両国界隈ウォークを終えた私はこれも東京の下町の代表格である「かっぱ橋道具街」を訪れた。私はそれほど予備知識なく訪れたのだが、ここの道具街はいわゆる厨房用品に関してありとあらゆるものが揃う問屋街であった。
※ 「かっぱ橋道具街」のマップです。私はこのマップの左端から道具街を往復しました。
「かっぱ橋道具街」は両国から直線距離にすると2kmに満たない距離だが、電車では乗り継ぎをして近くの東京メトロ銀座線の「田原町」駅に降り立った。
「田原」駅を降り、道具街に向かう途中の奥まったところに「東本願寺」があった。後から調べてみると、この「東本願寺」は浄土真宗東本願寺派の本山であるということだ。私が訪れたときには境内は静まり返っているように見えた。
※ 「東本願寺」の本山らしい堂々たる佇まいです。
※ 「東本願寺」の参道にあった民家の庭先です。いかにも下町という風情が漂います。
「東本願寺」から引き返し、いよいよ「かっぱ橋道具街」である。
「かっぱ橋道具街」は約800mに及ぶ「かっぱ橋道具街通り」を挟み、両側に店がびっしりと並んでいた。
ただ、道具街通りが片側2車線(あるいは3車線?)もの広い道路のため、両側を行き来することは不可能であった。そのため私は道具街を往復して散策することになった。
初めに目に飛び込んできたのは店舗ののれん・のぼり・提灯・旗・幕などを扱う店だった。一見した時には食堂や居酒屋さんと間違えるほどだった。
派手な店構えにカメラを向けたところ、店主から厳しく写真撮影を拒否された。意外な反応だったが、はたして全てを規制することができるのだろうか?過去に何か問題が発生することがあったのかもしれない。
この一件のため、カメラを向ける意欲が減退し、良い写真をあまり撮ることができなかった。
※ この店は写真を拒まれた店とは違う店の提灯などを扱う店です。
※ いかにも道具街!といった商品の陳列の仕方ですね。
道具街は厨房に関する食器具・包材・調理器具・食品サンプル・食材・調理衣装などありとあらゆるものが揃っているという感じで店の総数は170店を超えるそうだ。
私が道具街に興味を抱くきっかけとなった食品サンプルの店ももちろんあった。
※ さまざまな形、さまざまな産地の陶器が並べられています。
※ 食券の自動販売機ですね。
※ こちらは中華の店を出店するために必要な品々が揃った店ですね。
※ ご存知の食品サンプルの店です。私が見たところ4店くらいあったようです。
道具街にはシンボルの「かっぱ」の像が描かれた標識やビル自体にかっぱを描いているところもあった。
また、道具街の中ほどにあるポケットパークには金箔張りの高さ1.5mの「かっぱ河太郎」像が立っていた。
※ 街の角々に立っていた街のシンボルの標識です。
※ ビルの壁に大きなかっぱが描かれています。ちょっと怖いかっぱですね。
※ 金色に輝く「かっぱ河太郎」の像です。
通りの一方の端にあたるところに道具街には似つかわしくない真新しいビルが建っていた。区の図書館を兼ねた「台東区生涯学習センター」である。その一角が「池波正太郎記念文庫」になっているとのことだったので覗いてみた。
池波正太郎は浅草に生まれ、一生を浅草で過ごし、浅草を愛し続けたことから記念文庫が設立されたようだ。記念文庫には彼の著書がずらーっと並べられ、彼の仕事部屋(書斎)が復元されていた。
※ 「台東区生涯学習センター」のエントランスです。「池波正太郎記念文庫」の表示も見えます。
※ 記念文庫内に復元されていた池波正太郎の書斎です。
道具街は言問通りとの交差点から折り返したが、扱う商品や業種毎に集まっているのではなく、言葉悪く表現するとまるで無秩序に店が並んでいる風だった。それがまた散策するには楽しいのかもしれないのだが…。
途中の小路のところから東京スカイツリーを望むことができ、改めて「かっぱ橋道具街」が浅草の一角にあることを教えられた思いだった。
※ 小路の間から向こうに東京スカイツリーが見えています。
道路向かいの商店街を眺めていて気付いたことがあった。全ての店はビルの一階に位置していて、その上階はほとんど全てがマンションとなっていることだった。
詳しい事情は分からないが、利便地故に問屋を経営しながら不動産経営も併せて行っているのだろうか?
※ 写真のように問屋街の上はすべてがマンションになっていました。
物欲がすっかり減退してしまった私は特に何かを購入しようとする気はなく、ただ道具街を眺めるだけだった。しかし、通りを散策する若い人たちの中には熱心に品物を吟味する人たちもいて、食器や室内のインテリアに凝る人にとってはたまらない街なのかもしれない。
もちろんこれから飲食店を開業しようとする人たちにとっては頼りになる道具街であることには間違いないことだが…。