田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

丹波實氏は叫ぶ 戦略なき日本と…

2012-05-24 21:03:31 | 講演・講義・フォーラム等
 元外務官僚の丹波氏は叫ぶ。「北方領土問題で、日本が北方4島返還を求めるのは歴史を通じて正義を実現するためである」と…。丹波氏は外務省の中枢を歩いてきた方である。丹波氏の主張が外務省のコンセンサスらしいのだが…。

          
          ※ 開会前の会場の様子です。
 
 5月21日(月)午後、札幌グランドホテルにおいて札幌商工会議所主催の国際セミナーを聴講した。講師は外務審議官や駐ロシア大使などを務めた丹波實氏が「戦略なき日本 -日本の将来をどう見るか-」と題して講演した。氏は74歳と高齢であるが、現在も精力的に講演活動を行っているという。
 
 丹波氏の講演を聴くのは初めてだったが、テレビや新聞などのメディアを通して氏が北方領土問題に関して強固な4島返還論者であることは知っていた。
 講演は日本の政治状況全般に苦言を呈するものだったが、ここでは北方領土問題だけに絞ってレポートすることにする。

 氏は叫ぶ「歴史的、法的事実からいって、ロシアに対して4島一括返還以外一片の妥協の余地もない」と…。確かに日本側から見ると丹波氏の主張していることはよく理解できるし、そのとおりにコトが運んでほしいと誰もが思っていることだろう。
 しかし、現実にはロシアがすでに50年以上にわたって北方4島を実効支配しているのが事実であり、近年は極東重視の考えからインフラ整備も進んで、返還の気配すら感じられない現状である。

          
          ※ 丹波氏は高齢で脚が弱っているということで座って講演された。

 外交問題はいつのときも交渉相手が存在する。その際に自国の立場だけを主張することが得策なのだろうか? 丹波氏はいつのときも、ただ一点“国益”だけを考え外務官僚として行動してきたという。 およそ実現が困難とみられる4島一括返還だけを交渉の席で主張し続けることが“国益”に適うことなのだろうか? 悩ましい問題である。

 この問題では、政治家の鈴木宗男氏、外交官の東郷和彦氏、佐藤優氏などが一時「2島先行返還論」を模索したが、外務省から駆逐さてしまったという過去がある。

 丹波氏など外務省が主導する4島返還論に固執するのか、あるいは妥協点を探る柔軟路線が国益に適うのか、難しい問題である。
 私がそれ以上に気になるのは、ときの政府がこの難しい問題にあまり真剣には取り組んでこなかったのではないか、という疑念が残る。
 丹波氏は「国家にとって、領土・領海・領空は国家存立の座標軸である」と言うが、ときの政府がこの問題に真剣に立ち向かってほしいと願うものである。

 タイトル名を「丹波實氏は叫ぶ」としたが、年齢のせいだろうか、それとも国を憂うる気持ちがそうさせるのか、マイクに向かって叫ぶように話すさまは鬼気迫るがごとく私には映った…。

北海道JCフォーラム 後編

2012-05-23 22:20:31 | 講演・講義・フォーラム等
 JC(日本青年会場所)が主催するイベントには独特のフォーマットがあるようである。JC会員による事前に趣旨説明と、事後にはイベントを振り返るまとめが発表される。第2部のまとめの発表は秀逸であった。
 

 昨日、リード文で多彩なゲストを招いてと記したが、その方々を列挙してみる。
 よく知られた人としては、弁護士でタレントのケント・ギルバート氏、フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏、女優の菊川怜氏、そしてジャーナリストの田原総一郎氏といった面々である。
 さらには、防衛ジャーナリストの桜林美佐氏、外交評論家の田久保忠衛氏、元外交官の孫崎亨氏、農業ジャーナリストの土門剛氏、などなど実に多彩であった。

 さて、第2部のフォーラムは次の二つのテーマの同時開催となった。
 ◇北海道経済成長戦略フォーラム「誰が描く!北海道の『食』の未来」
 ◇復興・減災フォーラム「『3.11』の教訓 ~ 災害に強い地域をめざして」
の二本立てだった。
 私は再び田原総一郎氏がコーディネーターを務めた「北海道経済成長戦略フォーラム」の方に参加した。
 パネリストは、農業ジャーナリストの土門剛氏、現役の若い農業経営者である今井貴祐氏と高坂重勝氏というラインナップだった。

