現代の理工系の人は四元数はあまり学ばず、すぐにベクトルを学ぶ(注)。そしてそれでいいのだが、ベクトルがどこから出て来たのかというと四元数に起源がある。
四元数の実数部がない、二つの純虚数どうしの積を考えると、その実数部が実はベクトルのスカラー積に負号をつけたものであり、また虚数部は実はベクトルのベクトル積となっている。
こういうことを四元数の本でも書いておいた方がいいのではないかと思い出した。それでほとんど出来上がっている、「四元数の発見」の章に付録としてベクトルのスカラー積とベクトル積の定義を加えることにした。
小著『四元数の発見』(海鳴社)の第2章が本のタイトルともなっている「四元数の発見」であった。いま、この章の改訂に取り組んでいる。本文はまったく変えないのだが、どうしても付録として、つけ加えておきたいことが出て来た。
(注)現在では、理工系の中でも特別な人たちだけが、四元数を学んでいる。私が大学で学んだ頃には四元数の名を数学の先生からその名を聞いたが、四元数を学ぶという動機はまったくなかった。