蜜柑について、ちょっと田中冬二の詩にさがしてみました。
ちなみに参考にしたのは、田中冬二全集第一巻(筑摩書房)。
それでは、田中冬二の詩集あとがきより、引用してはじめます。
「詩を書いて二十有余年。
私は田舎道をひとり淡々と歩いて来た。
麦打ちをしてゐる村を、
郭公がなき、椎茸をつくつてゐる山間の村を。
煙草の干し葉に天候を気づかひ夜半も目ざめてゐるやうな村を。
私は豆の花を信じた。
やがて好い実を結ぶあの小さい質素な豆の花を。
私は小暗いランプを信じた。
夜半は芯を細目にするランプを。
そして親しい彼等が恁うして私に詩を書かせて来たのである。」(p301)
詩「海の見える石段」は7行の詩。
そこから2行を引用(p108)
夏みかんの木の間に あかるい初夏の海
僕も眺める
詩集「花冷え」にある詩「雨」のはじまりの一行(p173)
みかんの花がぷうんと匂ひ 暖い雨のけむつてゐる漁港
ちょうど今頃の詩でしょうか
山国初夏
山の傾斜地の林檎園では袋かけをしてゐた
ほととぎすがないた
麦の穂波がひかり 桑の葉はあかるくしろくかへつた
縁先近くの柿の花がこぼれて もう薄暑を感じた
夜 善光寺の町には 蕨夏みかんさくらんぼ
それから芍薬や菖蒲の剪花(きりばな)を売る露店が出た
槲(かしわ)の葉も売つてゐた
(p210~211)
ちなみに参考にしたのは、田中冬二全集第一巻(筑摩書房)。
それでは、田中冬二の詩集あとがきより、引用してはじめます。
「詩を書いて二十有余年。
私は田舎道をひとり淡々と歩いて来た。
麦打ちをしてゐる村を、
郭公がなき、椎茸をつくつてゐる山間の村を。
煙草の干し葉に天候を気づかひ夜半も目ざめてゐるやうな村を。
私は豆の花を信じた。
やがて好い実を結ぶあの小さい質素な豆の花を。
私は小暗いランプを信じた。
夜半は芯を細目にするランプを。
そして親しい彼等が恁うして私に詩を書かせて来たのである。」(p301)
詩「海の見える石段」は7行の詩。
そこから2行を引用(p108)
夏みかんの木の間に あかるい初夏の海
僕も眺める
詩集「花冷え」にある詩「雨」のはじまりの一行(p173)
みかんの花がぷうんと匂ひ 暖い雨のけむつてゐる漁港
ちょうど今頃の詩でしょうか
山国初夏
山の傾斜地の林檎園では袋かけをしてゐた
ほととぎすがないた
麦の穂波がひかり 桑の葉はあかるくしろくかへつた
縁先近くの柿の花がこぼれて もう薄暑を感じた
夜 善光寺の町には 蕨夏みかんさくらんぼ
それから芍薬や菖蒲の剪花(きりばな)を売る露店が出た
槲(かしわ)の葉も売つてゐた
(p210~211)