これは『物理数学散歩』の一つのエッセイの紹介である。
「arcsin x+arccos x=π/2を理解する」の発端は
\int \frac{1}{\sqrt{1-x^{2}}} =\arcsin x+C (C: 積分定数)
=-\arccos x+K (K: 積分定数)
と表されるということから始まっている。
逆に考えると
(\arcsin x)'=1 / \sqrt{1-x^{2}}
であり、かつまた
(\arccos x)'=-1 / \sqrt{1-x^{2}}
であるから
(\arcsin x)'+(\arccos x)'=0
となる。
だから
arcsin x+arccos x=一定
の数となる。この一定の数をx=0のときのarcsin x+arccos xの値から決めてやればよい。そういう話を理解していなかったころに考えたということだ。
ちなみにx=0のときにはarcsin x=0であり、arccos x=π/2 であるから、
arcsin x+arccos x=π/2
である。たったこれだけ話だが、いろいろな方法でこの関係を確かめているところがおもしろいのではないか。ちなみに私はこういう関係を他であまり見かけたことがなかった。
「数学・物理通信」のいずれかの号にこのエッセイの改訂版を書いている。