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桜と絵本と豆乳と

脱出できない寝床読書

2022年02月18日 | 読書
 長編を読む忍耐力がますます衰えたので、短編にしているが、それで分かるのが嗜好というか性癖というか。そこから脱け出せない?脱け出さない?のだろうなあ。




『1日10分のぜいたく』(あさのあつこ、他  双葉文庫)

 「NHK国際放送が選んだ日本の名作」のシリーズ三つ目。8人の作家が書いているが、既読の記憶がある作品が二つ。小川糸「バーバのかき氷」と沢木耕太郎「ピアノのある場所」だ。自分の感覚からすると覚えているだけで名作だ(笑)。その以外に重松清「おまじない」と高田郁「ムシヤシナイ」が印象的だ。作家の構想力とは短編でもさすがだなと感じる。「鮮やかな(もしくはぐんと重みがある)言動」が作品のピークをつくるが、その布石となる展開や会話に無駄がない。筋の強弱をはっきりさせていると言うべきか。あっと気づいたのは、挙げた4篇はいずれも子どもが視点人物か重要な役どころを担っているんだなあ、これが。マイキャリアから脱け出せないね。


『短編復活』(赤川次郎、他 集英社文庫)

 勢いづいて、ほぼ20年前の類書も注文してしまった。こちらは16人の作家による全500ページ超のアンソロジー。浅田次郎『角筈にて』、宮部みゆき『さよなら、キリハラさん』は既読の記憶があった。たぶん伊集院静の『蛍ぶくろ』も読んでいるのでは…。いずれも高名な文学賞を受賞している作家であり、収録されるには評価の高い作品だろうが、さすが16篇となると自分の好みが強くでるなあ。印象が強いのは、綾辻行人『特別料理』、坂東眞砂子『盛夏の毒』、唯川恵『青の使者』…こう挙げてみると、この三つはかなり毒々しい展開の大人の作品ばかりだ。やや怪奇性があると言ってもよい。こういう分野の好みがあることに、久しぶりに気づいた。