          
          ※ フォーラムをリードする田原氏です。年老いても鋭い突込みは健在です。

 このフォーラムで特徴的だったのは、土門氏が日本の農業に対して悲観論を展開するのに対して、二人の農業経営者が比較的楽観論を述べたことである。
 土門氏が日本農業の高齢化、後継者難に触れいよいよ危機的状況にあるとしたのに対して、二人はそうした傾向を認めつつも農業の未来に対して悲観していなかったことである。
 このことは、自らの農業経営が比較的順調であることに加えて、北海道の農業が土門氏が指摘する全国傾向ほど悲惨な状況ではない、ということを示すことなのだろうかと私は聞いていた。

 象徴的だったのは田原氏がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について問うたときである。農業団体等がこぞって強力に反対運動を展開しているこの問題に対して、二人は予想外の柔軟な姿勢を見せたことである。
 若い二人は声高に反対を叫ぶだけではなく、もし日本がTPPに参加した場合にその後の農業経営者としての戦略をすでに練っているからそうした姿勢を示したのではないだろうか、私の見たのだが…。

          
          ※ 三人のパネリストです。左から土門氏、今井氏、高坂氏の順です。

 田原氏はたとえ日本がTPPに参加したとしても、北海道農業にはそれに打ち克つポテンシャルがあると締め括ったのだが、果たしてどうなのだろうか?

 さてフォーラム自体の締め括りである。リード文で記したようにJC会員の代表がフォーラムのまとめを行った。それは予定原稿を読み上げるものと私は思っていた。(事実、第1部のフォーラムのまとめはそんな感じだった)ところがここでのまとめは、パネリストの発言、田原氏の話を随所に織り込みながら、北海道農業が抱える課題や将来性などを的確に参加者に提示する内容だった。もちろんノー原稿で、淀みなく提言する姿は感動的ですらあった。

 第1回北海道JCフォーラムは、この後菊川怜氏が登場するメインフォーラムがあったのだが、私は所用のため第2部まで参加して会場を後にした。
 参加できなかったフォーラムも興味あるテーマばかりだったので、できれば全てを聴いてみたかったと思ったのだが、日程的にそれは叶わなかった…。


北海道JCフォーラム 前編

2012-05-22 23:13:32 | 講演・講義・フォーラム等
 先日、北海道内のJC(青年会議所)が一体となって大型のフォーラムを開催した。多彩なゲストを招き、時の課題をテーマに同時多発的に数々のフォーラムを行った。私はそのうち二つのフォーラムに参加した。

 
 これまで札幌JCが開催する講演会やフォーラムはあったが、北海道内のJCが一緒になって開催するのは初めてということなのか、5月20日(日)札幌コンベンションセンターで開催されたフォーラムは「第1回北海道JCフォーラム」となっていた。
 同時多発的という言葉を使ったが、具体的には…。
 ◇エネルギーフォーラム「私達が創る 北海道の灯(あかり)」
 ◇領土領海フォーラム「どうなる北方領土!凛然とした北海道創造に向けて」
 ◇国民主権確立フォーラム CHANCE TO CHANGE「憲法サミット in Hokkaido」
以上三つが同時に行われ、私はエネルギーフォーラムに参加した。
 本日はそのフォーラムについてレポートしたい。(もう一つのフォーラムは明日に)

          
          ※ フォーラムのコーディネーターを務めたご存じ田原総一郎氏です。

 エネルギーフォーラムは、田原総一郎氏をコーディネーターとし、エネルギーアナリストとして名高い朝比奈一郎氏、風力発電を積極的に進める苫前町長の森利男氏をゲストスピーカーとして行われた。
 
 エネルギーというと、それはもう原発問題であることは言うまでもない。
 この問題に対して、田原氏を含めた3名のスタンスは原発に頼るエネルギー政策からの脱却を目指さねばならないということでは一致していたようだ。
 その中で、朝比奈氏は日本にとってエネルギー問題は国の安全保障上の問題として、日本が原発を導入せざるを得なかった背景を説明した。(すなわち、日本は石油に頼らざるを得ない中で歴史上何度も国の危機を体験したという意味において…)

          
          ※ 登壇した2名のゲストスピーカー。左が朝比奈氏、右が森氏です。


 そして朝比奈氏の言葉で印象に残ったのは、原発なき社会を目指すためには総力戦が必要であると強調した点である。
 その総力戦とは、一つには火力発電の燃料確保のため石油はもとより、石油以外の燃料(天然ガス、メタンハイドレートなど)を確保する問題。二つに再生可能エネルギー(自然エネルギー)の効率化と拡大を図る問題。三つに節電、省エネの技術開発をより進めるという問題。こうした問題に総力を挙げて取り組まなければならないとした。

