田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

コミュニティFMで人権教育?

2018-12-11 16:23:25 | 講演・講義・フォーラム等

 コミュニティFM局としてユニークな活動を続ける留萌市の「FMもえる」が10年間にわたって「人権ひろば」という番組を放送し、そのことが法務大臣表彰に繋がったという。関係者からお話をうかがった。

         

 12月7日(金)午後、道民活動センター(通称:かでる2・7)において法務省の委託事業で道教委が主管する「人権教育指導者研修会」という恐ろしくお堅い名称の研修会にお邪魔した。

 参加対象は地域の人権擁護委員さんや行政担当者であるが、私たち一般市民にも参加が許されていたので、どこへでも臆せず顔を出すのが私の流儀であるから参加を決めたのだが、さすがにちょっと引くところがあったのも実感である。 

 研修会はインタビュー・ダイアローグと参加者同士の意見交流の二つからなっていた。

 インタビュー・ダイアローグは、留萌の「FMもえる」の関係者からお話をうかがうコーナーだった。登壇者は、「FMもえる」の局長である米倉礼子氏、番組「人権ひろば」の出演者である留萌人権擁護委員協議会会長の花房毅氏、同副会長の庄司道子氏の3人だった。

              

             ※ 人権イメージキャラクターの人権まもる君と人権あゆみちゃんです。

 「FMもえる」の「人権ひろば」は、毎月第2・第3火曜日の午後2時~3時までの1時間(第3火曜日は前週の再放送だそうだ)、内容はその時々の人権に関する話題を地域の話題と織り交ぜて放送しているようだ。

 米倉局長は「FMもえる」は「まちづくり会社」の一部局として、留萌のまちづくりを担っていると胸を張って話された。「FMもえる」は「住民感性」を育て、「地域言語」の形成に寄与していると語ったのが印象的だった。

 実は私が「FMもえる」についてのお話を聞くのは今回で3回目である。これまでも社長さんのお話、「FMもえる」友の会の会員の方のお話を伺い、「FMもえる」がいかに地域に根付いているかをうかがっていた。ある意味で地域FMの理想形の一つかもしれない。

 続いて、「人権ひろば」に出演されているお二人のお話である。お二人は番組開始以来、10数年番組に関わっているとのことである。だから肩ひじ張ることもなく、地道に番組を続けてきた成果を語った。“人権”などと聞くと、堅く、難しいイメージを与える問題であるが、地道に息長く地域の人々に訴え続けることの大切さを学んだ思いである。 

 意見交流のワークショップで、私は5人のグループに配された。私以外の方は、二人が地域の人権擁護委員の方、一人は地方教育局(地方教育事務所)の指導職の方、一人は市町村の教育委員会の社会教育主事、そして私の5人だった。私以外はいわば人権教育について日頃から関心をもたれている方たちばかりである。いわば私だけが門外漢と言った感じで、かなり緊張しながら意見交流に臨んだ。

          

        ※ 参加者に配布されたノベルティです。マルチクロスとキャラクター付きのボールペンです。

 専門家の皆さんは、社会で次々に生起する“人権”を侵すような事件に対して、「満たされない心が他の人権を侵しがちだ」とか、「多数派になびき、少数派を迫害する」といったような現状分析をされた。ただ、彼ら専門家からこうした現状に対して有効な手立てを打てることができない虚しさのようなものもお話を聞いていて感じられた。

 私は?といえば、彼らのお話を聞くばかりだったが、私が関心を抱いているアイヌ民族の問題について、理解を深めようとしているがその難しさを話させていただいた。また意見交流の最後の方で私が「“人権”という言葉が人々に堅苦しいイメージを抱かせ、遠ざけているところないだろうか?」とつぶやいたところ、意外にも皆さんの共感を得たことに内心驚いた。“人権”に対して真剣に向き合っている専門の方々もそうしたイメージを抱いているとは…。だとしたら、そのことに対して改善策を講ずることも一つの方策ではないのか、とも思ったのだが…。 

 世の中のさまざまな分野で今、人権を犯すような事例を見聞きすることが多くなった。私たちはこの問題について、もっともっと真剣に向き合わなければならないと感じさせられた研修会だった。


