ゲゲゲの鬼太郎・悪魔くんを書いた水木しげる氏の夫人が、本を書きました。
昨日。その本を読み、そして何か書こうと思いながら寝てしまいました。
妖怪をはじめとするパンドラの箱をひっくりかえしたような水木作品を、正面から取り押えようとする作品論があるとすれば、この本は、袖から、そして背後から、水木しげるの背中ごしに語る人物論になっております。もちろん後方からですから、水木氏の手もとなど見えないのですが、それがかえって筋の通った、力みの無いすがすがしさを読者に提供してくれております。
本の最後の方にこうありました。
「以前、富士山の小屋に行ったときに、水木に聞いたことがありました。
水木は小首をかしげた後に、空を見上げ、ポツリといいました。
『よかったんじゃないか、おまえで、いつもぼんやりしていて』
『ぼんやり? 私、ぼんやりしてる?』
『とんでもなく、ぼんやりだ』
『そうかなあ』
『ああ。横を見ると、いつもおまえがぼんやりと立ってたな』
そういって、にやりと笑うと、右手で私の背中をバシッと叩きました。」(p238)
装丁が素晴らしくてね。
もし、本屋にあったなら、手に取ってみてください。
と、つい薦めたくなる一冊。
昨日。その本を読み、そして何か書こうと思いながら寝てしまいました。
妖怪をはじめとするパンドラの箱をひっくりかえしたような水木作品を、正面から取り押えようとする作品論があるとすれば、この本は、袖から、そして背後から、水木しげるの背中ごしに語る人物論になっております。もちろん後方からですから、水木氏の手もとなど見えないのですが、それがかえって筋の通った、力みの無いすがすがしさを読者に提供してくれております。
本の最後の方にこうありました。
「以前、富士山の小屋に行ったときに、水木に聞いたことがありました。
水木は小首をかしげた後に、空を見上げ、ポツリといいました。
『よかったんじゃないか、おまえで、いつもぼんやりしていて』
『ぼんやり? 私、ぼんやりしてる?』
『とんでもなく、ぼんやりだ』
『そうかなあ』
『ああ。横を見ると、いつもおまえがぼんやりと立ってたな』
そういって、にやりと笑うと、右手で私の背中をバシッと叩きました。」(p238)
装丁が素晴らしくてね。
もし、本屋にあったなら、手に取ってみてください。
と、つい薦めたくなる一冊。