和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

臆病風邪に吹かれて。

2014-04-04 | 短文紹介
林望著「イギリスからの手紙」(東京堂出版)は、
1984年4月2日の手紙からでした。
うん。そのはじまりの手紙をすこし引用。


「さて、コモドア―ホテルですが、
これがエライ安ホテルで、フロントにこわれた
石油ストーブが放ってあり、インド人のフロントで、
何いってんのか一つも分からない。
窓はとうに壊れて開かない。消毒済のコップもなく、
いつ使ったやつともしれないプラスチックの白いペナペナ
したのがポンとおいてある。湯を出せばとまらない、
エレベーター(こっちではliftという)は故障、
廊下は、すれ違いできぬせまくるしさ。
ああ、こりゃ大変なところへ来ちゃった、
と思ったとたん、里心がついて、帰りたくなって
弱りました。
近くを見物しましたが、まったくいやな待ちで、
何人(なにじん)とも知れぬ怪しげな人がウロウロして、
地下鉄の駅などでさかんにユスリタカリをしている。
失業者はねころんでいる。本当いうと、
例の臆病風に吹かれています。
かえすがえすも来るんじゃなかったナ。」(p6)

こうしてはじまる手紙です(笑)。
コメント
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