すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

脱ぎ着できない生き方

2011年01月10日 | 雑記帳
 話題の映画『最後の忠臣蔵』を観た。
 http://wwws.warnerbros.co.jp/chushingura/main.html

 役所広司、佐藤浩市という配役もさることながら、杉田成道監督が興味を抱かせる。

 美しい画面だった。
 風景に重なって人の心の美しさを映し出されていた、などという陳腐な表現が思い浮かぶ。
 曽根崎心中の浄瑠璃が挿入されていく流れだが、自分に素養があればもっと深い感じ方ができるかもしれないと、微妙にひっかかりがあったことも確かだった。

 いずれにしても、この映画はかつての日本人にとって「死」とは何か、生きるとはどういうことか、を考えさせてくれる。

 例えば、悪いことをしたら死ななければならない。
 例えば、主君に仕えることは身を捧げるということである。
 いったん約束したことは守らなければならない。それが自分の心に背くことであっても、自らの肉体を葬ることになっても。

 公式ホームページのコメント一覧に、脚本家君塚良一がシャレた言葉を残している。

 人はその生き方をコートのように着たり脱いだりしてはいけない

 その在り様はもはや希少となっているが、これ以上遠ざけてはいけないようにも思う。


 さて、なぜかすっきりしないのは、この映画がワーナーブラザーズによって配給されていること。業界には詳しくないが、そういう時代なんだなと気づかされる。