物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

テンソルの表示の仕方

2007-11-28 13:45:00 | 数学

テンソルを文字の右肩とか右脚下に付けたいわゆる添字で表すことは一般に知られているが、この添字にプライムがつくのは本当にいいのだろうかと疑問に思っていくつかの書籍を調べた。 

ワインベルグの本では文字にプライムがついており、添字にはついていないので、我が意を得たりとおもって、さらにホーイラーたちのいわゆる「電話帳」を調べたら,添字にプライムがついている。これはアインスタインの論文の日本語訳でもそうなっている。

この訳は内山龍雄氏が訳をつけているので、原論文もそうなっているのだろうか。矢野健太郎の「リーマン幾何学」(森北)も同じになっている。(後でアインスタインの論文の英語訳を収録した本を持っているのを思い出してこれを見てみたら、プライムは文字の方についていて、添字にはプライムはついていない。

日本語訳のときに数式の印刷の都合で変わったのだろうか。またPauliの相対性理論の英訳も見たが、これも文字の方にプライムはついていたが、添字にはついていない)

変数の一般の変換があって、元の変数にはプライムをつけず、変換後の新しい変数を元の変数と区別するためにプライムをつけたと考えていたので、添字にプライムをつけるのはなんだか違和感があるのだ。

きっかけは「物理のかぎしっぽ」のJohさんのテンソルの表示が気になっていたので調べているところである。他のテンソル解析の本も調べてみたい。

因に私の著書「数学散歩」ではテンソルには文字にプライムをつけて、添字にプライムをつける表示は用いていない。話は少し違うが大学の頃に習った解析幾何学の先生は文字にプライムをつけるときは文字の前の方につけていた。でもこの表示の本を見たことはいままでに一度もない。

添字にプライムをつけるのは数式の標記上は面倒なのでどうかとは思うが,この添字にプライムをつけたことが変数が違っていることを表しているのならば仕方がないが、表記法としては気に入らない。

(2013.6.17付記)須藤靖さんの相対論の本(日本評論社)を見たら、添字にプライムをつけるのが便利なのだとあった。しかし、どうしてそれが便利なのかはまだ私にはわかっていない。