すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「しがらみ」を見直すため

2012年03月27日 | 読書
 予想通りに面白い本だった。

 『「しがらみ」を科学する』(山岸俊男 ちくまプリマー新書)

 副題として「高校生からの社会心理学入門」とある。私の知的レベルにはふさわしかったのかもしれない。


 いくつかキーワードがある。


 「心でっかち」

 「頭でっかち」をもとにした著者の造語である。
 理論を振り回す学者先生的なイメージの頭でっかちとの共通点もあるのだが,もっと大衆的な?怖い?状態を指す。

 社会的現象について,一人ひとりの心に原因があると考える直感的な理解

 そう言われれば自分にも確かに当てはまる。様々なデータや情報をみて,それを心の原因にしてしまう傾向は確かにある。
 著者が例として提示した離婚率のことや未成年者による殺人率のことなど,実にわかりやすかった。
 巨視的な見方の重要性を念押しされたように感じた。


 「インセンティブ」

 これは多少どこかで聞きかじった言葉だが,単純に言えば「報酬」であろう。それが行動原理に結びつくというごく単純な話なのだけれど,それが一定の構造を持ち,法則めいた動きをしていて人の言動を支配していることに納得がいった。
 他者のインセンティブにどう働きかけているのかという視点で,自分の言動を振り返ってみることも大切か。

 また,「理解」と「説明」の違いという点についても,今まであまり考えたことのない見方があった。これは,自分の仕事に関してもとても大きなことになるので,いつかじっくりと読み直してみよう。
 
 取りあえずは,来週から社会人スタートとなる娘に読んでおくようにと,その本を渡した。