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問うを問うて問われたこと

2010年02月03日 | 雑記帳
 知り合いの書いた文書のある箇所をみてちょっと変じゃないかと言ったら、学習指導要領の総則の中からの引用だという。取り出してみたら、確かに1ページに、そのもとになった文章があった。

 思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題、知識・技能を活用する問題に課題

 引用された前段の部分(赤字の部分)を見て、まず「問う」に違和感をもった。

 思考力・判断力・表現力等を問う

 日本語として間違いではないだろうが、「○○力を問う」は一般的な使われ方としては「質問する」という意味より「問題にする」という印象が強い。指導力を問う、統率力が問われる…といったような。ひょっとして文科省は問題視しているのか、いやこれは単純に、力があるかないか量るために問うという使い方に過ぎないな…では、どこがおかしいと感ずるのだ。

 思考力・判断力・表現力等を問う読解力
 
 この「力等」と「力」の重なりは少し変だろう。そのあとにある「問題」があれば許せるか。

 思考力・判断力・表現力等を問う△△問題
 
 これならわかる。しかしあてはめてみると

 思考力・判断力・表現力等を問う読解力問題
 
 これはあるのかな。「読解問題」ならわかるが、ここも少し変だろう。
 一つあとを利用して

 思考力・判断力・表現力等を問う記述式問題
 
 これなら、ばっちりとわかる。
 しかし「や」でつないでいるなら、「読解力問題」「記述式問題」と並列になるはずだ。

 いや待て、もしかしたら、文末の「課題」に対応させているのか。

 読解力に課題 記述式問題に課題 活用する問題に課題 

 「力」と「問題」を同列にするわけがないだろうし、やはりここは「読解力」と「記述式」が並ばなければならないだろう。
 記述式とは問題形式であるので、選択式、短答式などが出てくるはずである。
 読解力はずいぶんと幅広い解釈なので、それと並べる用語は難しいなあ、と考えていたら、そもそもこれは「PISA調査」がもとになっていることに、改めて気づく。

 そうすれば、やはり少しわかりにくいが

 読解力に課題、記述式問題に課題、活用する問題に課題
 
 やはり、こういうふうに読み取るべきなのだろう。

 つまり、読解力に対応するのは、数学的リテラシーや科学といった領域。
 記述式問題は選択式問題と、活用する問題は知識を問う問題という関係になっているはずだ。
 ならぱカッコで括ってもらえるとわかりやすいのだが、ぶつぶつ。

 結局、PISA調査の内容がわかってなければ文章解釈ができない、細かい所だけ見てはいけないという教訓になりました。
 木を見て森を見ずという典型か、それほど大げさじゃなく、読解力不足ということですか。