先日、市民コンサートでギターの演奏を聞いた。朴葵姫という韓国出身の女性ギタリストの演奏会である。そのときにトレモロという演奏法があることを知った。
タレガという人の「アルハンブラの思い出」という曲がこのトレモロを使って演奏される曲であった。親指とか人差し指とかの動きとかを見ていたら出てこないと思われる音が聞こえる。まるでさざ波がおし寄せるみたいな奇妙な感覚をもった。もちろん奇妙とはいえすばらしい音楽である。
いま日本語の辞書を引いてみたら、「音楽で同一音の急速度の反復。ふるえるように聞こえる。震音、tremolo(イタリア語)」とあった。ギターでの音楽の演奏をいままでに一度も聞いたことがないなんてことはないが、このトレモロははじめてであった。
不思議な感覚を呼び起こさせる演奏法である。
フランス語でtrembler(トランブレ)は震えるという動詞である。こちらの語はいまフランス語の辞典を引いて知った語であるが、tremblement de terre(トランブルマン ドゥ テール)とはフランス語で地震のことだと知っていた。
トレモロの響きに寄せる夢をみる 徹