すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

叱られた気分で

2009年04月28日 | 読書
 『やさしい文章教室』(大村はま著 共文社)を読んでいる。

 子ども向け(中学生)に書かれた文章読本という形であるので、もちろん簡明で読みやすく、それでいてはっとされられるようなポイントが見つけられる。
 多くの本を読んでいるわけではないが、大村はまの徹底している一つが「言葉へのこだわり」であることは間違いない。全篇を通してそれが感じられるわけだが、典型的なのはこうした言い回しだ。

 「なんともいえない」「ことばでは表しにくい」といったことばをつかってはいけない

 ある時、そうした制限を出して生徒に作文を書かせる大村。どうしてそうなのかを様々な例をもとに言い含めていく文章を、まるで生徒になったような気分で読んでいる自分に気がついた。

 4月、他の月に増して多くの仕事上の「作文」を書く必要のある時期である。ワープロ、パソコンの進化は、作業を楽にはさせてくれたが、同時に自分の文へのこだわり、言葉の吟味を弱くする危険性を持っている。
 「なんともいえない」といった言葉で済ませてはいないか、言葉の上っ面の意味でつなげていないか。
 忙しさから逃げるために、言葉からも逃げようとしてはどうしようもない。中学生にもどって叱られなければならない。

 奥付を見たら、昭和43年の第1刷発刊とある。
 ちょうどこの年に私は中学へ入りました。