ワンコインランチ紀行 31 和バル HARERUYA 

2018-12-10 19:28:03 | ワンコインランチ紀行 

 さすがに大通公園の直ぐ近くに出店する飲食店である。徹底しておしゃれにこだわったお店だと見た。あっさり系の中華そばも若者向きをねらった戦略だろうか?「和バル」とは、和風でありながら南欧の居酒屋といった路線をねらったものとうかがったが…。

           

           ※ 「和バル HARERUYA」の外観です。

 12月3日(月)、映画を観終わったら14時過ぎだった。時間的には中途半端だったがお腹も空いていたのでシアターキノの近くで「ランチパスポート」に掲載されている「和バル HARERUYA」に入った。

 大通公園が目の先にあるようなロケーションの良さが売りの店なのかもしれない。店内に入ると昼間だというのにライトを点け、他のお店とは一線を画しているように思えた。

 お冷の器、テッシュの入れ物などにもこだわりをみせ、女性が多いスタッフのユニフォームにもおしゃれを感じさせる店だった。

      

※ 着席して出されたお冷ですが、金属製のタンブラーです。 ※ テッシュ入れもご覧のようなセンスの良さです      

 注文は「ランチパスポート」で紹介されている「煮干し中華そば肉し」(通常価格700円)である。

 私は一人だったのでカウンター席に案内されたが、グループで入店してテーブル席に座っているお客さんからは「乾杯!」などという声が流れてきたが、あるいは昼飲みが流行っているのだろうか?

          

          ※ 具だくさんの「煮干し中華そば肉し」です。

 運ばれてきた「煮干し中華そば肉増し」は、なるほどチャーシューが増量されて、さらにはメンマ、長ネギもたっぷりと入ったものだった。スープは薄口の醤油味で、煮干しの利いたさっぱりした味だった。麺は固茹でストーレート麺だったが、これがなかなかマッチしていた。

          

          ※ お決まりの麺を持ったところです。今回の騒動は娘に雅楽てょえ

 

 このメニューの売りの一つであるチャーシューの数は多かったが、チャーシューにそれほどのこだわりのない私としては、味も薄くこれといった感想を持つことはできなかった。

 全体に薄味の中華そば(ラーメンではない!)は、濃い味に飽きたときなどには絶好の麺料理と言えそうである。

           

【和バル HARERUYA  データー】 
札幌市中央区大通西6丁目6-9 クリーンビル1F
電  話  011-252-7733
営業時間  ランチ  11:30~16:00(ランチパスポート可能時間11:30~16:00)
      ディナー 17:30~22:30
定休日   無 
座席数   30席(テーブル席、カウンター席)
駐車場   無

入店日  ‘18/12/03


北大CATS公開講座⑥ 観光学者は旅先のクレーマー?

2018-12-09 17:38:29 | 大学公開講座

 数多くの旅、そして旅行関連の仕事を経て研究者となった講師は旅先でついつい旅人を迎える側の欠点に目が向くという。そこから見えてくるものは?

            

           ※ 写真は一般的な旅行をイメージする写真をウェブ上から拝借したものです。

 実は本講座については毎回レポしていたのだが、前回の第5回目の講座を所用で欠席してしまった。したがって、レポとしては5回目なのだが、第6回講座をレポすることにする。

 ということで、12月6日(木)夜、第6回目の北大CATS公開講座を受講した。6回目は「心のクレーマー:旅先で心から楽しめない私の視点」と題して高等研究センターの石木村宏特任教授が講師を務められた。

  しかし、観光学の研究者というのは実に多彩な体験をされている方が多いのかもしれない。第4回目の講師だった石黒准教授はプロサッカー選手や海外で現地のガイドを体験したりした方だったが、今回の木村特任教授はそれ以上かもしれない。

 まず学生時代からバスツアーの添乗員などのアルバイトを重ねた末に、就職したところは(株)藤田観光というところでリゾート開発、ホテル経営部門などを担当したという。10年勤務し思うところがあり、観光地(長野)のペンションのオーナーに転身したそうだ。そこからさらにグリーツーリズムの推進役、そして温浴施設、道の駅、アートミュージアム、郷土料理店など公共施設の運営、等々まだまだあるが省略して、そうした体験をされた後、北海道大学から声がかかり現在の職(北大観光学高等研究センター特任教授)に就いて3年目ということだ。 