 一方、森氏は自身の町で取り組んでいる風力発差電をはじめとした再生可能エネルギーの拡大を進め、原発に頼る現状から徐々に切り替えていくべきと主張した。ただ、森氏は小さな自治体の首長という立場のためか国全体のエネルギー政策を考えるという視点にはやや欠けるように思われた。つまり現状において再生可能エネルギーの占める割合は1%程度である。そうした現状でいったいいつになったら再生可能エネルギーが主要な電力と成り得るのかという点についての展望を持ち得ていなかった。

          
          ※ フォーラムを聴き入る参加者たちです。

 田原氏は言う。今や原発反対の声は国民の70%に上っていると…。(ということは、田原氏は言及しなかったが、国民の声はすでに結論が出ていると言わんとしたのだろう)
 したがって、問題は原発廃止に向かってどのような工程表を作成していくかということが今後の課題になってくると思われると述べていたが、私も問題はそこに移ってきたように思っている。

桑園元気マップ完成記念フォーラム

2012-05-21 23:21:14 | 講演・講義・フォーラム等
 私が参加する桑園交流ネットワークが「桑園元気マップ」を完成させたことは先に拙ブログでレポートした。(そのレポートはこちら )そのマップの完成を記念して、このほど桑園にお住いの方々に呼びかけてフォーラムを開催した。

          
          ※ 多くの住民の参加を得て開催されたフォーラムでした。
 
 フォーラムは5月19日(土)午後、私たちネットワークが毎月会議をもつコアレックスホールを会場に開催した。
 当初、参加者が少ないのではと心配されたが40名を超える方に参加いただき、なかなか盛会なフォーラムとなった。
 フォーラムは、 「桑園を知って楽しく元気な暮らしへ」 をテーマとして、三部構成で行われた。その三部とは、
 Ⅰ部 「地域のまちづくり支援について」 講師 中央区市民部長
 Ⅱ部 「桑園地区の現状と活動団体の紹介」 講師 桑園まちづくりセンター所長
 Ⅲ部 意見交換会(ワークショップ)「こんな街に住みたい!こんな桑園だったらいいなぁ~!」
であった。
 
 Ⅰ部の市民部長の話は、市民が主役のまちづくりをルール化した「自治基本条例」についての説明だった。市民部長の話の中で「大都市だからこそ、顔の見える地域づくりが大切」と云った言葉が新鮮だった。
 大都市札幌ではあるが、市民が主役のまちづくりを進めるために市内87カ所に「まちづくりセンター」を設置して、そこを拠点として住民自治を積極的に進めようとしている。

          
          ※ 講演をする中央区市民部長です。

 Ⅱ部のまちづくりセンター所長の話は、豊富な実態資料を用意した興味深い話だった。札幌市では「まちづくりセンター」の設置地区と同じく市内を87に分けて、さまざまな実態資料を作成している。
 短時間にあまりにも多くの資料の提示を受けたために、ほとんど記憶に残らなかったのは残念だが、そのような中から市内の他の地区と比して桑園地区の特徴として記憶に残っていることは、人口増加率が高いこと、生産年齢人口が高いこと、児童生徒数の増加が高いことなどが数字として表れ、比較的に若い街と云えるということだ。
 このことは桑園地区にマンションなどの集合住宅の建設が続いていることが影響しているとみられる。

          
          ※ 豊富な資料を用意し話をする桑園まちづくりセンター所長です。

 最後に全体を三つのグループに分けた意見交換会(ワークショップ)が行われた。私はこの意見交換会の一つのグループのファシリテーターを務めた。活発な意見が交換され、交換会をリードした私もとても楽しめた。
 私のグループの中で交換された意見をまとめてみた。

