和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

漱石の精髄はここに。

2014-04-20 | 本棚並べ
新刊(2014年4月8日)で
講談社から「ことだま百選」が出ておりました。
さっそく注文したのですが、あと届くまで2~3日かな。
興味をひいたのは、
杉並区立天沼中学校編となっていること。
なんでも現役の国語教諭らが選んだ百選のようです。
荻窪駅(JR、東京メトロ)から徒歩約15分の
中学校なのだそうです。

うん。こういう本って、届くまでの、
待つ時間のほうが楽しめたりします(笑)。
ということで、待つ間に、
齋藤孝の本を本棚からとりだしてくる。
そう、「声に出して読みたい日本語」が
思い浮かんだのでした。
今回は、
「齋藤スタイル自分を活かす極意」(マガジンハウス)
をパラパラとひらく。最後の方に
林望氏との対談が載っているので、
興味深く読む。題して
「朗読すると古典は断然おもしろい!」。
そこから、すこし引用。

林】 ・・僕は、古文の文法なんか
やらなくていいという論者で、読めばいいと。
文法なんていうものは、読んでいく中で、
大体わかってくるんです。私もいわば
古典学者なんだけれども、
「文法」を勉強したことは全然ないんですよ。
ただ、多くの古典作品をずっと読んでいくうちに
・ ・・・。(p226)

林】 僕は「源氏物語」などは
自分の書斎で朗々と読むんですよ。
そうすると、場面がスッと思い浮かんできて、
意味も頭の中に落ち着いてくる。
黙読は頭に入るけど、音読は頭に入らない
というのが現代文学の一種の常識の
ようになっているんだけど、古典は逆ですね。
音読したときに頭に入ってくる。つまり、
それは書いている人が音声として
書いているからだと思うんです。(p228)

さてっと、「文章の極意は凝縮にあり」
という箇所が印象に残りました。
それを引用していきます。

林】 はい。以前対談した山本夏彦さんは、
文章を切って切って凝縮して、ほとんど意味が
わからなくなるまで切っちゃうと言うんですよ。
それが山本夏彦という作家の要諦なんですね。
本当に山本さんの文章ってわからなくなる
一歩手前ですよ(笑)。・・(p231)

林】 そうそう。だから、僕は若い人たちに
作文指導をするときは、たとえば四枚なら
四枚という枠を与えたときに、
「四枚で書こうと思うな」と言います。
「最初は長く書いて、それを四枚に切り詰めろ」
と言う。そんなことできないって
思っちゃうんだけど、そうじゃないんですよね。
それはできるんです。
それを切って切っていくと、山本夏彦さん
だったら一枚半ぐらいになっちゃう(笑)。
本当は一枚でかけることを
三枚に伸ばした文章と、
六枚なきゃ書けないことを
三枚に凝縮した文章とは
おのずから力が違いますからね。(p233)

ついでに、対談の最後の方からも引用。

林】 僕も「徒然草」はぜひお読みなさい
と言いたいですね。それから、なんといっても
「平家物語」ですね。「平家」を
繰り返し繰り返し読むと、
言葉のリズムというものが本当に
スーッと落ち着いてきます。
文章を書くにしても、「平家」を読むだけで
三倍は上手に書けるんじゃないかな。
だから意味を考えなくてもいいから、
とにかく一度通しで朗読することをお勧めします。

林】 ・・・・
それから、漱石を読むんだったら、
僕は「坊つちやん」か「吾輩は猫である」
がいいと思います。
「草枕」とか、「それから」じゃなくて。
研究者は、「坊つちやん」や「吾輩は猫である」
をばかにするけど、そうじゃない。
漱石の精髄はここにあると思います。(p238)


このようにパラパラと、めくりながら、
「ことだま百選」が届くのを待つことに。

うん。本が届くまでの待ち時間。
待つ間を、満喫する楽しみ(笑)。


コメント
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