 そうした体験が、仕事がら観光地に赴くことが多い木村氏には「常にホスト側の視点で旅する自分」がいるという。それは木村氏がこれまでずーっと旅する人を迎える側にいたこと、そして研究者として観光地に対するアドバイザー的立場にたったことがそうさせているのだと思われる。 

 木村氏が自らのことをクレーマーと称したが、ここで苦情を申し立てられる側の対応について「グッドマンの法則」を紹介された。

 「グッドマンの法則」とは、顧客満足度(CS)を高めるためには、顧客からの声に向き合うことが求められる。中でも重要なのが、苦情(クレーム)を適切に処理することである、として三つの法則があるそうだ。

 その三つの法則とは?少し長くなるが紹介してみる。 

 第一法則:「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」

 第二法則:「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」

 第三法則:「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」

 下に貼り付けたイラストも参考にされると分かり易いかもしれない。

 つまり木村氏は、クレーマーの声を大事にすることが観光地振興に繋がるのだということを強調したかったのだと受け止めた。 

           

 続いて木村氏は「クレーマーの話だけでは辛いだろうから…」と、現在氏が力を入れている「グリーンツーリズム」あるいは「アグリツーリズム」についてお話された。氏はこれらの旅行形態について端的に「農泊」(農家民泊)いう言葉を使われた。

 つまりこれからの人たちが「旅」に求めるものは“癒し”ではないか、という。人々これまでのマスツーリズムによる物見遊型の旅から、その土地の自然と文化、人々との交流をありのままに楽しむような旅が主流になってくると話された。

            

             ※ グリーンツーリズムをイメージするイラストです。

  お話をうかがっていて納得するところが多々あったし、これまでの他の先生たちからのお話でも、人々が旅に求めるものが変わってきていることは私自身実感するところである。

 ただ、私には次のような体験があった。一昨年に「0 to  Summit」と称して太平洋岸から富士山まで登った経験があるのだが、その際途中の宿泊施設がなく、ようやく見つけたのが富士山山ろくの「農家民宿」だった。本来は農業体験をする方たちが宿泊する施設なのだが、無理を言って泊まらせてもらった。その際、主人が言うには「行政から依頼されて始めた」ということだったが、実情は期待したほど宿泊客はいないようだった。 

 このエピソードは何かを示唆してはいないだろうか、と私は思うのだ。それは“適時性”とでも称するだろうか?つまり、研究者や旅にこれまでとは違うものを求める人たちは “旅”の形態が変わってくることを敏感に感じ取っているだろうけど、一般大衆はどうだろうか?

 私が言いたいのは、農家の方々が「これからの時代は農家民泊だ!」と設備投資をしたり、業態を変えたりして失敗しないでほしい、ということなのだ。一般大衆が「いつその良さに気づくか?」その潮目を見極めることが大切のように思えるのだが…。

 なんだかおかしな方に私の思考は進んでしまったが、木村特任教授の講義は私にとって心楽しい講義だった。


映画 224 華氏119

2018-12-08 17:24:20 | 映画観賞・感想

 ドキュメンタリー映画界において問題作を次々と発表し、話題に事欠かないマイケル・ムーア監督の最新作である。題名の「華氏119」とは、現米大統領トランプ氏が2016年11月9日に大統領選の勝利を宣言した日にちなんで名付けられたそうだ。

               

 ドキュメンタリー好きの私としては以前から観たいと思っていた映画の一本だったが、12月3日(月)シアターキノにおいてようやくその目的を達成することができた。

 しかし、アメリカの事情を必ずしも詳細に把握していない私にとっては、なかなか全体像を把握するのが難しかったというのが正直な感想である。

 というのも、トランプ大統領というこれまでとは異質な大統領の誕生によって、今アメリカで起こっているさまざまな異常な現象と結び付けようとしているように見えたのだが、話題があちこちに飛び、それを追いかけるだけで私には大変な作業だった。

