物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

書籍の話題

2007-11-14 11:57:51 | 本と雑誌

「佐藤幹夫の数学」という本が出ている。すぐに読めるかどうかはともかくも買っておきたい本の一つである。また、江沢洋先生の「解析力学」(培風館)が出ている。太田浩一さんの「電磁気学 I, II』(シュプリンガー)も出ている。

妻にいつも文句を言われるのだが、どうせ買っても読まないのでしょうって。確かに買って何十年も一度も開けたことがない本もないではないが、多分本棚にあるうちに必要になって引っ張り出して読むということは結構あるものだ。

ただ、理系の本でも結構出版されるので基本的には小説の類いは買わないことにしている。だから、人間として偏っていることは間違いがない。

高校に入ったときに大冊の「大菩薩峠」という小説を図書館から借り出して読もうとした覚えがあるが, お陰で数学がわからなくなって困った。

それに懲りて凡人の自分には小説は有害と決めて意識的に読まなくした。これは本当はそういうものを読むと自分がそちらの方へと流れて理系の学問をやらなくなるからであった。

また、ホグベンの「百万人の数学」のようなものでも通読はしていない。これは高校のときにN君が読んでわからないところを先生に聞きに行っているのを何度か見たが、当時の私には無縁だった。最近になって対数のところとか自然対数の底eとかに関連したところを拾い読みしただけである。


チターと第三の男

2007-11-12 19:36:20 | アート・文化

昨晩ドイツのミュンヘンからきたチター奏者のHuberさんのチターの音楽を聞きながら、ホイリゲを飲むというパーティにでた。

日曜日のせいかどうも出席者が16,7人でこれは主催者は赤字だなと思いながらチターを聞き、ホイリゲを飲んだ。若い今年取れたワインで飲んでみてそう美味いとは思わなかった。

しかし、赤字を少しでも補填できるように帰りにホイリゲ1本とCDを買って帰ったので思わぬ出費となった。

チターは縦型のもあるようだが、日本の琴を少し短くしたようなもので、琴の演奏をたしなむ女性たちが興味深く演奏の後で眺めていた。チターはドイツではあまり人気がなく日本人が一番チターの演奏を好むという。

また「第三の男」を演奏するのかと途中で尋ねたら、もちろんと笑って答えていた。彼自身は日本の曲「さくらさくら」が一番好きだという。彼の編曲になるこの曲を最後に弾いてくれた。

通訳の人もマネージャもついて来なかったのだが、Huberさんはもうすでに来日は8回目ということで3年前に会ったときから比べれば日本語が上手になっていた。

私が会場についたときに通訳する人が来たと主催者のTさんがいったが、もちろん通訳ができるほどではない。でもテーブルに座った人たちのことを一応はどんな人なのかと紹介した。

音楽があれば、あまり言葉を知らなくても演奏者は済む。しかし、同じテーブルの人たちがおよそどんな話をしているかを説明してあげたら、Huberさんやはり喜んでいた。少し日本語ができるようにはなっているが、やはり普通に日本人同士が話しているのを理解するのは難しい。

これは私たちがドイツ人同士で話しているのをそばで聞いていると1/3くらいしかわからないから、どきどき同席したドイツ人から説明を受けると話の様子がわかっていいという経験を何回かしているからである。

愛媛日独協会の会長のKさんも来られていたので、彼もドイツ語で話をしていた。もっともKさんは英語を話す方がお上手であるが、ドイツ語もかなり上手に話す。


星野芳郎氏の逝去

2007-11-11 17:50:21 | 学問

11月9日の新聞に星野芳郎氏の逝去が出ていた。一度もお目にかかったことはないが、ある種の影響を私に与えた人である。85歳だったという。

亡くなった私の先生のOさんが星野さんのことを話していたのだが、これは武谷三男氏との関わりがある。Oさんは武谷氏とともに星野さんの車に乗せてもらったことがあるといっていた。

武谷さんによれば、星野氏は非常な秀才で優秀な官僚も星野さんの手にかかればいちころで何でも説得されてしまうほどの有能な人材であるという。それが武谷氏の星野評であったらしい。

小さな車に乗っていながら「マイカー」というベストセラーを出したので武谷さんのからかいの対象になっていたらしい。

私の印象は主に中公新書の「技術と人間」によるところが多いが、岩波新書の「技術革新」とかその他の本にもよっている。

技術を教える方法をこの技術革新の書から学んだ。日本は優れた人をまた一人失った。


四元数のエッセイ完成

2007-11-10 11:17:53 | 数学

ここ1週間ほどかけてやっと四元数についてのエッセイを書き上げた。

このエッセイでは強引に計算によって積の非交換性を導いた。もっともこの強引な方法だと積が交換する解も出てくるので、積の非可換性を導いたHamiltonの推論がどうしても必要になる。

