今年の生家のクリは生り年だったから十分に拾った。
今までで最長の田舎滞在となり、落ち始めから終わりまで見届け、集める度にもらってくれる人達に差し上げた。
留守宅にも送り、自分で栗ご飯も作り、茹でただけの鬼皮付きを冷凍庫に保存までしている。
そうして最後は、茹でたのを包丁で半切りにしてスプーンでえぐり出し食おうと思っていた。
弱火にはしていたけれど台所を離れてしまい、ついつい茹でているのをしばらく忘れてしまった。
鍋を焦がし、クリは硬めの焼き栗になってしまった。
焦げ臭さを漂わせるまでに思い出したから、この程度で済んだ。
終わり良ければ総て良しと言うけれど、最後の最後につまずいた格好。
ほとんど落ちなくなったクリを集め続けたものだから、保存期間が長かったり不揃いだったりで、半切りしてみると黄色とはいかず不味そうに変色していた。
それでも食えないことはなくて、一個ずつが微妙に違った味で面白い。
意地もあったが、ご飯一杯がわりの食事になり、捨てずに済んだ。
焦がした鍋は力ずくで元に戻すだけのこと。