いよいよ今日(31日)で札幌東宝プラザが閉館する。先週「さよなら上映会」と銘打った3本立て映画をレポートした。ところが、今週上映フィルムを替えて再び3本立て上映をしていたので最終日の今日私も再び観てきた。
3本のラインナップは次のとおりである。( )内は制作年度
◇「『無頼』より 大幹部」(1968年)
◇「仁義なき戦い」(1973年)
◇「網走番外地 大雪原の対決」(1966年)
前回のも含めてラインナップを見てみると一つの特徴に気付く。
それは6本全てが1960年代後半から1970年代前半の10年間くらいに集中していることである。
上映作品を選定したのは映画館オーナーやスタッフが相談した末なのだろうが、これほど時代が集中したのは単なる偶然だろうか?
私にはどうもそうとは思えないのだ。この時代は日本の映画が最後の輝きを放った時代だったのではないかと思うのだ。この時代が過ぎると世の中の娯楽の中心はテレビに移行し、映画は衰退の一途を辿ることになる。
その最後の輝きを放った時代の代表作ともいえるのが「仁義なき戦い」や「網走番外地」のシリーズ物だったのではないか。
さて、映画を観ての感想だが、「『無頼』より 大幹部」、「仁義なき戦い」の2本はヤクザ物である。どちらも実際の手記などがベースになっているということだが、映画のテーマ自体はいずれもヤクザを否定しているが、どこかで若者などがヤクザ世界に憧憬を抱くような描き方になってはいないだろうかと少々気になった。
「仁義なき戦い」は11作制作されたシリーズの第一作であるが、深作欣二監督の斬新な構成・カメラアイが評判となり、それ以降の大ヒットに繋がった記念碑的作品であるが、今見ても色あせない迫力があった。
また、「網走番外地 大雪原の対決」は「番外地」シリーズ18作が制作された中の第7作でシリーズの中で最もヒットした(年度興行収入第一位)作品である。
題名どおり全てが冬のシーンで、網走ロケが相当部分を占めていたが、内容的に特筆すべきところはなく、シリーズ化した力と高倉健の魅力で観客を集めたということではないだろうか。出演当時20歳の大原麗子の可愛らしい美しさが際立っていた映画でもあった。
※ 館内にはこれまで上映された作品のチケットが展示されていた。
※ 写真は東宝プラザの前身の映画館です。始まりは「三友館」と称していたようです。
最終日というにもかかわらず、観客の入りはそれほどでもなかった。もっとも私は一番早い回だったので、夕方から夜にかけては客足が増えたかもしれない。
映画館の一隅にはこれまで上映したチケットが陳列されたり、歴代の東宝プラザの映画館の写真が掲載されたりして閉館ムードが醸し出されていた。
また、テレビ局も最終日ということで取材に訪れていた。
※ 最終日ということでテレビが取材に訪れていました。
私は新作なども東宝プラザで上映されているときはシネコンに行かず、東宝プラザに来てゆったりと観るのが楽しみだった。
そうした映画館がまた一つ閉じてしまうのは残念なかぎりである。