1968(昭和43)年制作の森繁久彌さん主演の喜劇「社長シリーズ」の第28作目の作品ということだ。館内には笑い声が絶えず、肩の凝らない楽しい映画だった。
また一つ札幌市内から映画館が消える。
昨年の東宝公楽に続いて、狸小路で頑張っていた「東宝プラザ」が8月31日をもって閉館と報じられた。寂しいかぎりであるが、シネコンの攻勢には耐えられなかったということだろうか。
東宝プラザでは閉館を前にして「さよなら上映会」と銘打って懐かしいフィルム三本立ての映画会が今日から始まった。
今日からその三本の映画について順にレポートすることにする。
まず、「社長繁盛記」である。
森繁久彌さん主演の「社長シリーズ」は1956~1970年まで33作品創られたそうである。したがってこの「社長繁盛記」はシリーズ後半に創られたもので、出演者たちの息も合い、笑いが随所に散りばめられ、私たちもおおいに笑いに誘われた。
※ 森繁久彌さん
感慨深いのは主な出演者である森繁久彌さん、小林桂樹さん、加東大介さん、谷啓さんのいずれもが既に他界されてしまっていることだ。
映画出演当時は、森繁久彌さん55歳、小林桂樹さん45歳、加東大介さん57歳、谷啓さん36歳だった。
いずれもが芸達者ぶりを発揮するのだが、特に谷啓さんの意外な芸達者ぶりを発見した(今ごろ遅い!)思いだった。
※ 小林桂樹さん
映画のストーリー自体は他愛ないものなので割愛するが、フィルムから時代的な特徴で気付いたところを記すことにする。
1968年というと我が国は高度経済成長の真っただ中にあって、ちょうど国民総生産(GNP)が資本主義国の中で世界第2位に躍り出た年である。
森繁社長の住宅内が映し出されるが、当時の上流階級ではすでに現代に近いような生活様式が実現されていたようである。(当時としてはきっと人々の憧れの生活と映ったのだろう)
ただ、街を走るバスや乗用車の形からは時代を感じるところもあった。
そして煙草である。会社で執務中、あるいは街を歩いている時など煙草を吸っている場面が数多く出てきたが、この場面にも時代の推移を感じた。
※ 加東大介さん
フィルム自体の保存状態は良く何のストレスも感ずることなく見ることができたが、音声の技術はまだ発達していなかったとみえ、声質が硬く、高音のため耳障りな感じがした。
※ 谷啓さん
時代は右肩上がりに成長を続けている真っ最中、画面全体に平和で幸せ感が漂っているように感じられた。(もちろん喜劇だということもあるのだが…)
さて、明日は任侠映画である。乞うご期待!?