 そこでここでは、私からみて印象的だったシーンをレポしながら、その感想を述べてみたいと思う。

           

 一つはミシガン州フリントで起こっている住民が鉛公害に被害に遭っているというシーンである。財政がひっ迫した州が倹約のために水道事業を民間に委託したことにより、古い水道管を使い続けたためにそこから鉛が溶け出し、住民(貧困層)から鉛中毒が続出しているという事例である。それに対して州知事はフリントにあるGMの工場にだけは新しい水道管による水を提供し、あとは知らんふりをしているという。

 ミシガン州知事はトランプ並みの富豪ビジネスマン出身で州では彼の独裁政治がまかり通っているということだ。

 このシーンは直接トランプ大統領を描いたものではないが、トランプの政治手法とまさに鏡合わせのような政治を繰り広げている州知事のもとでは住民が大変な被害を被るという警告をムーアは発したのだと受け止めた。 

 水道の運営に関しては、日本においても民間移管が取りざたされている自治体が出始めているという。(今国会でも議題の一つとなっていた)自治体内において老朽化した水道管を取り換えるには百年単位の時間を要するとも聞いている。民間移管が果たして正解なのか否か、慎重にコトを運ぶことが大切なのではと改めて教えられた思いである。 

 映画の後半、ムーア監督はトランプとヒトラーを並びたてて、その相似性に警告を発した。ヒトラーは民心を巧みに掴み、はてはドイツ人の優位性を説きユダヤ人排斥という暴挙に走った。トランプも巧みな選挙戦術で大統領の座を掴み、今白人優位主義を唱えてヒスパニックやアフリカ、アジア系の人たちを排斥するかのごとく言説を振りまいている。

           

 世界は過ちを繰り返さないと信じたいが、人間は愚かである。歴史が繰り返されてきたように、いつの間にか過去の過ちを繰り返していることも多々ある。

 ムーアの危機感が杞憂に終わってくれれば良いのだが…。それではあまりにも楽観主義だと鋭く指摘されそうなのだが…。


再び拓郎節に酔う 拓郎倶楽部コンサート

2018-12-07 16:32:49 | ステージ & エンターテイメント

 吉田拓郎のコピーさんがまた中央区民センターにやってきた。その声質が似ているのはもちろんのこと、その雰囲気すら拓郎の雰囲気を纏った拓郎倶楽部(それが芸名?)は、またまたたっぷりと拓郎節を聴かせてくれた!

           

          ※ 中央区民センターのロビーに造られた簡易なステージです。

 12月5日(月)昼、中央区の区民センターでロビーコンサートが開催された。その主役が「拓郎倶楽部」だった。

 実は拓郎倶楽部は、記録を見ると2016年10月15日(土)に中央区民センターの2階ホールに仲間と共に(リードギター、ベースギター、カホン)にステージに登場し、たっぷりと拓郎節を聴かせてくれたのだ。

 この拓郎倶楽部という名がどうもよく分からない。前回は仲間と共に登場したので、倶楽部と呼んでも納得するのだが、今回は一人で登場したにもかかわらず、やはり拓郎倶楽部なのだ。う~ん、どうもよく分からない。

           

          ※ 最前列に陣取って写したのですが、マイクや譜面台に邪魔されてよく顔が見えません。

 そんなことはおいといて、拓郎倶楽部は登場するといきなり歌い出した。あの独特の拓郎節を冴えわたる。

  1.大いなる人

  2.メドレー ・春だったね

         ・たどり着いたらいつも雨降り

         ・もうすぐ帰るよ

         ・ペニーレインでバーボンを   

         ・春だったね

を一気に歌って聴かせた。そして合間のMCもあっさりと、

  3.旅の宿

  4.落陽

  5.中の上

  6.イメージの歌

と、5.の「中の上」以外は、客層を意識して拓郎のヒット曲を並べてくれた。

 ホールコンサートとは違い、ロビーコンサートは30分間である。あっという間に時間が過ぎた。

 アンコール曲は、拓郎のデビュー曲で知られた「今日までそして明日から」を思い入れたっぷりに歌ってくれた。

           

          ※ そこで一昨年のステージの際の演奏風景の写真を貼りました。

 アッという間の30分間だったが、拓郎節に酔いしれたひと時だった。


気候変動にどう適応するか?

