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若者ことばの大胆さは「パ」じゃない

2007年07月08日 | 読書
 『みんなで国語辞典!これも日本語』(大修館書店)。

 いい企画だなあと感心する。新語を集め、定義と用法を募集し集約する。間違いなく今の日本の言葉の一断面である。

 編者の北原氏の言葉に同感した。
 
 困ったものだと否定するのは容易だ。しかし中には、なるほどと感心したり、共感できたりするものもある。

 第一章は「若者ことば」。

 よく聞くありえないという言葉もきちんと説明されている。
三つの意味が書いてあるが、端的に言うと「認められない」「驚き」「誇張」ということだ。
「ありえない」と口にする三つの場合のニュアンスがよくわかる。

 イタい、印象的な言葉だ。
 昨年、同僚から聞いた話がある。
 ある学校の保護者面談に来た若い母親がこう言ったという。

「先生、うちの子、ぶっちゃけイタくないすっか」

 この辞典に書かれている意味は「他人から見た場合の度が過ぎた哀れさ、痛ましいさま」。
 自分の年代から見れば、明らかにこの若い母親の方がイタい。いや痛々しく見える。

 とはいえ、こういう言葉を生み出した若者の感性を否定はできない。
 これらの言葉が作り出される?パターンはいくつかに分類できる。
 省略、合体、変形またそれらの組み合わせ。さらには活用の発展という場合もある。
 ある意味で言葉を操っていることには違いないのだから。(弄ぶというべきか)
とにかく多いのは省略と合体だが、なかでも驚くべき省略を使えるその大胆さこそ持ち味というべきかもしれない。

 省略の極致ともいうべき、という言葉には恐れ入った。

 用例は、「おまえパじゃん」 。
 これを普通にわかったら若者と言えるのだろう。