このHamiltonの推論はなかなかおもしろいもので、これについてもエッセイをまとめたいが,翻訳の仕事をしばらくやっていないのでそちらをかたづけてからでないととりかかれない。残念である。

四元数について知られた結果を述べてあるホームページは多かったが、その導入を一歩突っ込んで書いたものは以前にインターンネットを調べたところではなかった。

それで今回のエッセイを書こうと思った。だが、Hamiltonの推論についてのエッセイを書いてやっと私の目的が果たせるのでいまはまだ目的の半ばである。

こういう調子でいくと超幾何関数のエッセイはいつになるのだろうか。はじめの出だしだけ書いて一休みである。

そういえば、ごく最近「超幾何関数」の日本語の本が数冊出版されている。その中のひとつが数理科学の別冊として出されている。古い本でいえば、犬井鉄郎の「特殊関数」のはしがきに特殊関数の統一理論ができていると書いてある。

私自身はソーヤーの「数学へのプレリュード」(みすず書房)で超幾何関数が科学技術で出てくる関数の95%くらいになるということを知ったのが、超幾何関数についてのエッセイを書きたいと思った動機である。

また、量子力学の解ける1次元の場合の解は大抵が超幾何関数で与えられるとか、動機付けにはこと欠かない。

(2014.9.10付記)  9月19日に私の著作『四元数の発見』(海鳴社)が発行の予定である。定価は2000円であるが、消費税160円は別にかかる。

この書は四元数についての初歩的な内容であり、これはHamiltonの四元数の発見のいきさつとか、四元数と空間回転についての書である。他のことはあまり書かれていない。

しかし、球面線形補間のことは徹底的に書いてある。球面線形補間についてこれほど詳しく書かれた文献はまだ世界に存在しないであろう。


ラメの定数

2007-11-09 11:52:34 | 物理学

昔,大学の同僚にU さんという人がいて、ホログラフィを勉強していた。

彼のセミナーにしばらく参加をしていたときに弾性体の力学に出てくるラメの定数が出て来て,その導出について岩波講座の「現代物理学の基礎」の中の「古典力学」に豊田利幸先生の書かれたところをフォローしたことがあった。

この本がまだ初版でミスプリントがあったりするのを訂正しながら、すこしづつ読んで補充の計算をしてこのセミナーで報告をした。

そのノートはどこかに残っているはずなのでいつか計算の詳細を書き留めておきたいと思っている。因に第2版ではミスプリントは訂正されている。

弾性体の応力とひずみの間に成立する、たくさんある比例定数が弾性体の回転不変性とかいったいろいろな性質でだんだんに独立なものが減少していき、最後にたった2つのラメの定数だけになる。

この事実は知っている人は多いと思うが、それを実際にどうやって求めるかを知っている人はそんなに多くはいないと思う。その限定される過程を詳しく書いた本は豊田先生の書かれたものしか私は知らない。

弾性体力学は学生のときにランダウの教科書で学んだのだが、全くもって分かっていなかった。どうやって単位をもらったのだろう。弾性体力学の理解はいまでもまったくできていないが、30年ほど前に少なくともラメの定数の導出はきちんとフォローした。

もっともこの豊田先生の記述はしっかりしているが、数学的でもっと物理的な記述があるとの話をある先生から聞いたが、その文献には接したことがない。


柿1

2007-11-08 11:07:26 | インポート

食後のフルーツに柿がしばしば出される季節となった。小さい柿だが甘い。明るい色の柿と少し濃い色の柿とが出てくる。どちらも甘くて美味しい。そういえば、松山出身の子規は柿好きであったという。

   柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺

法隆寺は奈良でも交通の便があまりよくないのでバスで訪れるところだ。

私も1回だけ法隆寺を訪れたことがある。季節は秋だったか春だったかはたまた夏だったか覚えていないが、法隆寺の境内にこの子規の句の石碑があったと記憶している。私は子規の代表作はこの句だと思っている。

奈良でも薬師寺付近はそれほど訪れるのに交通は不便ではないが,それでも市内の東大寺ほどの人ごみではない。それで薬師寺界隈の雰囲気が好きだ。ここにも佐々木信綱の

   ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なるひとひらの雲

という短歌がある。「の」が何回も繰り返されている短歌でいまごろのワープロソフトのワードなら、修正勧告が出るような短歌である。でもその「の」の繰り返しがなんともいえぬ味を出している。