2018-12-06 14:00:25 | 講演・講義・フォーラム等

 メディアでは観測史上もっとも温かい12月などと、気候の不順を伝えている。今や地球温暖化は既定の事実の様相さえ呈している。そんな中、北海道内関係者が集いさまざまな角度から地球温暖化への適応策を探るセミナーに参加した。 

 11月30日(金)午後、札幌アスティ45の16階大研修室において、環境省北海道事務所が主催する「気候変動の影響への適応に関するセミナー ~変化する気候と北海道のこれから~」と題するセミナーに参加した。受講対象は研究者や関係する企業の方々で、私のような一般参加者は少数のようであった。

  セミナーのラインナップは次のとおりだった。

 ◇講演 Ⅰ「氷河減少を追うドキュメンタリー制作の現場から」

            (株)北海道テレビ放送 報道部プロデューサー 濱中貴満 氏

 ◇講演 Ⅱ「気候変動下における季節ごとの適応策~地理空間情報等の利用~」

              横浜市立大学 データサイエンス学部 教授 大西暁生 氏

 ◇講演 Ⅲ「気候変動の日本酒製造への影響」

               (株)高砂酒造 執行役員・企画部部長 廣野 徹 氏

 ◇講演 Ⅳ「味の素グループの気候変動への取り組み・緩和策と適応策」

              (株)味の素 広報部シニアマネージャー 太田史生 氏

その他に短い2本の報告があった。

             

 講演Ⅰは、主として映像を用いてのお話だったが、スイス、アイスランド、パタゴニアにおける氷河が激しく溶解する様子を写し出すものだったが、私はその映像を既視感を抱きながら見つめた。既視感とは…、映画「不都合な真実 2」「地球が壊れる前に」で映し出された映像と何ら変わるところがなかったからである。

 こうした映像を何度も見せられても経済至上主義の人たちはまだフェイクニュースだと言い張るのだろうか?

             

 講演Ⅱは、気候変動は単に地球温暖化にとどまらず、都市温暖化をもたらしていると講師は説いた。このメカニズムについても多くの人の知るところである。地球温暖化によって気温が上昇すると、ビルが林立する都市においては熱の逃げ場がなく、ヒートアイランド現象を引き起こし、加速度的な気温上昇を招いているとした。

 そして大西氏は対応策として、夏季のおける植物の機能に注目すべきとした。(グリーンインフラストラクチャー)行政・学術・民間がタッグを組んで、都市の緑地を増やすことにより、気候変動からの影響を少しでも和らげることができるとしたが、聞いていた私は「どれだけ有効なの?」とも思ったのだが、確かに鹿児島市なとは電車軌道内を芝生化している例も聴いているが…。

 氏が最後に言った「気候変動(環境変化)による影響を事前に把握し、対応することで影響を和らげることができる」ということには大いに納得できた。

             

 講演Ⅲの高砂酒造は、「雪中貯蔵」とか、「氷雪囲い熟成」など雪氷を活用した酒造りで有名な酒蔵である。しかし、近年の温暖化によってそうした手法による酒造りが困難になったと報告された。

 そこで現在は、比較的温暖化の影響を受けにくい鍾乳洞の中で貯蔵する試みに挑んでいるそうだ。名付けて「当麻鍾乳洞貯蔵」と称して「龍乃泉」という商品名で販売を開始したという。また、自然ではなく氷温庫を使用して「氷温貯蔵」にも取り組み始めてそうだ。

 これらは適応策というよりは回避策のように聞こえてしまったが、温暖化を前にしたとき企業としては仕方のない選択ということだろう。

             

 講演Ⅳの味の素は、食品製造企業として誰もが知る世界的企業である。業態が食品とあって、地球温暖化という問題にはセンシティブな対応が求められるであろう。講演を伺うと同社では多彩に温暖化に対応しているようである。

 聞いていただけではその詳細の全てを把握できなかったが紹介された同社のサイトを伺うと、◇持続可能な原料調達◇フードロスの半減◇カーボンニュートラル◇持続可能な水利用、◇資源化と3R、等々に取り組んでいるということだ。

