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桜と絵本と豆乳と

未練のピックアップ②

2017年06月18日 | 読書
 中高生の自殺に絡んで「いじめ」の問題がピックアップされるときに、よく「識者の声」などが載る時がある。
 その一文が悩んでいる誰かの心に届けばいいなあと思う。
 しかしまた、分析や責任追及に終始して何のための文章かと感じたりすることも多い。
 それは掲載媒体の依頼には応えているかもしれないが、きっと目的に正対していない。



Volume55
 「以前、いじめについて話してくれと言われたときに言いました。大人へなんか何も言いたくない、子供に言いたい。君たちが見ている大人に、君たちもなるんだと。そのことをどう思うかって聞きたい。どういう大人になりたいか早いうちに決めておいたほうがいい。」

 これは「決意」を迫る言葉だ。

 中途半端な優しさや厳しさとはかけ離れている。子供が自分の心を真剣に見つめる向きについて問いかけている。

 それはむろん「大人」に対しても突きつけられている。


 変わらない「私」も、ひと所に留まらない「私」も、認めながら悪あがきしながら、それでも自分から目を離さない…そんな意志の感じられる言葉だ。
 徹底して身体を扱う仕事をしているからだろうか。
 もはや俳優として名高くなっているが、舞踊家田中泯の言葉。

 一度は生で見てみたい一人だ。