すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

旅の窓に目を移す前に

2017年06月23日 | 読書
 窓から見える風景がどんなふうに目に映るかは、その時の心持ちによっても違うものだが、知識や情報の量によっても左右されることが多い。先週末から昨日まで南ドイツへ旅をした。初めて尽くしが多かったので頭の整理に時間がかかりそうだ。まずは旅行前の仕入れ読書、そして旅の合間にめくったページを振り返る。


 (ハイデルベルグ市の街並)

2017読了66
 『森と山と川でたどるドイツ史』(池上俊一  岩波ジュニア新書)

 帯の惹句は「ビール&ソーセージだけじゃない!」。本音はその二つがあれば文句はないが、少しばかり素養をと中高生向けの新書をめくった。それでも世界史の苦手意識は消えない。ただかの国には、独特の自然観が強くあり、それは哲学や環境保護、そしておそらく現在の移民政策にも結びついていると理解できた。


2017読了67
 『曲げないドイツ人 決めない日本人』(ネルケ無方 サンガ新書)

 ドイツ人禅僧の目から見た日独の文化の比較。書名はよくあるパターンであり、言い換えも一つの主題だ。つまり「決めるドイツ人 曲げる日本人」。ドイツ人の意志の強さ、日本人の柔軟性ととらえられる。印象的なのは「『がんばっている』はけなし言葉」だ。日本人には努力や経過が大切で、ドイツ人は結果が全てだ。


2017読了68
 『旅の窓』(沢木耕太郎   幻冬舎文庫)

旅の達人、エッセイの名手が雑誌連載した「感じる写真館」というページの集約。一葉の写真に文章が添えられる見開きスタイルだ。人物や風景の見事さを堪能し、行きの飛行機内で読了した。特に「視線」にこだわりを持っていて、想像力を掻き立てられる。形だけでも真似してみようと、旅の目的の一つになった。


2017読了69
 『チルドレン』(伊坂幸太郎  講談社文庫)

 再読。実は飛行機場面のある『フィッシュストーリー』と間違ってバッグに入れた。それでもこの頃の伊坂作品は好きなので、改めてその会話の妙を感心しながら読んだ。以前も書いたが、この連作短編集の偉大なる脇役「陣内」のキャラクターは大胆で破天荒で、そして壮快だ。こんなキャラなら海外でも無敵だ。