『四元数の発見』(海鳴社)を書いたときに、その第11章「四元数の広がり」で四元数の話題についていくつかを述べた。
その中の一つに「四元数と球面三角法」という項目がある。堀源一郎先生の 『ハミルトンと四元数』には四元数と球面三角法の言及があるので、それに悪乗りして球面三角法の公式をいくつかの方法で導いてみたいと述べた。
それから10年以上が経つのだが、その課題をクリアできていない。しかし、ぽつぽつと文献を読んだりはしている。その中の一つが球面三角法の重要公式を現代的に導くという課題がある。
現代的に導く方法も一つではないのだが、その一つにベクトル代数を使うという方法がある。その方法はインターネットで調べるといくつかの記述があるのだが、私にはベクトル代数の公式を使うところが難しく思えていた。
ところが年月が経つうちにそのベクトル代数の導出の部分というか運用の部分がそれほど難しくはないと感じるようになっていたという話である。
私はベクトル解析の一番重要な定理である、ストークスの定理とガウスの定理についてはまだ納得したとは感じていない。いくつかのテクストでその証明を追いかけたことが数回あるにもかかわらず。
だが、ベクトル代数の方は今では難しいとは感じていない。それは一つにはLevi-Civita記号の理解をしたと考えているからだし、他の理由もある。
それにベクトル3重積の公式の使い方として中央項ルールというのを知ったからでもある。
そういうこともあってだんだん球面三角法の公式の導出になじみができていると感じている。
ただ問題は球面三角法の公式の方が平面三角法よりも前から知られていると数学史の本とかでいわれているので、その導出法を知りたいと思っている。だが、そのことについて書いた文献を見たことはない。