《ワークショップ グリーングループのまとめ》
 ○北海道(札幌)は自然が豊かというイメージがあったが、特に札幌市内は緑が少ないのではないか。(道外出身者)
 ○札幌に緑が少ないとは思わない。豊かな自然がごく身近に存在する。(桑園に長く在住する方)
 ●札幌に緑が多いか、少ないかは見方によって分かれるところである。確かに豊かな自然が身近に存在するが、街中には必ずしも緑が多いとは言えないようである。
 ○桑園も昔は空き地などがあり潤いも感じたが、近年のマンション建設ラッシュのために無機質な街に変貌しつつある。「花」を一つのアイテムにして潤いのある街にしたい。「桑園の花」を指定することも一方法である。
 ○マンション住民が増え、プライバシー重視の傾向が強くなってきた。住民同士の「つながり」が欲しい。そのためには何か「キッカケ」が必要だ。花いっぱい運動的なことを展開することも「つながり」を作るキッカケの一つになるように思う。
 ●「花」は確かに街を彩るアイテムとして各自治体・各地域が取り組んでいる例が多い。私たちもどのように取り組むか桑園交流ネットワークの課題の一つになりそうである。
 ○桑園地区はある意味で札幌の理想の地域と云えるのではないか。その利便性や環境の良さなど素晴らしいところである。(他区の在住者)
 ○確かに立地条件に恵まれた地域だ。札幌駅・大通公園・円山公園ともに徒歩圏に入る利便性がある。
 ●他の方から指摘されて、あらためて桑園地区に住んでいることのアドバンテージを感じた。この優位性を活かした街づくり、そして人のつながりを求めていくことが必要に思う。
 ○桑園地区に中学校が存在しない。学齢期の親としては切実な問題である。複合施設など何らかの方法で中学校を誘致できないか。
 ●少子化時代を迎え、さらにはハードの問題ということで、ハードルは高いが声を上げることで地域住民の関心を喚起することも大切なことであると思う。

 ※ 報告をお読みになり、お分かりのことと思いますが○は参加者の声、●は参加者の声を聞きながら私の方でまとめたものです。

 自分が住む桑園地区のまちづくりに多少なりとも関与でき、そして桑園地区の人たちと繋がりができつつあることを、私はとても嬉しく思っている。
 これからもできる範囲で関わり、繋がりを大切にしていきたいと思う。

札幌Cafe紀行 №117 中国茶 楼蘭

2012-05-20 23:45:15 | 札幌Cafe紀行
 以前から一度は訪れてみたいと思っていた中国茶系のカフェだったが今回初めて訪れることができた。初めての中国茶の体験は興味深い発見がいろいろとあった。 

          
          ※ ホテルの一回部分にある「楼蘭」です。外見はごくあっさりとした感じです。

 藤巻健史氏の講演会の後、オヤジ三人で中国茶を試してみることになった。
          
 カフェ「楼蘭」は札幌の狸小路の西の端に位置するホテルの一階にあった。
 店内の造りはそれなりに中国をイメージする造りにはなっているものの、コテコテの感じではなく、どちらかというとあっさりした造りである。
 そして店もそれほど大きくはなく、スタッフ一人できりもりしていた。

       ※ 「楼蘭」の店内の様子です。そこはかとなく中国を感ずることができる雰囲気です。

          
        
          

 メニューを見て驚いた。中国茶と一口で云ってもその種類は多彩である。大きく分けただけでも、緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶・花茶とある。メニューにはそれぞれの種の特徴を説明してはくれているが、あまりにも種類が多くどれを選んだらいいのか見当もつかない。

          
          ※ メニューの一部です。その種類の多さに驚いた!

 私たちは率直にスタッフに尋ね、一見さんにお勧めの茶を聴いた。
 そして私は青茶の一つ「大紅袍(ダーホンパオ)」600円をオーダーした。「大紅袍」について、メニューには次のように説明されていた。「福建省産 数ある武夷茶の中でも「茶王」の異名を持つ銘茶 濃厚な花のような香りがあります」

          
          ※ これが中国茶を楽しむ一式です。一番茶を茶壺に出したところです。これを左の小さな茶わんに移していただきます。

 やがて、茶葉と湯が入った急須や茶わんなどのセットが運ばれてきた。そしてスタッフがその淹れ方を説明してくれた。
 まずは茶葉からお湯の中に出たエキスを出し切るために、急須を逆さにして茶壺に移す。茶を出し切ったところで、茶壺から中国茶独特の小さな茶わんに移して賞味するといった具合である。

          
          ※ 湯を入れた急須を写真のように逆さにして茶壺に移します。

 また、茶葉を二煎、三煎するためにテーブル上にはアルコールランプで熱せられた湯が用意されている。

          
          ※ ご覧のようなお湯が各テーブルに用意されています。

 さっそくいただいてみる。う~ん…、花のような香り?? 一見さんにその香りを感ずるだけの舌と感性は持ち合わせていないようだ。ただ、濃厚な味はなんとなく感ずることができた。
 スタッフによると中国茶の場合、4~5煎までは十分楽しめるとのこと、私たちも5煎まで楽しませてもらった。