  さて、本セミナーの大命題でもある~変化する気候と北海道のこれから~」についてであるが、現実として気温が徐々に上昇傾向にあることはいまや疑うべくもない現実である。このことに対して企業も、地方公共団体も、そして個人としても、その元凶とされているCO2の削減に努力することが求められていると思う。

 と同時に、横浜市立大の大西氏が説いた気候変動による影響を事前に把握し、それに対応する施策を講ずる」ことが現時点で考えられるベストの選択では、と考えた今回のセミナーだった。

 


かでるクリスマスコンサート2018

2018-12-05 16:59:34 | ステージ & エンターテイメント

 軽快な吹奏楽の調べが「かでるホール」に響き渡った。“道民と警察を結ぶ音の架け橋”を合言葉とする北海道警察音楽隊によるクリスマスコンサートを楽しんだ。

           

        ※ 写真撮影はNGだったが、開演前に一枚だけ撮らせてもらった。いかにもクリスマスの雰囲気が…。

 11月30日(金)夜、道民活動振興センター(通称:かでる2・7)が主催する「かでるクリスマスコンサート2018「かでるホール」を会場に開催され、友人たちと一緒にしばし吹奏楽の音を楽しんだ。

 私は時おり北海道警察音楽隊のコンサートを聴いていたので、クリスマスコンサートも聴いたことがあると思っていたが、調べてみると初めての体験だった。(これまでは定期演奏会やFoster Concertだったようだ)

                 

            ※ 以下、2枚の写真はHPから拝借したが、かなり不鮮明である。

 コンサートはクリスマスコンサートらしく隊員選抜のハンドベル演奏から始まった。

 曲名は不明だが、プログラムには「アメリカン・クリスマス」と表示され、2曲演奏された。

 続いては、音楽隊約30名ほど(正確な隊員数は不明)による吹奏楽が披露された。曲名を表記すると…。

 ◇ドラえもん

 ◇ホール・ニュー・ワールド

 ◇サンドペーパー・バレエ

 ◇雪國

 ◇クリスマスソング・メドレーVol.2

と軽快なメロデーが次々と演奏された。

 休憩を挟んで、第2部は「ミュージック・パトロール2018と題して、カラーガード隊によるダンスやフラッグ演技、あるいは隊員の寸劇を交えたパフォーマンスが音楽と共に披露され、目も耳も楽しませてくれた。

                 

               ※ カラーガード隊のフラッグ演技を加えた様子です。

 北海道警察音楽隊は、先述したように「道民と警察を結ぶ音の架け橋」ということを音楽隊の最大の使命としているという。そのためだろうか、聴く者を楽しませるためことにずいぶん意を割いているように思えた。

 音楽性の追求という面では隊員の中にもいろいろと葛藤もあるのでは、思いながらコンサートを聴かせていただいた。

 


ワンコインランチ紀行 30 らーめん青竜

2018-12-04 16:50:08 | ワンコインランチ紀行 

 スープも、麺も、全てが私好みの味噌ラーメンだった。正統派の“さっぽろラーメン”を謳うだけあると思った。札幌の表玄関、札幌駅直結のアピアにおいて道外客にも、海外客にも「これぞ札幌ラーメン!」と胸張って言える味ではないだろうかと思えた。

           

          ※ JR札幌駅直結のアピアの食堂街にある「らーめん 青竜」のエントランスです。

 11月30日(金)午後から札幌駅近くのビルであるセミナーがあり参加したのだが、夜もまた近くのビルで行われるコンサートを聴く予定になっていた。そこで家には帰らずに小腹を満たそうと考えた。その時思い出したのが「ランチパスポート」の利用である。

 しかし、「ランチパスポート」は基本的に昼食が主である。ところが参加店を詳細に見ていったところ、ラーメンではあるが21時30分まで可能という店を見つけた。それがこの日訪れた「らーめん 青竜」である。 

 「らーめん 青竜」はアピアの中でも飲食店が連なるアピア・ウエストの南側に小さな店を構えていた。店内は二つのテーブル席の他はカウンター席が厨房を囲むように並んでいた。私が入店したのは16時過ぎだったが、カウンター席は混んでいたためテーブル席に案内された。

