スリルに満ちたストーリー。「君の瞳に乾杯!」に代表される粋なセリフの数々。イングリット・バーグマンの知的な美貌。ハンフリー・ボガードの渋い声。そして哀愁漂う主題歌「時の過ぎゆくままに」等々…、映画「カサブランカ」は70年前に制作された映画にもかかわらず、今なおその輝きを失っていなかった。
良質の映画を月に一度くらいの割合で上映する札幌市生涯学習センターの「ちえりあ映画会」の8月の上映作品は1942年制作の「カサブランカ」だった。
8月30日(金)の午前中の上映とあって、観客のほとんどは私と同年代のおじさん・おばさんだった。
映画の制作年が1942年ということは第二次世界大戦真っ盛りの頃である。当時はハリウッド映画全盛期でもあり、年間50本もの映画が制作されていたという。本作「カサブランカ」もその中の1本ということだ。
映画はラブロマンスとはいいながらも、当時の世相を反映してドイツ軍のフランス占領を前にして、多くの人たちがアメリカに亡命しようと、しその中継地であるカサブランカに集まる中で、次の中継地のポルトガル・リスボンへの通行証を得るための虚々実々の駆け引きが演じられている。
その上で、カサブランカにおいても当時勢いのあったドイツ軍将校に対するレジスタンス的要素が加えられていたことがアメリカをはじめとした連合国諸国の人たちから大きな支持を得たようである。
ストーリーはイングリット・バーグマン演ずるイルザが、リック(ヘンリー・ボガード)と夫ラズロ(ポール・ヘンリード)の二股愛(こんな言葉があるのか?)に悩むことを縦糸として進行する。今でいうところのイルザの不倫であるが、リックはイルザの愛が変わっていないことを確かめた末に自ら身を引くという結末である。
映画「カサブランカ」は制作されて70年を経た今もアメリカ映画史上において高い人気を誇る映画だという。そのことが納得できるたくさんの魅力が詰め込まれた一本だと思った。
あっ、この映画で有名になった「君の瞳に乾杯!」というセリフをハンフリー・ボガードはイングリット・バーグマンに向かって何度言うのだろうかと数えていたところ、なんと4回もふ囁いていましたよ!