すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

声日記リターン

2012年05月03日 | 雑記帳
 前任校のときには『声日記』と名づけた校内報を不定期に出していた。
 今年度は、まだ心の準備中(笑)であり、スタートできていない。

 もし4月に出せたとすれば、「子どもの声」として入れただろうなあと思うことを、二つ書き留めておきたい。

【その1】

 月半ばの日曜の朝、PTA主催による廃品回収があった。
 空き瓶や古紙を収集するのだが、業者の方がダンボール専用の車を持ってきていた。
 ダンボールを巻き込んで押し込んでいく装置があり、そうやって詰めていくと2.5トンぐらい入るのだと聞いた。
 ぐるぐる回る機械の動きがダイナミックで面白いのか、子どもたちが興味深そうに近寄りながら「おおうっ」とか「かっこいい」とか言っている。

 その場にいた2年生のZ君
 「すげえ、リサイクルマシーンだ!」
 トラックのボディに「リサイクル」という名前がついているのを見て、言ったのだろうか。
 そして、次の一言が奮っていた。

 「オレもリサイクルされてえぇ」

 今から不用品になってどうする。


【その2】

 ランチルームでの給食も3年ぶりである。
 今月は6年生のテーブルが割り当てられ、一緒に食べている。
 最初の10分は食べることに集中ということで原則会話禁止なのだが、終わるとやはり子どもらしく談笑が始まる。

 ある日のこと。一人の女の子が隣の子に話しかける。

 「ねえねえ、知ってた。昔は土曜も学校があったんだよ」

 「ええ、ほんと?」

 「うん、お母さん、言ってた」

 「へええ、きついねえ」

 こちらの顔を見るので、思わず答える。

 「そう、昔は土曜日もお昼まで学校だったのじゃ。それから月に1回土曜が休みになってのう、その後に2回に増え…」

 なんで、おじいさん口調になる。

 20世紀も遠くなりけり。

ある問いに揺さぶられる

2012年05月03日 | 雑記帳
 最近ちょっと悩んだことに,PTA広報部からの原稿依頼があった。
 よくある企画で「新任の先生方の紹介」ということで,三つの設問が用意されていた。

 ①出身小学校と思い出
 ②好きなもの苦手なもの
 ③もし先生になっていなかったら


 これらの内容はそんなに珍しいものではないだろう。
 しかし,何ゆえか③の問いに引っかかってしまった。

 質問の意図は,おそらく「小さい頃になりたかった職業」とか「憧れている(いた)仕事」を聞き出したいものだと思う。
 もちろんそれならいくつか簡単に挙げられるのだが…なぜか,本当にこの教師という仕事につかなかったら今頃何だったのだろうという思いが,まず初めに浮かび頭を支配してしまった。

 結局脱け出し,憧れ気分のままに「人生の楽園」っぽいことを書いて,紙幅を埋めたのだが,またその後に最初のその問いが結構付きまとってくれて,どうでもいいことをあれこれ考えてしまった。
 きっと,まだまだ時間はあると思ってはいるが,仕事のゴール(定年)がうっすら見えてきたことが原因なのかなあ,淋しさのようなものが一瞬過ぎった。

 それはそうと,私たちはつくづく文脈を読むものである。
 単純に「もし先生になっていなかったら」という問いに続く文など「~~になりたかった」という答え方の他にも無限にあるではないか。

 もし先生になっていなかったら,給料がないので困る
 
 もし先生になっていなかったら,いろいろなストレスがなくなるから,うれしい。

 もし先生になっていなかったら,遠足についていかれない。

 もし先生になっていなかったら,毎日酒量が増えるかな。
 
 もし先生になっていなかったら,それでも世界は一つも変わらないだろう。

 ほとんど宮沢章夫状態である。

 それを聞いていったい何がわかるというの。それがわかれば何かいいことあるのか。
 「ホームレス」などと答えようものなら,それを馬鹿にするのか。「大富豪」と答えれば,「けっ,なれるわけないのに」とか蔑むのか。
 いやいや、そんな感情的にならずに、ただ、なりたかった職業を訊いて「人となり」を知りたいだけなのだよ…。

 そう考えると、やってしみたい仕事など100も浮かんできそうだ。

 そしてまた、浮かんだ様々な仕事の多くを兼ねられる気分になる?教師という職業の魅力に気づいたりする。