なんともほのぼのとした画が人気を呼ぶすずきももさんの画だが、ご本人もそのイメージのまま素朴な感じを抱かせる方だった。しかし、仕事の方はかなり意欲的に取り組んでいらっしゃるようだ。そのすずきももさんの話を聴いた。
10月25日(木)午前、近代美術館講座プレミアム3が開講した。第3講の講師は、絵本作家でイラストレーターのすずきももさんが「旅とごはんと絵の仕事」と題して話された。
彼女は東京生まれであるが、幼少の頃父親の仕事の関係(炭鉱関係?)で夕張に転居して育ったそうだ。彼女の言によれば「山育ち」ということである。
その後、短大を卒業した後、出版社に勤めるも、イラストレーターの道を志して勉強を続けたことで道が開け、「さっぽろおさんぽ日和」というイラスト付き札幌ガイドブックを出版できたことが大きなキッカケとなり現在を迎えているということだ。
※ 絵本作家・すずきももさんのデビュー作となった「さっぽろおさんぽ日和」の表紙です。
彼女は実にたくさんの本を世に出している。前述の「さっぽろおさんぽ日和」を始めとして「おさんぽ日和のほほん旅」、「大好き!ほっかいどうのパン屋さん」、「おやつ手帖」などのイラストガイド本。そして絵本として「シャガールおじさんとねこのピピ」、「海からきた少女」、「あきとふゆ はたけのごちそうなーんだ?」などなど。さらには絵本の絵のみを担当したもの、あるいはイラスト付きエッセイの執筆と活躍の幅は広い。
※ 彼女の出世作となった「はる・なつ」版、「あき・ふゆ」版の「はたけのごちそうなーんだ?」を手にする眼鏡を外したももさんです。
彼女のそうした本づくり(出版活動)の中でも、「食」に関するものが多いのは、彼女自身が「食」へのこだわりがあるという。仲間と共に「だい好きパンの会」を主宰したり、「スローフード運動」に加わったりすることで「食」に関する執筆・出版が増えてきているという。
※ 彼女の画風で描いた自画像(?)と思われます。
そして「食」へのこだわりは全国、あるいは海外への旅にも繋がり、旅先での「食」に関する取材が彼女の本づくりに大きな影響を受けていると話した。
彼女の本は中国、台湾、韓国などで現地語に翻訳されて出版されているということだが、特に台湾との関りを最近は深めているとのことだった。
すずきももさんは明言はされなかったが、今後は北海道とともに台湾においての活動に重点をおいていきたいとの思いをにじませて講演を終えた。
講演後、彼女の本を見せていただいたが、いかにもほのぼのとした画風は多くのお母さんファンを獲得しているに違いないと思わせてくれた。
北海道を拠点に活動する絵本作家・すずきももさんの活動は今後も注目されていくだろう。私も関心をもって見守っていきたいと思う。