田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

富士山登頂記 後編

2013-07-05 16:12:15 | 北海道低山紀行 & Other
 7月1日午前4時25分、ご来光のときに合わせて私はなんとか富士山々頂に立つことができた。茜色に染まった雲間から覗く陽光が神々しかった…。

               
               ※ このマップで私たちが仮眠をとった山小屋は「上江戸屋」と出ている。

 高山病のため頭痛に悩まされた私だったが、ガイドの励ましに勇気を得て、山頂にてご来光を仰ぐべく午前2時半に山小屋を出発した。しかし、一睡もしていない身体は一歩目から足が重く感じられ、行く末が心配な出発だった。
 山小屋「江戸屋」のところが3,400m、吉田口の頂上が3,710mだから、標高差310mの登山である。

          
          ※ このように闇夜にヘッドランプがほたるの灯りのように見えた。

 辺りは漆黒の闇の中、まるでホタルの灯りのように登山者のヘッドライトが点々と灯っている。登山路は前日のような岩壁はあまりないものの、階段のように積み重なった岩石を踏み越えながら、ジグザグに高度をかせいでいく。
 しかし、昨夜一睡もできなかった私の体は疲労がまったく取れていなかったようだ。出足から足が思いのだ。「大丈夫だろうか?」、「皆に付いて行けるだろうか?」と不安が頭をもたげた。
 ところが!! 7月1日、山開きの日のご来光を見ようと大勢の登山客が登山道に殺到したために、登山のペースが極端に遅いのだ。前がつかえてなかなか進まないのだ。その間当然休まねばならない。このペースが私には幸いした。

          
          ※ 9合目のところに建てられていた鳥居です。

 9合目(3,600m地点)を3時25分に通過。横を見ると朝焼けが始まり、ご来光の時間が近づいていることが分かる。

          
          ※ ヘッドランプの灯りが続々と続きます。

          
          ※ 9合目を過ぎたあたりから雲が茜色に染まりだしました。


 遅々として進まぬペースに、ガイドはご来光に間に合わないのではないかと思ったらしい。一列縦隊ではなく登山道が広がったところでは二列になって登るように指示がでた。すると後ろからどんどん追い抜いていく者が現れたが、私のペースは今までどおり。辺りから闇が遠ざかりヘッドランプも必要なくなってきた。

          
          ※ すでに山頂に達した人たちがご来光を待っています。

          
          ※ いよいよ空は茜色に染まり、ご来光が間もなくといった雰囲気です。

 上方にはすでに山頂に達し、ご来光を待つ人たちの姿が見えてきた。しかし、すぐに意識は目の前の岩を一歩ずつ登るために集中する。「ゆったりペースでもいつか山頂に届くだろう」と…。
 すると山頂前に建つ鳥居が目に入ってきた。もう一息だ!

          
          ※ とうとう山頂直前の鳥居に到達です。あと一息です!

 山小屋から悪戦苦闘することおよそ2時間。午前4時25分、ようやく富士山々頂(吉田口)に私は立つことができた。
 山頂に立ってほどなく、雲間の中に輝く陽光を見ることができた。
 その時、山頂にいた人たちの数はざっと見て5~600人くらいだったろうか?

          
          ※ 多くの人が山頂の標識の前で記念写真を撮っていました。

          
          ※ ご来光の瞬間です。鮮やかとは言い難いですが、苦労して登った末でのご来光は特別でした。

 ところで私はここで断っておかねばならないことがある。それは7月1日付の投稿で「日本のてっぺんに登った」と記したが、それは正確ではない。
 私が立った頂上とは、吉田口登山口の頂上(3.710m)である。
 本当の日本のてっぺんは、富士山の火口を囲むようにして屹立するいくつかの峰の中の一つ「剣ヶ峰」(3,776m)なのだ。

          
          ※ 富士山の火口の様子です。「剣が峰」は写真の左側でした。

 ガイドがそこに登る希望者を募った。当然私も応募しようと思っていたのだが、体調の悪さはいかんともし難い。これからさらに50分程度登らねばならないという。私の中に「剣ヶ峰」を目ざす体力も気力も残っていなかった。残念ながら断念することにした。ツアーの中からは1/3くらいの人たちが「剣ヶ峰」をめざし、残りは下山することにした。

          
          ※ ふだん記念写真を撮ることがない私ですが、やはり富士山は特別です。

 山頂はやはり寒かった。記録を調べてみると7月1日の夜明け前はマイナス0.2℃だったようだ。真冬といっても過言ではない。
 多くの時間と体力を費やして到達した富士山頂だったが、寒さもあって滞在時間わずか30分間、4時55分に5合目目ざしての下山を開始した。

※ 予定が違ってしまいました。もう一編、下山編を明日レポートすることにします。