間回転の記述から,オイラー角を用いた空間回転の記述に至る第4章から第9章が,本書のもう1つの中心テーマである.即ち,4~6章は四元数の空間回転表示を3つの異なった観点から論じている.7~9章は四元数からはなれた空間回転の表現であり,7章はSU(2)の表現,8章はベクトルの空間回転の表現,9章はオイラー角を用いた空間回転の表現を取り扱っている.
その後,軸足を四元数の「球面線形補間」に移している(この第10章も中心テーマの1つである).第11章では,四元数と球面三角法についてレビューすることを,著者のこれからの課題と考えている旨,述べられているので,その成果が早く世に出ることを期待している.
本の分類としては,数学書に属するであろうが,通常の数学書と違って,決して固い言葉を使わない.人によっては,冗長に過ぎる思われる個所があるかも知れないが,それは,著者が初めに(少しの例外を除いて)高校数学の範囲の知識だけで,ちょっとした根気があれば読み通せると思う,と述べていることから,得心がいくものと思う.式変形を順序よく,かつ平明に追っていくスタイルの,著者の論理の組み立てとその流れを裏付ける計算を追いながら,四元数とそれに関連した諸問題を勉強するには格好の本に仕上がっている.3次元コンピューターグラフィックスに携わっている技術者や四元数研究家にとっても,手元に置いておくべき必読の書と言えよう.(引用終わり)
球面線形補間はHenrikというドイツ人の知人が数年前にそういう手法を使って仕事をしていることを話に聞いたことがあったが、どんなものか長い間知らなかった。何でも一種の補間法であることだけはそのとき想像できたけれども。
『四元数の発見』では球面線形補間の原理については、繰り返して述べたが、そんなことをすべきではなかったのではないかという気がしている。
球面線形補間は多分3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)を仕事にしている人にとっては馴染み深い方法なのだろうと思うが、自分では使ったことがない。
なんでもHenrikはSpherical Tensor Algebra(そんな数学があるのか?)を生医学画像の解析を使った研究でドイツのフライブルク大学で2013年に学位をとって今は京都大学で働いている。気鋭の研究者・技術者である。彼の学位論文copyの1冊をもらったのだが、なかなか読むことができない。
(引用はじめ)
こんなに分かり易く,丁寧に書かれた四元数の本は初めてだ
投稿者 tonkou 投稿日 2014/10/7
形式: 単行本
この本のタイトル「四元数の発見」は,Hamilton の四元数発見(1843)についての解説を本書の中心テーマの1つに据えているからだと思うが,中心テーマは大きく分けて3つあるように思われる.第1章で,読者は,まず,著者が四元数に関心を持つに至った動機を知ることになる.そこで,四元数の定義と性質を述べた後,四元数発見の物語に次の2章が費やされ,四元数による空間回転の記述から,オイラー角を用いた空間回転の記述に至る第4章から第9章が,本書のもう1つの中心テーマである.即ち,4~6章は四元数の空間回転表示を3つの異なった観点から論じている.7~9章は四元数からはなれた空間回転の表現であり,7章はSU(2)の表現,8章はベクトルの空間回転の表現,9章はオイラー角を用いた空間回転の表現を取り扱っている.
その後,軸足を四元数の「球面線形補間」に移している(この第10章も中心テーマの1つである).第11章では,四元数と球面三角法についてレビューすることを,著者のこれからの課題と考えている旨,述べられているので,その成果が早く世に出ることを期待している.
本の分類としては,数学書に属するであろうが,通常の数学書と違って,決して固い言葉を使わない.人によっては,冗長に過ぎる思われる個所があるかも知れないが,それは,著者が初めに(少しの例外を除いて)高校数学の範囲の知識だけで,ちょっとした根気があれば読み通せると思う,と述べていることから,得心がいくものと思う.式変形を順序よく,かつ平明に追っていくスタイルの,著者の論理の組み立てとその流れを裏付ける計算を追いながら,四元数とそれに関連した諸問題を勉強するには格好の本に仕上がっている.3次元コンピューターグラフィックスに携わっている技術者や四元数研究家にとっても,手元に置いておくべき必読の書と言えよう.(引用終わり)
球面線形補間はHenrikというドイツ人の知人が数年前にそういう手法を使って仕事をしていることを話に聞いたことがあったが、どんなものか長い間知らなかった。何でも一種の補間法であることだけはそのとき想像できたけれども。
『四元数の発見』では球面線形補間の原理については、繰り返して述べたが、そんなことをすべきではなかったのではないかという気がしている。
球面線形補間は多分3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)を仕事にしている人にとっては馴染み深い方法なのだろうと思うが、自分では使ったことがない。
なんでもHenrikはSpherical Tensor Algebra(そんな数学があるのか?)を生医学画像の解析を使った研究でドイツのフライブルク大学で2013年に学位をとって今は京都大学で働いている。気鋭の研究者・技術者である。彼の学位論文copyの1冊をもらったのだが、なかなか読むことができない。