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桜と絵本と豆乳と

未練のピックアップ①

2017年06月16日 | 読書
 最終号を何度も読み直している…季刊誌『考える人』が誌面と定価を刷新したのが去年の春。一年が経過し結果的に休刊となった。実売数や定期購読者数も増えたが、やはり雑誌の維持というのは難しいだろう。Web版は継続しているがあまり訪問していない。紙印刷への愛着が捨てきれない、未練のピックアップだ。



Volume54
 「生まれる家はみんな平等というわけにはいかないけれど、公教育を終えたときに生き抜いていけるだけの何かが身についていることが保障されるのはとても大事なこと。それは何かというと、少なくとも教科書が読めてわかることだと思うのです。」


 人工知能について数学者の立場から研究をしている新井紀子国立情報学研究所教授の言葉。
 
 学校教育に携わる者ならば、半ば常識的な考えではあると思うが、現状はどうか。

 新井氏は、ある調査をもとに「中学生の半数以上が教科書を読んでも意味を理解していないことがわかった」と例示している。

 AI研究者の先端を行く人の、そのことに対して抱く危機感が、民主主義が長く続くために一番必要なことは「多くの人がきちんと言葉の意味がわかること」だと何度も繰り返させている。

 義務教育に携わる関係者と学校現場にある者は、時々こういう言葉を噛み締めて実践を振りかえるべきだ。
 
 「時代の流れ」に沿うことがいったい何を目指しているのか。
 人を教え育てることの優先事項は何かを、常に見定めていなければならない。