          
          ※ お茶請けに頼んだ中華まんじゅうです。

 せっかくの機会だったので、お茶請けに「蔬菜包(シューツァイパオ)」(380円)という中華まんじゅうをオーダーした。メニューには次のような説明があった。「一晩煮込んだ豚の角煮が入ったオリジナルの中華まんじゅう(2個)」これが予想外(と言っては失礼!)に旨かった!! (なお、セットとしてもお茶請けのドライフルーツが付いてきた)

          
          ※ 店内には中国茶の即売コーナーもありました。

 中国茶…。なかなか面白い!
 時間があるときに、友人たちと連れ立ってゆったりと時を過ごすのも悪くはない。
 
【中国茶 楼蘭 データー】
札幌市中央区南3条西9丁目46 ホテルテトラスピリット1F
電  話 011-231-3918
営業時間 11:30 ~ 21:00       
定休日  月曜日
座 席  25席
駐車場  無
入店日  ‘12/05/17


藤巻健史氏 日本経済の再生を語る

2012-05-19 23:54:54 | 講演・講義・フォーラム等
 伝説的トレーダーとして名をはせた藤巻氏であるが(といっても私にはまったく関心外のことであったが)日本経済の現状にはかなり悲観的な見立てだった。しかし、そこからが藤巻氏の真骨頂!彼が語る日本経済の再生とは?
 

          
          ※ 藤巻氏登場前のステージです。

 ここ5年、毎年のように聴講させていただいた札幌信用金庫経済講演会である。今年は5月17日(木)現役のトレーダーではあるが、最近はむしろ経済アナリストとしての活躍が目立つ藤巻健史氏を講師に東京ドームホテル札幌で開催された。
 演題は「日本経済の展望」~伝説のトレーダーが語るハードランディングへのシナリオ~と題するものだった。

 藤巻氏は語る。日本の国家財政の現状は小手先の対策などを打っても焼け石に水状態であると…。
 あの国家財政危機に陥っているギリシアを例に出し、そのギリシアの対GOP比債務残高142%に対し、日本は220%である。いくら日本国債を保持しているほとんどが国民だとはいっても、債務残高が膨らむ一方の現状は消費税や法人税の値上げなどでは到底払しょくされるものではないと氏は指摘する。

          
          ※ 自著を片手に熱弁をふるう藤巻健史氏です。

 日本の国家予算の累積赤字は959兆円に達し、1,000億円を超えるのも時間の問題と云われている。事実、日本の国家予算は昨年も、今年も44兆円というとてつもなく大型の赤字予算なのである。

 なぜそうなってしまうかについて、藤巻氏は一にも二にも「円高」がその根源であると指摘する。経済が好調と云われる中国や韓国は「元安」や「ウォン安」に支えられたものであるという。
 日本が現状の危機を乗り切るためには「円安」の状況を生みだすしかないだろうという。
 
 その方法は…。
 徳政令やリ・スケジュールは現実的ではないだろうとする一方、大増税という道が考えられるがそうすると企業はますます海外に逃避するだろう。そしてインフレを引き起こしてしまう。
 それでは何があるのか? 藤巻氏が云うハードランニングとは?
 藤巻氏は「クラッシュ」という言葉を使った。
 日本経済の再生のためには、もはやかつて韓国が体験した自国の通貨危機を招くような事態を体験する以外にないのではないかと云う。

          

 「クラッシュ」…、それは何を意味するのだろう?
 辞書では「全てが打ち砕かれること」とある。つまりこれまでの経済の仕組みや方法が全てご破算になってしまうことを指すのだろう。「クラッシュ」の具体的な中身について藤巻氏は触れなったが…。
 いずれにしても相当に激しい外科的手術であることは間違いない。それは私たち庶民も相当な痛みを覚悟しなければならないということだろう。私たちはそれに耐えられるのだろうか?

