「吹いて奏でて楽しむ演奏会」というなんだかよく分からない演奏会だったが、スケジュールが空いていたことと、無料だということで覗いてみた。すると、名称どおりステージに登場した演奏者がいかにも楽しく演奏している姿がとても印象的だった。
12月16日(日)午後、かでるホールにて「Huite Kanadete Tanoshimu CONCERT」というコンサートがあり、覗いてみることにした。「よく分からない」と書いたが、入場の時渡されたプログラム、あるいはコンサートの司会を担当した方の説明によると、「吹いて奏でて楽しむ演奏会」の代表者で指揮者の奈良真之介という方が、既存の吹奏楽団などに所属していない吹奏楽愛好者に声をかけて結成されたグループのようである。用意されたプログラムにはメンバーの所属が書かれていたが、高校生から大学生、そして社会人まで、それも札幌在住者ばかりでなく道内各地にも広がっていて、総勢55名というグループである。
※ 第一部は正装で彼らの本気をみせてくれた演奏でした。
そうした寄り集まりのグループだと多くを期待するのは無理だろうと思われた。ところが演奏を始めてみると、かなりの迫力で音が私の方へ押し寄せてきた。確かに細かなところではところどころでわずかな綻びも覗かせたが大きな問題は感じずに大いに楽しませてくれた。例によって演奏された曲目を紹介すると…、
◇ J.ヴァンデルロースト/アルセナール
◇ J.オリヴァドーティ/序曲「バラの謝肉祭」
〈休 憩〉
◇ 吹いてBest Entertainment Parade!
◇ 真島俊夫編曲/宝島
◇ 筒井雅子/あなたへ~旅立ちに寄せるメッセージ
◇ 東海林修/ディスコ・キッド
第2部(後半)は特にこのグループの特徴(?)である楽しさを前面に出したステージとなった。仮装をしたり、ダンスを交えたりと、会場も巻き込んで、何より彼ら自身が楽しんでいるように見えた。会場には楽器を持参していて、そうした人たちがステージに上がって一緒に合奏する場面もあった。
※ 第二部はカジュアルにTシャツで、写真は会場の方も飛び入りで演奏に加わった場面です。
印象的だったのは、最後から二番目の「あなたへ」はそれぞれが楽器をおいての合唱だった。これはグループの特徴なのだと思われるが、それぞれの事情によって離合集散が多いという。今回の演奏会を最後にグループを離れる友のために歌った歌だったが、聴いていた私もウルッとくる瞬間だった。
※ 吹奏楽の演奏の中に挟まれた合唱を聴かされてウルッときた田舎オヤジでした。
学生時代に熱中した吹奏楽を何らかの形で継続したいと思う気持ちは多くの人がもつ心情だろう。社会人の吹奏楽団に加入する者、仲間とグループ活動をする者、個人で活動する者、それぞれだと思うが、そうした思いを一つの形にしたのがこの「吹いて奏でて楽しむコンサート」の集いだと思われる。長く継続してほしいものである。