ウクライナにあるチェルノブイリ原発が大事故を起こしたことはもう忘れてしまっているかもしれない。そして、ここの原発を鉄筋コンクリ-トの覆いをしていわゆる石棺とよばれている。古い石棺の上にさらに新しく鉄筋コンクリートの覆いが最近またされた。
福島第一原発の事故を起こした原発の処理について5年後とか6年後の廃炉を目指すとか言われたが、なかなか作業が始まらない。最近ある人から聞いた話では、本当はチェルブイリ原発と同様に石棺をつくって20年か30年そのまま放射性核分裂からの放射能が下がるのを待つのが合理的だったといわれる。だが、もう政治問題になってしまって、誰かの政治家が石棺がとか一言漏らしただけで地元からは拒否反応が起こってしまう。
だから、少なくとも建前としては石棺方式の処理法をとることはできないのが、現実である。だが、そういうことを抜きにして考えてみると本当は作業員の放射線汚染とかをあえて冒してまですぐに廃炉をめざすべきであったのかどうか。
これはもともと原発は安全だとあえて政府も電力会社もそういう言い方で地元民をだましてきたつけが回って来たということだ。本来なら、東京電力は会社としてこの原発事故のために倒産してしまっているところだ。
もちろん原発事故を犯した責任は大きいが、企業としてはもう成り立たないはずだ。しかし、責任を取り続けると言わないことには誰も許してくれるはずがない。日本でいちばん大きい東京電力にしてこのざまだ。そうだとするとましてや規模の小さい四国電力で、いったん原発事故を起こしたらどうしようもなくなるであろう。
残念ながらそういうことは理屈ではわかっていても口にすると世間的には具合がわるい。ということでなあなあで四国電力以下、知事もことなかれで伊方の原発を運転している。
原発を動かしたために、政治的に太陽光の利用する半導体の開発等が日本は遅れてしまって初期には技術的に世界でもトップを走っていたのにいまでは、世界では後位を走っていると最近聞いた。それはまた事実らしい。
日本人ははじめは好奇心が強いので、なんでも新しいことに取り組むが、政治的な配慮が足らないためにそのような日本の科学技術の長所を十分に生かせていないで、けっきょく他国の後塵を拝することになる。
東芝が原発メーカーのウエスチングハウスWHを買い取ってそのために、いまでは数千億円の赤字で経営にも困っているなど先を見る目が経営陣になさすぎる。これは私が当事者でないからいうことができるということもあるが、それだけではなく、常に別の相補的な方策を考えておかなった経営陣の失策でもあろう。