 今回の話はトレーダーとしての側面から日本経済を語ったお話とうかがった。
 はたして藤巻氏が主張するような状況が日本に到来するのか?
 もしそうなったときに日本のリーダーはどう対処するのか?
 苦手な経済の世界から目を離すことができない、と思わせられた藤巻氏の話であった。


札幌Cafe紀行 №116 plantation

2012-05-18 23:26:32 | 札幌Cafe紀行
 札幌のカフェ界に話題を提供続ける森彦の4号店である。期待に違わぬ斬新なアイデアがいたるところに感じられるカフェだった。それにしてもplantationとは直訳すると、大規模農園…。おじさんにはいつまでもその解が見つからないネーミングだった。 

 「森彦」が4号店を昨年オープンしたとカフェ本に出ていた。3号店の「D × M」もかなり斬新だったが、それを凌ぐほどオリジナルティ溢れた店のようである。
 おじさん二人は野幌森林公園で行われた講座の後、ランチを兼ねて訪れた。

          
          ※ ご覧のように入口は工場か倉庫かと見紛うばかりです。

 外観がまるで倉庫のようである。外から見てカフェとは思えない造りは「D × M」と同じである。中へ入ってさらに驚かされる。なぜか木製の長い椅子が並べられ、その奥にフランス製のシトロエンが鎮座しているといった具合である。そしてその奥に入口があった。

          
          ※ 中にはかなり以前に街中を走っていたシトロエンが…。

 扉を開け店内に入ると、まるで工場に入ったのかと見紛うばかりの大きなコーヒー焙煎機が置いてある。店を出るときにスタッフに伺うと現役の焙煎機で毎日稼働しているという。
 1階部分は森彦の豆を直売するコーナーや厨房だけで、カフェスペースは2階部分にあった。(カフェ本によると一階には立ち飲みスペースのカウンターがあるらしい)

          
          ※ そしてカフェスペースは大きな焙煎機の横の階段を上って…。

 2階に上がると外部からの明かりは閉ざされ、間接照明だけのやや暗い空間が広がっていた。昼時とあって客席は混みあっていたが、私たちは中央の大テーブルの空いた席に腰を下ろした。
 落ち着いた後、周りを見回してみると何やら全てが何か意味のあるようなディスプレイが施されている。しかし、客が多いとあって一つ一つを確かめることは躊躇われた。

          
          ※ カフェスペースは写真のように薄暗い雰囲気で…。

 ランチ時、私は「ランチプレートバスタ」(1,000円)とセットのコーヒー(200円)をオーダーした。
 バスタはトマトベースでやや固茹でなかなか美味しい味だった。イタリアンの専門店と比べても遜色ない。ほど良い大きさのパンもgood。気に入ったのがハムも入った野菜サラダだ。そして添えられていた自家製ピクルスも良かった。

          
          ※ 光が弱いためパスタやサラダの写りが悪いですが、味はお勧めです。

 コーヒーはエスプレッソかアメリカーノということだったが、エスプレッソを薄めたアメリカーノにした。薄めたとはいっても私の舌には十分の苦味だった。しかし、これも少量ずつ味わうとコーヒー独特の美味さがじわっと口の中に広がってきた。

          
          ※ 私たちの前にはこんな生花が飾られていて…。

 ただ店の造りが斬新なだけでなく、提供されるドリンクやフードも確かな味のPlantationは注目の店の一つである。

                
                ※ 2階に届かんばかりの大きな現役の焙煎機です。

 それにしても「plantation」と名付けた意味は何なんでしょうね??

【plantation データー】
札幌市白石区菊水8条2丁目1-32
電  話 011-827-8868
営業時間 11:00 ~ 22:30       
定休日  水曜日
座 席  31席
駐車場  有(15台)
入店日  ‘12/05/15



えべつ自然散歩講座 2

2012-05-17 22:33:34 | 環境 & 自然 & 観察会
 5月15日(火)、前々日の野幌森林公園一周ウォーキングに続き、野幌森林公園をフィールドに開催された「森の樹の花、草の花」をテーマとする「えべつ自然散歩講座」に参加した。たくさんの樹の花、草の花を紹介してもらった。 

 13日の野幌森林公園一周ウォーキングが約15キロをひたすら歩くイベントだったのに対して、今回は歩く距離はわずか3.7キロ。こちらは微に入り細に入り森林公園内の植物について説明を受ける講座だった。なお、「えべつ自然散歩講座」は4月14日の雪上での講座に続き2度目の参加だった。

          
           ※ 熱心に分かりやすく説明していただいた住吉光子さんです。

 講師は江別市在住の自然解説員・住吉光子さんという高齢の婦人の方だった。住吉さんは小学校の教員をされていた方で自然解説員としてのキャリアも相当ある方のようで、森林公園の植物について非常に詳しい方だった。また、その説明も分かり易く私は懸命にメモに励み、一つでも植物名を自分のものにしようと努めた。
 自らの学びを少しでも記憶として定着するために、教えていただいた植物の写真と植物名を羅列することにします。

