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素直に聴き入れる

2009年04月20日 | 読書
 「聴解力」という言葉は著者の造語かなと思っていたのだが、認識不足だった。英語教育の場ではよく使われるのだという。そうすれば小学校でも一般的になっていくのだろうか…それより日本語だろう、と改めて思わされた。

 以前から気になっていた本だったが、なんとなく読みそびれ昨日ようやく手にとった。
 実にわかりやすくすっきりできる本であった。

 『「聴解力」を鍛える三段階指導』(山中伸之著 明治図書)

 野口芳宏先生監修の「鍛える国語教室」のシリーズ中の一巻であるが、№16にして単著としては野口先生以外の著者が全篇を著している(あとがきに監修者の野口先生の言葉があるが)。それだけの価値がある本とも言える。

 読解力との対比で聴解力を考えていくことは実に有効に思えた。音声言語指導についてのいくらかの知識は持ち合わせていたつもりではあるが、いわゆる「聞くこと」に関する全体的な指導がこれほどすっきりまとめられている本は初めてだった。
 書名にも「三段階指導」とあるし、主要なポイントを三つに絞り込んで進めていることが、自分の感覚とも非常に近いと思えた。特に「筆メモ」「指メモ」「脳メモ」の三種類や予見聴力の三本柱がわかりやすく、具体的な指導例や語りが入っていて参考になる。

 子どもたちだけでなく、私たちの聴く力が弱まっている傾向を確かに感じている。そういう点にもっと敏感になるべきだし、聴く習慣という一生の財産を作ってやる時期だという認識をもっと強くしなければならない。
 著者が項目だてた比喩が、なかなかいい。

 素直に聴き入れる器を作る