石狩川河口 ⇒ 石狩河口橋 トレッキング月日 ’14/01/22
危うく難を逃れた私だったが、危険はまだ去っていなかった。河原がこんなに危険だったとは…。一作昨年に豊平川を遡ったときには経験しなかった罠が私を待っていた。と同時に、深雪がじわじわと私の体力を奪っていった…。
危険を回避しホッとしてスノーシューイングを続けた。
ときどき吹雪がふっと止むこともあったが、それは気まぐれの一服という感じで時が経つとまた雪が降り出すという感じだった。
石狩川を絶えず右手に見ながら、流れから付かず離れずの距離を保って歩き続けた。(流れが見える河岸からは2~30mはあったと思う)
私の左手には灌木が繁っていたが、私が歩いているところは一面の雪で前を遮るものもなく平坦な雪原が続いていた。
※ 写真のような平坦な雪原が淡々と続いていると思っていたのだが…。
河原の様子には特に変化はない。淡々と歩き続けるだけである。
そうした中で、私の中に小さな変化が起こってきた。なんだか大腿部に張りが出てきたように感じられたのだ。夏にいくら長距離を歩いても感じられない異常な感覚である。何だろう?と考えてみたが、どうやら深い雪の中で埋まった足を引上げる動作を繰り返すうちに大腿部に疲れが溜まり始めたのだろうか、素人考えなのだが…。
※ 川面には砕けた氷が漂い、対岸には石狩浜に立つ灯台が見えた。
どれくらい時間が経ったろうか?時間を記録するのを失念してしまった。
気づくと、私の左手、つまり河岸とは反対側のちょっとした崖の縁に水面が見えた。「えーっ、自分が歩いているところは川の上なのか!?」半信半疑ながらも私は歩き続けた。
※ えーっ!雪の裂け目から水面が!ということ立っているところは川の上??
すると、今度はやはり左手に船が陸揚げされているのが見えた!これはもう完全に私は川の上を歩いていると確信した。つまり、石狩川の河岸が凍っていて(あるいは砕け氷が固まって)、私はその上を歩いているということに初めて気が付いた。
※ 左手に船が陸揚げされているのを見て、立っている位置が川の上であること確信したのでした。
そのうちに雪原になにやら裂け目のような線を見つけた。その近くを歩いているとき、スノーシューがズボッと雪を踏み抜き、私は転倒してしまった。足元を見ると水面が見えるではないか!石狩川は凍ってはいても完全に氷結しているわけではなさそうだった。
危険を感じた私は慌てて陸地とおぼしきところまで河岸からさらに離れたのだった。
※ 雪面に不気味な裂け目が走っているのを確認しました。
※ すると間もなく、スボッと足を取られ水面が顔を出しました。、
対岸には夏に何度も訪れた石狩浜の弁天町の建物が見えるが、一向にその景色が変わらないほど歩みは遅々としていた。それでも遠くに〔石狩河口橋〕の鉄塔が見えるようになってきた。「あの橋の橋脚のところで昼にしよう!」と考えて歩を進めたのだが、大腿部は絶えず痛みを感ずるようになり、継続して歩くには辛さが増し、休み休みの歩みとなってしまった。
橋の鉄塔は見えても一向に近づかない。そして歩いているところは川面が開いているところから遠く離れているのに、辺り一帯は低地があったり、ちょっとした丘があったりして、先ほどまで見えていた船や作業小屋なども見えなくなってしまった。
後から分かったことなのだが、橋が近づくにつれて川幅が広がり、橋のところでは川幅が1,500m近くにも広がっていたということだ。(川幅というよりは、川に続く低地帯が広がっていると解釈した方が正確な言い方のようだ)夏の間は低地には水が入り込み、湿地帯のようになっていると思われる。
※ 遠くに石狩河口橋の鉄塔が見えてきたのですが、ここからが遠かったぁ…。
※ 橋が近付くにつれ、灌木が生い茂った湿地帯(?)の様相を呈してきました。
12時を過ぎても一向に近づかない橋、さらには大腿部の痛み、私はこの時点でこの日の目的地の〔札幌大橋〕まで行くことをあきらめ、〔石狩河口橋〕で終えることに計画を変更することにした。
痛んだ脚を休み休み騙しながら、雪原を歩き続け〔石狩河口橋〕の橋脚のところに到達したのは12時50分だった。
風を避けるようにして橋脚の風下に入り、調理パンを温かな紅茶で流し込んだ。
※ 昼食を摂ったあたりから、国道へ出るためには写真のずーっと向こうまで歩かねばなりません。
〔石狩河口橋〕で本日の行動を止めることにしたが、問題は帰りの足だった。計画では〔札幌大橋〕からJRで帰ろうと思っていたのだが、〔石狩河口橋〕からだとバスしかない。しかし、札幌行のバスが比較的多く出ているのは石狩市内からである。〔石狩河口橋〕から石狩市内まではまだ6~7Kmくらいある。歩くほかないと覚悟を決め、さらに25分かけて国道に出た。(13時30分)
※ 国道に出て、〔石狩河口橋〕の橋の上を25分間かけて歩いて渡りました。
国道に出て、スノーシューを外したところ雪が積もってはいてもやはり歩きやすい。長い〔石狩河口橋〕を通過するのに25分もかかった。助かったのは歩道が除雪されていたことだ。雪が降る中、黙々と歩く。その姿を見たドライバーたちは「バカなことをしているおっさんがいるな」とでも思っただろうか。
歩いているとバス停が見えた。一応、バス時刻を確かめてみようと近づいたところ、なんと14時40分台に札幌行きのバスが通過することが分かった!時計を見ると14時近くだった。止まっていては体温の低下を招くので、歩きながら前方のバス停を目ざすことにした。何ヵ所かのバス停を過ぎ、14時30分を過ぎたところでバス停があったので、そこから乗車することにした。
14時49分、〔3線〕というバス停から乗車し、16時少し前に札幌バスターミナルに着いたのだった。
疲労困憊の顔で帰宅したところ、妻から「おっさんが一人雪原を歩くなんて、それを見た人はどう思っているんでしょうね」とあきれた様子で呟いていた。私も妻の思いは分かりすぎるほど分かる思いだ。しかし、同時に私にとってはこれほど楽しいことはないという思いもあるのだ。誰もいない、一つの足跡もない雪原を一人往く…。それは理屈抜きで私を愉悦の極地へと導いてくれる…。ただし、危険は極力避けねばならないが…。
※ マップの「ここです」というところまでしか歩けませんでした。計画は国道337号線交わる〔札幌大橋〕だったのです。
今回は計画した目標をクリアすることができなかった。ぜひとも残りの区間を再度チャレンジしてみたいと思っています。