歯槽膿漏と緑内障

2007-11-07 10:52:46 | 健康・病気

歯茎から出血して歯茎が痛いというので何年かぶりに歯科の医院に通っている。2回通ってやっと上と下の歯の歯石を取ってもらった。

歯をよく磨く方なのだが,歯石がつきやすい体質なのか歯が黒ずんでくる。なんとか虫歯にはならずにすんではいるが、かろうじてということでいつまでもつだろうか。

70歳近くになると体がいたるところがたが来ている。眼圧が高いので緑内障の怖れありということで眼圧を下げる目薬を毎日点眼している。もちろん忘れることもあるのだが、そうすると眼が重たくなってくる。

緑内障になれば失明するかもしれない。もし失明したらその後をどう生きるかが難しくなってくる。そう思ってできるだけ点眼を忘れないようにしている。

歳をとると人と話す機会が少なくなって言葉がでなくなる。昼間は一日中人と話をしないこともある。ブログを書くのはそういう頭を働かせる機会を少しでも持とうということでもある。

文章を書くのは好きな方であるが、小学校の頃は文章を書くのは大の苦手であった。1行か2行書けば後は書くことなどもう思いつかなかった。


ホイリゲ

2007-11-06 12:19:13 | 日記・エッセイ・コラム

11月11日にオーストリアの新酒を飲む会があるので、誘われた。愛媛日墺協会が主宰する会である。一昨年だったかにきたミュンヘン出身のあるチター奏者をまた呼んだそうである。

ホイリゲはフランスのボジョレーヌボーほどは知られていない。ボジョレーヌボーよりわずかだが、時期が早いと聞いた。ウイーンにはこのホイリゲを飲ませるワイン酒場がたくさんあるそうだが、行ったことはない。

あまり音楽はわからないが、ホイリゲを飲む会ということで参加をしようと思っている。会費は残念ながらあまりやすくないが、毎年は出席できないので仕方がない。

一昨年にこのチター奏者と話をしたが、今年は何を話そうかと思っている。バイエルン方言と言うべきところを自分勝手な造語でミュンヘン方言といったので、それとはなくバイエルンには3つ方言があると教えてくれた。

通訳の人がついてくるが、私自身は通訳の人を介さなくても話ができる。しかし、いつものごとくブロークンである。でもこれでも何十年もドイツ語をやっているおかげなのだ。それにしてはへたくそだが、ブロークンでも話ができるというのはすばらしい。

自分ではもちろんすばらしいなどとは思っていない。立派なドイツ語を話したいと思っているが、なかなか上達はしない。このブログも英語かドイツ語で短くてもいいから書いた方がいいのだろうか。いつかはそういう試みをやってみたいと思っている。


ベルヌーイの定理

2007-11-04 12:38:34 | 物理学

これはエネルギー保存則を書き換えたものだということを知ったのは大学受験勉強をしているときであった。

その後この定理を復習したことがないからその導出は覚えてはいないが、そのことだけはよく覚えている。そういえば、熱力学第一法則も拡張されたエネルギー保存則であった。

そういう何回もよく出て来るような概念を中心にして物理を学べば、一度理解したことが他に転用して理解できるようになる。

亡くなった遠山啓はそういう概念をマスターキーといい表した。何がマスターキーなのかを意識することが必要だろう。


四元数の導入3

2007-11-02 11:05:44 | 数学

少しHamiltonの手紙の意味がわかりかけてきた。彼が指導原理にしているのは2数の積の絶対値の2乗が元の因子の絶対値の2乗の積に等しいということである。これを三元数に適用しようとして三元数は成り立たず、四元数を発見することになった。

手紙の後半はまだ読んでいないのでそこがまた理解できるか問題である。ところで私が四元数に関心を持ったのはCauchy-Lagrangeの恒等式がもとであった。Hamiltonの指導原理は実はCauchy-Lagrangeの恒等式と関連している。


四元数の導入2

2007-11-01 11:52:42 | 数学

一昨日四元数の導入について書いたが、昨日計算をしてみたら、結合則から1, i, j, kの積を決めるのに解はユニークではなさそうだ。一つはもちろんHamiltonが選んだ解だが、もう一つの可能性がありそうだ。

J. Croweという人の書いたベクトル解析の歴史の四元数のところも一部拾い読みをした。三元数が成立するかどうかを調べていて、これは無理で四元数なら成立するということをHamiltonが見つけたという。iとjの積をどうするかから四元数に至ったようである。このときijとjiとが交換しないことの発見が本質的らしい。