          

          ※ 店内は手前にテーブル席があり、残りは写真のようなカウンター席です。

 ワンコインで食せるのはレギュラーラーメン三種(味噌・塩・醤油)である。私は「味噌ラーメン」(通常価格720円)を注文した。

 ガイドブックには「アルカリイオン水を浸かった正統派の“さっぽろラーメン”」と記されていた。

          

          ※ 最近のラーメン屋さんはほんとうにメニューが多彩ですねぇ。

        

 運ばれてきた味噌ラーメンは、チャーシュー、メンマ、モヤシ、ネギ、そして海苔がのっかったどこにでもあるような味噌ラーメンである。まずはいつものようにスープを一口。「うーむ、それほどくどくなく味噌の味が良く出ているぞ!」と思った。続いて麺を頬張ると、これがまた私好みの中太縮れ麺である。(西山製麺製かな?)

          

          ※ 私が食したレギュラーの味噌ラーメンです。

 チャーシューも、メンマも、全てが私好みである。最近の札幌味噌ラーメンといえば、最後にはくどすぎる感じが残るのだが、この店のラーメンは最後まで私を満足させてくれた。

           

          ※ 西山製麺(?)の中太縮れ麺は私の好みです。

 札幌で一番とはけっして言わないが、平均点を大きく上回る味噌ラーメンだった、ということは言えそうである。また行ってみたい店である。 

【らーめん 青竜 データー】 
札幌市中央区北5条西4丁目 アピア・ウエストB1
電  話   011-209-3483
営業時間   10:30~22:00(ランチパスポート可能時間10:30~21:30)
定休日    アピアに準ずる
座席数    18席(テーブル席、カウンター席)
駐車場    有(施設P 2,000円以上で2時間無料)

入店日   ‘18/11/30


映画 223 手紙

2018-12-03 16:17:16 | 映画観賞・感想

 映画を観終えたとき、良い映画を観たと思った。原作は今をときめくミステリー作家の東野圭吾である。しかし、この「手紙」はミステリーではなく、ヒューマンドラマと言っていいだろう。兄弟であるがゆえの愛と哀しみ、弟を襲った過酷な運命とは…。

 

                

 

 11月28日(水)午前、札幌生涯学習センター(通称:ちえりあ)のちえりあホールにて「ちえりあ映画会」が開催された。そこで今回取り上げられたフィルムが「手紙」(2006年制作)である。

 

 リード文でも触れたように、この映画「手紙」の原作は東野圭吾である。東野はこれまでのミステリーとは一味も二味も違った発想と構成力で多くのミステリーファンを惹きつけている作家である。私も彼の作品にはまって一時期むさぼるように彼の作品を読み漁ったものである。その中の一冊に「手紙」もあった。

 

        

 

 映画は両親を失った兄の剛志(玉山鉄二)と弟の直樹(山田孝之)の物語である。

 

 剛志は直樹の進学のために懸命に働いていたが、腰痛などの事情もあり思うように働くことが出来ない中、強盗に入ってしまうが、そこで誤って殺人を犯してしまう。

 

 服役した剛志は弟のことが気がかりで絶えず手紙を送り続ける。弟も兄を励まそうと返事を書いて刑務所の兄に送り続けた。

 

 しかし直樹は強盗殺人の弟ということで、進学、就職、結婚等人生のイベントの度に不当な差別を受けてしまうことになる。

 

 職場を転々とする中、直樹は家電量販店の倉庫番として働いていた時に、量販店の社長(杉浦直樹)から励ましを受ける。「差別のない場所を探すんじゃない。君はここで生きていくんだ。こつこつと少しづつ君と社会のつながりを増やしていくんだ」と…。社長の言葉は直樹の胸に深く刻まれる。

 

  映画の中で最も感動的だったのはラストシーンである。直樹はかつてお笑いコンビを組んで活躍していたが、それも兄のために夢を捨ててしまっていた。そんな彼が以前の相方と、兄が服役する刑務所に慰問に行って漫才をするシーンが涙を誘う。「金曜日になると兄貴のことを思い出すんですよ。粗大ゴミ出す日だからしようがないんですよ。兄貴とは血が繋がっていますから、アスベストみたいなもんだから勝手に捨てることができないし、もうしょうがないから、ずっと兄貴ですから…」