 私たちは森林公園の北に位置する「大沢口」から「エゾユズリハコース」に入ったのだが、歩き出して間もなく住吉さんが「振り返ってみてください。このあたりが大小の樹が入り混じり最も原生林の面影を残しているところです」と説明があった。

          
          ※ もっとも原生林に近い姿を残している場所として住吉さんが紹介してくれた所です。

 続いて、受講者からも質問のあったニリンソウとトリカブトの見分け方について説明があり、「葉の感じが良く似ているので、花のついている方(ニリンソウ)だけを採取するように」とのことだった。

          ニリンソウ
          
          ※ 葉の切れ目の入り方がやや浅いが、葉の形が良く似ています。

          エゾトリカブト
          
          ※ 過日、ニリンソウと誤って食して中毒となった人が出たエゾトリカブトの葉です。

 森林内はニリンソウとエンレイソウの花が今が盛りと咲き誇っていた。エンレイソウには大きく三種あるとのことで、その三種を写真に収めた。

          オオバナエンレイソウ
          
          ※ 白い花と周りのガクの長さがほぼ同じなのがオオバナエンレイソウです。

          ミヤマエンレイソウ
          
          ※ 花と周りのガクの長さが違うのがミヤマエンレイソウです。

          エンレイソウ
          
          ※ 花の形は同じですが、濃い紫色を呈するのがエンレイソウです。

 住吉さんから「今日はこれから紹介する5種類の植物をぜひ憶えて帰ってください」と言いながら次々と紹介してくれた。

          ナニワズ
          
     
          ハイイヌツゲ
          

          エゾユズリハ
          

          ツルキシミ
          

          フッキソウ
          

 以上の5種は「常緑小低木」の仲間で、野幌森林公園にいつ来ても見ることができる種ということで紹介されたようだ。これからは意識的に見ていきたい。

 その他にもたくさんの植物を紹介してくれたが、ここでは上記に掲載した以外に3種のみ投稿することにします。

          ヒトリシズカ
          
          ※ ニリンソウ、オオバナエンレイソウとともに、今森林公園内のいたるところで見られるヒトリシズカです。

          ツタウルシ
          
          ※ 遊歩道近くにたくさんあったツタウルシです。素手での接触は厳禁です。

          シラネアオイ
           
         ※ シラネアオイは本来野幌森林公園には生育していない種だそうです。 

 いつになく多くの写真を掲載したが、私自身これから野幌森林公園を訪れる時にはこのページを開いて、植物の種を頭に叩き込んでから訪れたいと思う。いつも自分自身のために綴っている拙ブログですが、今日の投稿は特に私自身のための投稿でした。         

野幌森林公園一周ウォーキング

2012-05-16 22:28:47 | 札幌ウォーク & Other Walk

 新緑の萌木色が眩しい野幌森林公園を歩いた。朝から一日中、森の中を歩きフィトンチッドに癒され、心地良い時間を過ごした。

          
          ※ この鮮やかな萌黄色!!あなたのパソコンでもきれいに見えますか? 

 5月13日(日)「野幌森クラブ」が主催する「森一周ウォーキング」に参加した。
 これまで何度か野幌森林公園を訪れていたが、私が体験した遊歩道は北側半分に限られていた。今回はぜひ南側の遊歩道も体験したいと思い参加した。

          
          ※ スタート&ゴール地点に立てられた「野幌森クラブ」の幟です。

 結果として今回も南側を体験するとは叶わなかった。主催者に伺うと、スタート地点の大沢口とは対極にある南側のトド山口にある休憩施設が何者かに焼かれて利用できない状態となったために断念したとのことだった。断念!?
 それでもコースは北側半分の遊歩道の外縁をなぞるように巡り歩いた。

          
          ※ こんな感じで森の中を巡り歩きました。

 歩くペースは約3キロ/hとゆったりしたペースだったが、リーダーを務めた80歳は超えているのではないかと思われる方のペースが速からず遅からず、見事のペース配分で私たちを導いてくれた。

          
          ※ 向こうに見えるのは野幌森林公園の中で最も大きな「瑞穂の池」です。
          
 面白いと思ったのは、この種の催しの場合には歩きながら森林内の動植物ついて説明してくれるのが普通なのだが、今回はそうしたことがほとんどなかった。つまりあくまでウォーキングが主目的のイベントだった。
 それはそれで納得できるのだが、ほとんど説明がないのもまた寂しい思いをしたのも事実だった。(人間は勝ってである)

