『須賀敦子全集〈第7巻〉どんぐりのたわごと・日記 (河出文庫)』

須賀敦子、2007、『須賀敦子全集〈第7巻〉どんぐりのたわごと・日記 (河出文庫)』、河出書房
詳しくは、本書の解説に詳しいが、本書は著者が日本の知人たちに送ったニュースレター「どんぐりのたわごと」とイタリアからの直前の日記からなる。日記は、おそらくは、著者が意図的に残した作品とでも言えよう。
イタリアは、日本の明治維新の頃に統一王国を形成し、同じように全体主義的な国家形成と敗戦という共同経験とでも言うべき歴史体験を持っている。しかし、その歴史に関わった個々の人々の体験としては、異なっている。イタリアでは、パルチザンとして全体主義的な国家に抵抗した人々がいたのに対して、日本では存在しなかった。また、戦前にうまれ、終戦を15−6歳で迎え、戦後フランスとイタリアに留学した著者は、本人のキリスト教者としての体験が重要な意味を持つ。パルチザンを戦った人々は、カトリック教徒であり、戦後、カトリック教会は解放の神学との協調を経験することによって、パルチザンとも寄り添うことになったこと、こうした歴史経験が著者の、「どんぐりのたわごと」や日記に色濃く記録されることになる。
詳しくは、本書の解説に詳しいが、本書は著者が日本の知人たちに送ったニュースレター「どんぐりのたわごと」とイタリアからの直前の日記からなる。日記は、おそらくは、著者が意図的に残した作品とでも言えよう。
イタリアは、日本の明治維新の頃に統一王国を形成し、同じように全体主義的な国家形成と敗戦という共同経験とでも言うべき歴史体験を持っている。しかし、その歴史に関わった個々の人々の体験としては、異なっている。イタリアでは、パルチザンとして全体主義的な国家に抵抗した人々がいたのに対して、日本では存在しなかった。また、戦前にうまれ、終戦を15−6歳で迎え、戦後フランスとイタリアに留学した著者は、本人のキリスト教者としての体験が重要な意味を持つ。パルチザンを戦った人々は、カトリック教徒であり、戦後、カトリック教会は解放の神学との協調を経験することによって、パルチザンとも寄り添うことになったこと、こうした歴史経験が著者の、「どんぐりのたわごと」や日記に色濃く記録されることになる。
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