 

  兄を拒否しようとしながら、唯一無二の肉親である兄を拒否できない弟。直接伝えられない自分の思いを漫才のネタに変えて、兄への思いを舞台から届けた直樹だった…。

 

 原作ではミュージシャン志望の弟という設定だったが、夢破れたお笑い芸人の弟と変えたところに脚本の巧さが光った。

 

             

 

 映画はとても重いテーマを私たちに突きつけたようにも思われた。私が直樹の立場に立たされたら…。とても簡単に答えが見出せそうにないテーマの映画だった…。

 

 

 

                

 

       

 

              

 


“絶対”はありえない

2018-12-02 19:38:37 | 大学公開講座

 今秋、本道を襲った台風、それに続く胆振東部地震は道民(札幌市民)の潜在意識の中にあった安全神話を根底から覆すものとなった。そのことに対して改めて警鐘を鳴らす講座だった。 

 11月28日(水)夜、札幌市時計台において札幌大学時計台フォーラムが開催された。この日は「私たちの危機管理 ~“絶対”はありえません~」と題して同大学の浅野一弘教授が講師を務められた。

               

             ※ 浅野教授の写真はウェブ上に公開されているものを拝借した。

 「札幌は、台風もこないし、地震もない」ということが流布されていたという。私も札幌は自然災害の少ない地域だという思いがあった。

 事実、札幌市の企業誘致用のHPにはそうした類の文言が謳われていたという。(現在は削除されているということだ)

 ところが今秋に連続して本道を襲った台風、そして胆振東部地震は、そうした思いを根底から覆すものだった。 

 浅野教授は、ご自身が阪神淡路大震災を体験されたことから、根拠のない思い込みはすべきではなく、「うちではおこらない」から「うちでもおこる」への意識変革が必要だと説いた。講座では、このことについてさまざまな角度から私たち受講者に対して喚起を促す内容だった。そのため講座において何か新しいことを獲得したということではなかったが、講義の中でいくつかの新しい言葉(私にとって)を知ることができたので、そのことを記して本講座のレポとしたい。 

 一つは、危機管理に対してのシミュレーションや訓練に関する言葉である。

 「シェイクアウト」~2008年に米国においてスタートした訓練方法で、訓練の参加者は訓練会場において一堂には会さず、おのおのの場所で安全確保を図る訓練をすることだそうだ。

 「ブラインド型」~事前に訓練のシナリオを知らせずに、実際の危機と同じ状況をつくり、その場その場で情報を付与していくという訓練だという。

 この二つから見えてくるのは、米国においてはより実際的な訓練が主流となっているということだろうか?

           

        ※ 会場の2階ホールには、昨年10月に設置されたクラーク博士の座像が設置されていました。

 浅野氏は政治学者らしく、本道には自然災害の危機だけではなく、人口減少、道立高校の廃校、公立病院の赤字、基礎自治体の財政悪化、JRの路線存続問題など多岐の危機が忍び寄っている、と説いた。

 そうした危機に対して、危機管理の重要性を指摘した。そして危機管理には4つの局面があるとした。その4つの局面とは、①予防、②事前準備、③応急、④復旧、の4局面であるという。浅野氏はその中で、日本においては③の応急の側面が若干軽視されてきたのではないかと指摘した。“応急”を迅速に行うことによって減災に繋がる重要性を指摘した。

 最後に危機管理を行っていくうえで大切なキーワードを紹介された。それは“TAPE”だという、TAPEとは「Transparency(透明性)」、「Accountability(説明責任)」、「Participation(住民参加)」、「Equity(公平〔正〕性)」の頭文字を取ったものである。

 そして「明日の天気は変えられないが、明日の危機は下げられる!」という言葉を紹介していただき講義を終えた。

 考えてみると、“絶対”はありえない」という言葉は、何も自然災害や人災ばかりでなく、私たちの生活すべてに当てはまる言葉だと自戒する必要があると教えられた今回の講座だった。