【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【法案】著作権法を改正して図書館から家庭に絶版等資料をデジタル送信できる法案を文科省が第204回通常国会に提出、相次ぐ改正で別の動きのテレビのインターネット同時配信と束ね法案の可能性も

2020年12月30日 17時24分52秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]文部科学省(左)と内閣府(右)、ことし2020年7月、宮崎信行撮影。

 「絶版等資料」を図書館から図書館へと複製してネット送信できる、著作権法第31条第3項を改正して、一般家庭にも送信できるようにする、「著作権法改正案」が、来月2021年1月からの第204回通常国会に提出されるはこびになりました。

●文科省の優先事項は急転直下、「35人以下学級」日切れ最優先に

 当ニュースサイトが4か月前に報じた「【法案】「NHKプラスなどインターネット常時同時配信の著作権処理等の円滑化法案」が2021年通常国会に提出のはこび」とは別の動き。

 萩生田光一文部科学大臣は、2か月前に当ニュースサイトが報じた、わいせつ犯罪をした教員の再登壇を禁じる「教育職員免許法の改正」で法案提出をめざしましたが、省令改正で対応。今月下旬の財務省査定で、小学校全学年の35人以下学級が初めて認められました。そのため、先週報じた「義務教育標準法改正案」を3月末までに衆参で可決成立させ、4月の「新2年生」を35人以下学級にする法的根拠をつくらなければならなくなりました。同省の予算日切れ法案の審議は異例。

●著作権法改正が相次ぐ

 そして、国会は「一事不再議の原則」がありますので、絶版等資料の家庭送信の法改正と、NHKなどテレビのネット配信の著作権法改正は、ひょっとすると一本の法案に束ねられることになるかもしれません。著作権法は、昔の六法全書では「諸法」と呼ばれ、特許法と比べると肩身が狭かったようです。しかし、省に手数料が入るわけではありませんが、財産法としての著作権は、マンガなど価値の高い資料の転載収入などを違法として、損害賠償が成立するケースが多発しています。このため、国内での財産法ルールの整理のためにも、改正が相次ぐ格好となっています。

●絶版等資料の家庭配信の内容は

 さて、気になる法案の中身。官邸の知的財産戦略本部の5月27日の取りまとめを受けて、文科省・文化庁が「図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」を8月27日に設け、11月13日に迅速に報告書をまとめました。

 著作権法第31条の図書館での複製に関して、その第3項で「絶版等資料」を図書館から図書館に対してデジタル化送信できることになっています。これを改正して、家庭にも送信できるようにする改正。ワーキングチームは、「絶版等資料」の定義は今のままにして、出版社などが持つ出版権や、中古市場の経済的損失などはなく、補償金などは発生しないと結論付けました。

 8年前である2012年の分科会での議論の方向性と一致し、新型コロナウイルス感染症で休館になっている図書館が多いこともあり、急ぐべきだと報告しました。

 著作権法の教科書では、図書館の予算不足を理由にこの条項を使うことはできない、と解説されています。改正法案の審議そのものがどれだけ注目を集めるか分かりませんが、「絶版等資料は補償金なく家庭に送信できる」の枠が広がらないかどうかが、今後の焦点となるかもしれません。
 
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インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki















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