          
          ※ リーダーの方が唯一教えてれた「ヒトリシズカ」の花です。

          
          ※ こちらは私でも判別できます。「ニリンソウ」です。

          
          ※ こちらも有名な「オオバナエンレイソウ」です。この二つの花は今が盛りで園内のいたるところで見ることができました。

 午前9時にスタートし、午後3時のゴールまで30分の昼食休憩と、3~4か所での10分の小休止を除き歩き通しの6時間、約15Kmのウォーキングだった。

          
          ※ リーダーが発見した「エゾサンシヨウウオ」です。少し弱っていたようです。

 参加者はクラブの引率の方以外は、アトランダムに集まった人たちのためお互い見知らぬ人同士とあってあまり会話も進まず、ひたすら歩き続けるものだった。
 しかし、反対にそれが良かったようにも思う。ひたすら周りを観察し続け、森の音に耳を傾けながらのウォーキングとなったから…。
 コンクリートの上を歩く街中ウォーキングよりは数倍も心地良いものに感じられたのもそうしたせいだと思う。

               
             ※ 銘木(?)「昭和の森のクリ」です。樹齢800年、樹高18mと表示されていました。               

 野幌森林公園内にも生息し始めたというエゾシカを見ることはできないかと目を凝らしながら歩いたが、目にすることはなかった。
エゾシカにとって美味しい新芽がたくさん芽吹く今は森林の奥深くに潜み、十分な栄養を摂っているんだろうと思った。
 近いうちにぜひ南側の遊歩道も体験したいと思う。


固~い、硬~い、お話

2012-05-15 21:42:31 | 講演・講義・フォーラム等
 かた~い、かた~い、鉱物のお話は頭のかた~くなった私には頭が痛くなるようなお話だった。北大博物館土曜セミナーで「私たちの生活を支える金属資源 ~ マグマからの贈り物~」と題する講義を聴いた。しかし・・・。
 

          
          ※ 受講前に映し出された講座名です。

 これまでも多少は単位を取得していたが、それほど意識していなかった道民カレッジの単位を今年は少し意識的に取得したいと思っている。道民カレッジとは、指定された講座などを受講すると受講時間に応じて単位が交付される仕組みである。(1時間につき1単位の割合である)
 今回の土曜セミナーも1回の受講(2時間)に対して2単位が付与される講座である。

 さて講座の方であるが、講師は北海道大学・大学院を卒業し、独立行政法人 産業技術総合研究所で資源環境に関する研究をされている渡辺寧氏であった。
 氏は断言する。すでに閉山してしまったが札幌の豊羽鉱山はレアアースの一つINDIUM(インジウム)を産する優良な鉱山だったと…。インジウムは液晶を作るために欠かせぬ素材である。
 インジウムという貴重な鉱物を産した豊羽鉱山はけっして経営が行き詰まっていたわけではなかったが、将来を見越して黒字経営のうちに2006年山を閉じたという。

          
          ※ 講師の渡辺寧氏の自己紹介の画面です。          

 今、世界ではレアアースとか、レアメタルの争奪戦が新聞紙上を賑わしている。
 私はレアアースとレアメタルの違いもよく分かってはいなかった。賢明なる諸氏はすでにご存じのことと思うが、渡辺氏から教えていただいたことをここに記しておくことにする。

 レアアースとは、希土類元素といい17元素を指す。レアアースは現代機器の製造に欠かすことのできない元素ありながら希少価値が高く、その産地が中国に偏している現状にある。
 一方、レアメタルとは、希少金属という意味だが日本独自の用語のようである。レアアースを含めた49の元素を日本では戦略元素として、先端産業には不可欠な素材としてその確保を戦略的に進めているという。
(この部分は聞きかじりのため正確性に欠けているかもしれない)

          
          ※ 講義をする渡辺氏です。

 う~ん。ここまでの理解が私には精いっぱいだった。
 最後に一つ、とっておき(?)な話を…。
 実は豊羽鉱山のINDIUMの生産量は当時世界一だったとのことである。埋蔵量に限りがあったとはいえ、そこが閉山してしまったのは残念な話である。

 あまり訳わからぬまま固~い、硬~い話を聞いて、道民カレッジの単位を2単位取得したのだった。