和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

悪辣な所行。

2008-03-05 | Weblog
藤井貞和著「古文の読みかた」(岩波ジュニア新書)に、こうありました。
「はじめに」に
「一つだけ用意してほしいものは、専用の、ハンディな古語辞典です。一人一冊ずつ持ってほしいのです。辞典は学習するために引くので、おぼえるために引くのではないのですから、気軽にどんどん利用すべきで、学習の捷径(早道)ここにあり、です。」
この言葉は本文のp161にもでてきます。
「辞典をせっせと引いてほしいものです。(辞典を引いたらおぼえなきゃいけない、と思うから、辞典を引くことがおっくうになるのです。古語辞典は、おぼえるために引くものであはありません。)」

辞書をひく。ということで思い出すのは、
谷沢永一・渡部昇一著「広辞苑の嘘」(光文社・古本2001年)にある渡部氏の「結びにかえて」にある言葉です。
「とくに定義の偏向が問題になるような単語は、私は絶対に『広辞苑』で引くことはなかった。だから『広辞苑は少しおかしい』という噂は耳にしたことはあったが、実際上私には全く縁がなかった。ところが今、改めて歴史認識や思想が問題になる項目を拾い当たってみると、なるほど見逃すことのできない偏向がある。とくに注目すべきことは、版が新しいものほど嘘が多くなっていることだった。普通は辞書は版を重ねるほどよくなるはずだが、『広辞苑』はその反対なのである。」(p280)
「人は自分の引く辞書を信頼する。辞書には誤植や誤記はないはずだ、という先入観が一般にある、と言ってよいであろう。そこにつけ入るとは、何たる悪辣な所行であろうか。」(p281)

コメント
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