洞爺湖を背景にした美しい四季、美味しそうなパンや料理、舞台となるペンション&カフェの白い内外装、主人公たちの白を基調としたファッション、そして主役の原田知世さんの白をイメージするような透明感のある表情…。いかにも女性監督が撮った映画といった印象だったが、はたしてその評価は…。
映画の舞台が北海道・洞爺湖だったこと、北海道が産んだスター大泉洋が主演していることで、観なくてはいけない映画にリストアップしていた「しあわせのパン」を2月2日、ユナイテッドシネマ札幌で観た。
映画は原田知世、大泉洋のカップルが洞爺湖畔で経営するペンション&カフェを縦糸に、そこを訪れる三組のわけありの人たちを横糸にして織りなすオムニバスドラマのような形式をとった映画である。
わけありの人たちはペンション&カフェで原田と大泉の優しさに触れ、洞爺湖畔の自然に癒されて生きる勇気を得て自分の居場所に還るストーリーである。そこに大泉の焼く美味しいパン、原田が作る愛情のこもった料理が重要な脇役となっている。
生きることに疲れたり、人間関係で躓いたりした人にとっては「自分もそんなところへ滞在して元気を取り戻したい」と思えるような映画ともいえる。
ただ、私からみると映画の流れにぎこちなさを感じてしまった。
それはときどき無意味(と私にはみえた)な沈黙の時間が画面を支配するときがあったことだ。もっと自然にセリフが流れてもいいのに、と思える場面が何度かあった。
このあたりは監督・脚本の三島有紀子の若さが出たのではと思ったのだが、私の思い過ごしだろうか。
それにしても北海道が産んだスター大泉洋の器用さには舌を巻く思いだ。
監督が意図する役柄を完璧に演じきったと言えるのではないか。
どんな役柄も違和感なく演ずることができる彼の演技力は、今や貴重な存在となりつつあるのではないか。
同じ道産子というだけで何の関係もないのだが、何だか映画を観終わったときに誇らしい気持ちにさえなった。
これからも大泉洋には注目していきたい。